見出し画像

#53 登山者三態

 御殿場登山道から山頂目指して登る人々の服装は大きく3つに区分される。リュックサックを背負い、しっかりとした装備と思われる登山者85%、タイツ・短パン・シャツ・背負い型水筒といった軽装の駆け登り・駆け下りの時間重視型登山者14%、なにも準備せず、着の身着のままで無謀な登山をしようとする人が1%未満。
 
しっかりとした装備と思われる登山者も漏れがある。その第1が照明、ヘッドライトだ。夕暮れまでには下山する予定で登山したものの日暮れにまでに下山できず、照明がなくてヘルプする人、照明は持っているがバッテリーがきれてヘルプする人などなど。幸い他の下山者の援助を受けて救助要請することなく下山する登山者がけっこう多い。照明は両手が自由に使えるヘッドライトがベストだ。2番目は足回り。数年前に購入した靴の劣化に気づかず、つま先が開いて歩行に苦労する「ウーわんわん」型、ことにも数件あった。またスパッツ(ゲイタ―)と呼ばれる足首巻き。御殿場登山道名物の「大砂走り」では、小粒の火山灰が靴に入って歩行に苦しむ下山者が後を絶たない。第3がレイン・ギア(雨着)だ。立派なリュックにしっかりした服装ながら、雨着はコンビニのビニール製という登山者もいる。風速10mほどの風で役立たずになってしまう。 
 
駆け上がり・駆け下りの時間重視登山者は、毎年数回の駆け登り・駆け下りの経験者が多く、御殿場口登山道の気象の変化を熟知しており、気象情報を伝えて無理をしないよう声掛けして送り出す。
着の身着のままの思い付き登山者は、なにをかいわんやだ。最悪の人は、半袖・Tシャツ、短パン・スリッパだ。ゴリッパ! ペットボトルを片手に「ライトは?」と聞くと
携帯を差し出す。「自殺に行くんですか?」と厳しい指摘をする。われわれの説明説得にほとんど断念するが、中にはそれでも登って行く。
 
どんな服装であろうと検収員に登山をやめさせる権限はない。仕事は、健康チェックと保全協力金の募金要請だけだ。それでも可能な限りのアドバイスで安全な登山を願う。
検収員のみなさん がんばってるね!!  

いいなと思ったら応援しよう!