海外旅行好きな血管細め男子の献血リベンジ体験記
2020年6月に初めて献血を体験したので、そこでの手順や起こった事を記録していこうと思う。
なぜ献血に行こうと思ったか
・コレステロール値など血液検査の結果を無料で教えてくれるから
・献血ルームによってはいろいろなサービスがあるらしい
・単純に好奇心で
なぜ今まで献血に行かなかった(行けなかった)のか
「海外旅行から帰国した後は1ヶ月献血できない」という決まりがあり、旅行、加えて海外の旅行へ精力的に出掛けている身分だとなかなか献血が可能なタイミングが無い。(帰国後1ヶ月経った事を忘れて次の旅行に行ったり…)
また、昔から上記のような理由で献血に行きたい思いはあり、実は6年前にタイミングを見計らって飛び込みで某献血ルームに出向き献血にチャレンジしたものの、その時は「血管が細く採血用の針が刺せない。温かい季節になれば血管が広がったりもするのでこれに懲りずにまた来てほしい」と、献血できなかった事があった。
それから6年が経ち、コロナウイルス流行の影響で海外への旅行もままならず、なおかつ外出自粛で献血に協力してくれる人も激減しているとのニュースを見かけて今回献血に行こうと思った次第。
予約
飛び込みでも献血可能だが、できれば献血ルームを訪れる前日までに予約してほしいとのことで今回都道府県の赤十字が用意している予約専用電話番号(筆者の場合は東京都)へ電話し予約を行った。また、2回目からであればWebでの予約も可能とのこと。
予約の際に質問されるのは
・過去1ヶ月以内に海外へ滞在したか
・エイズ検査目的の献血ではないか
・過去1ヶ月以内にコロナウイルス等感染症と診断されたか。また感染者が身近にいるか
・献血を受ける前の3日間に歯科治療等出血を伴う治療を行ったか
・過去に輸血、臓器移植を受けたことがあるか
といった項目。
それに加え氏名と生年月日を質問されたが、その情報から6年前に飛び込みで献血ルームを訪れ血管の細さで献血できなかった事も記録されているというような事を言っていたので献血者の情報はきちんとシステムで管理されている模様。
最後に希望の献血ルームと時間帯を指定して、通話終了。献血予約の担当者については終始丁寧な受け答えで初めての献血と伝えると何度もお礼を言われ、安心感が持てた。
献血ルーム
※献血ルーム内は基本的に撮影禁止のため、残念ながらここから先も写真はない
今回は自宅から一番近いのターミナル駅前にある献血ルームを訪れた。事前に調べた情報で「空腹の状態では献血ができない」とあったので、まだ空腹ではなかったが献血ルーム近くの立ち食い蕎麦で無理やり昼食をとり献血ルームへ。
駅前の雑居ビルでも上の方のフロアにある献血ルームに到着し、まず初めに感じたことは「思った以上に人が多い」という事。献血当日(6月20日)は、安倍首相が「都道府県を跨いだ移動の自粛解除」を宣言し最初の週末という日であり、街にもコロナ前とほぼ変わらない程度に人が戻ってきたタイミングだったので、コロナで献血を控えていた人が一斉に献血を考えたのかもしれない。いわゆる「密」と呼ばれるほどではないが、待合室の椅子が全て埋まり立ち客も数人いる程度の混雑具合であった。
受付での手続き
受付で予約していた事を告げると、まず体温検査。ロッカーに荷物を預けてロッカーの前に貼っているポスターを参考に「シーフテスト」なるものを行ってまた受付に来てほしいとのこと。あまり聞き慣れない言葉だったのと周囲がざわざわしていた事もあり、ロッカーの隣にある「血圧計」で血圧を測ってほしいんだな、と思いロッカーに荷物を入れ、血圧を測り再び受付へ。改めて「シーフテストどうでした?」と聞かれ、「え?血圧では…ないんですか?」となっていると「それでは受付しながらでいいので30秒ほど両腕を上げて手を肩につけたポーズでいてください、それで腕がしびれなければ大丈夫です」との事。結局痺れも無かったのでこのテストはパスした。(ちなみに血圧のデータも必要だったため血圧計で測った血圧は無駄にならずに済んだ)
その後、受付のタブレットに予約時の電話で質問された事と同じような質問事項がYes/Noの形式で表示されるので回答した。ここで難儀したのが「海外滞在歴」という質問で過去1年以内に滞在した国と滞在日数を全て入力してください、という項目。昨年1年は過去の中でも一番海外へ旅行した年でもあったので記憶をたどりながら時間をかけて入力することになった。(場所はパッと出てくるものの、滞在日数がとっさに出てこない)
タブレットでの質問以外にも「暗証番号(前回献血トライした際に登録していたらしい。これか?と思う番号を入力したらOKだった)」「体重(受付のテンキーに入力)」「前日の睡眠時間」「最後に食事したのはいつか」などの質問があった。空腹状態で献血すると気分が悪くなることが多いのでこのような質問をしているとのこと。
その他、身分証明書の確認(私の場合は運転免許証)や、次回以降の献血受付で使用する静脈認証のための指登録、などもあったがこれは初回のみだと思う。
全て受け付けが終了すると、腕に番号が書かれたリストバンドが巻かれ、登録情報が書かれた書類が入っているクリアファイルをもらい「なるべく飲み物をたくさん飲みながらお待ち下さい」とのことで受付は終了した。
※献血ルームの中には無料で飲み放題のカップ式飲料自販機がある。
問診
無料の自販機でゲットした「冷たい」飲み物を飲みながら待機していると「番号○○番の方、問診へどうぞ」との呼び出しがあった。(この「冷たい飲み物」という選択が後にちょっとした悲劇を呼ぶ。)
医師が詰める問診のブースは2つあり、ブースの前のランプが青く灯れば入室してOKとのこと。程なくしてランプが青くなりブースへ入室。中には普通の病院と同じように白衣を着た医師が座っていた。先程タブレットに入力した情報は医師の前に置いている端末にも共有されているため、それを元に問診するのだが特に注意深く質問されるのがやはり海外滞在歴について。
私の場合は昨年訪れたタイについて「何日間滞在したのか」「タイではどこに滞在したのか」等質問され、タイでもバンコク等都市部では問題ないが、農村部ではマラリアが流行しているため滞在歴があると献血については特に注意を要するとのことを、マラリアの流行地域マップを示しながら説明してくれた。(私の場合はバンコクのみの滞在だったのでセーフ)
血液検査
問診が終わると次は献血前の血液検査を行う。(なので、献血を行う際は検査含めて2回も血を取られることになる)
前回はこの血液検査で「血管が細すぎる」と指摘されこの時点で献血を断られたのだが、今回も看護師の方が「あれ、うーん、うーん…」と何回も私の腕をこすりながら唸っていたため「今回も同じパターンで断られるのかな」と思っていると「献血前に飲み物飲んだと思うんですけど、温かい飲み物を飲みました?」と言われたので「いえ、冷たい飲み物です…暑かったので」と答えると「あー、献血前の水分補給は温かいものの方がいいです。冷たいも飲み物だと血管が縮むので」と言われてしまった。なら自販機の前にそう掲示してくれ…と思っていると、腕にホッカイロを巻かれ「温かい飲み物を飲んで改めて検査に来てください」とのこと。
この時点でまだ献血できると確定しているわけではないので若干ドキドキしながら待合室に戻りぬるめのコーヒーを1杯。そして再度血液検査のコーナーへ。今度も何度も腕をこすって「さっきよりはマシですね…まあこれならいけるでしょう」となり、「血管が細い」という大きなステップをパスした。ただし「この血管では全血の献血は大丈夫ですが、一度出した血を再度戻す成分献血は全血より更に針が太いのでこれから先も難しいと思います。人によって血管の細さは異なるので気にしないでくださいね」との事。いずれは成分献血も体験し見てみたかったが、ここで希望が絶たれてしまうことになった。
全血であればOKとなったので、普段の健康診断で行うような注射器で採血し血液を検査。検査結果が出るまでまた待合室かなと思って席を立とうとすると「1分ほどで結果が出るのでここでお待ち下さい」との事。内部で検査できる設備がある大きな総合病院での血液検査でも1時間ほどかかる血液検査だが、献血ルームでは完全に流れ作業化されているため血液検査のコーナー内にある検査機械に検体をセットしてボタンを押すだけ。また同時進行で反応用紙のようなものに血液を1滴垂らして血液型を検査。(言うまでもなく前から自分が認識していた血液型だった) ほどなくして検査器による結果も出て「濃さも問題ないので献血できますよ」とようやく献血にGOサインが出た。
献血実施へ
検査コーナーの隣にあるのが、歯医者の診療台のような状態を起こした状態で横になれる採血台が並んだエリア。20台ほど並んだベッドには空きがなくコロナ自粛明けの献血がいかに繁盛しているかが分かる。
5分ほど待ち空きが出たベッドに案内された。そこから注意事項が書かれた紙を渡され、針を挿す腕の箇所をイソジンで消毒され、いよいよ腕に針が突き刺された。献血の針は採血の針より太いので痛いかなと思ったが痛さのレベルは採血の際と変わらないレベルだと感じた。「針先が振動する場合は教えて下さい。ポンプで血液を吸い出している影響ですが続くと良くないので」と言われた瞬間に針先がぷるぷると震えている事を感じ「まさに今震えてます…」と伝えるとポンプの出力を調整してくれたのか震えなくなった。
献血台には待ち時間に退屈しないためなのか、健康ランドの休憩ルームにあるイスについているような小型の液晶テレビが採血台には備わっていた。つい最近再開されたばかりのプロ野球のデーゲームが映っていたが、野球に興味がないのと電波が弱いせいか画面も乱れっぱなしだったため、ぼーっと眺める程度にする。採血されていない方の片腕でポケットの中のスマホを取り出す事もできたが、渡された注意事項の紙に書いてある「採血後めまいを起こさないための足首マッサージ」を読みながら足をくいくい曲げているうちに400mlの吸い取りはほぼ終盤となっていた。(採血台の横にある採血機には、ディスプレイで今何mlまで採血したか状態が表示される)
そして400mlの吸い取りが終了し、献血用の針を抜き取った後「この時点でめまいを起こして倒れる人もいるので慎重に立ち上がってください」と言われたためビビりながら生まれたての子鹿のように慎重に両足で大地へ。特にめまいやふらつきもなし。「受付に寄ってから休憩してくださいね。お疲れさまでした」の声を聞きながら無事献血は終了した。
献血後の休憩
献血終了後、受付で献血終了の手続き。ここで献血カードと注意事項の受け取り。(献血カードはポイントカードのように表面の内容が書き換えられるようになっており、献血履歴と次回献血可能な日付が記入されている)。注意事項の紙には「あなたが不特定多数の異性と性交渉を持っている等に該当するのであれば今日中にここへ連絡してください」とあり、献血時に言えなかったようなデリケートな事項にも対応している事が伺える。(連絡先も留守番電話となっており、書類に記載されている通しの採血番号を吹き込むだけ、というように極力直接のやりとりを行わないよう配慮されている)
手続きも終わり、最後は「採血後の休憩」特に初めて献血を行う人は献血後30分はめまいを起こして倒れるリスクが高く、安全な献血ルームの中にいてほしいとのこと。また帰宅時も少しでも気分が悪くなった際は無理に動かずその場でしゃがんでしばらく様子を見ること、などの注意事項を説明された。
私が訪れた献血ルームでは献血が終わった人はアイスクリームが1個食べれられる、とのことで遠慮なくいただく。(おそらく献血後は血糖値も下がるので糖分を補給する、という意味もあると思う) また、クッキーや煎餅などちょっとした菓子も置いてあるのでつまみながら30分待機し、特に体調変化も無かったので受付にその旨伝え、ロッカーの荷物を回収し献血ルームを後にした。(その後もめまい等体調の変化は特に感じられなかった)
ちなみに、献血前の起床時と献血後の就寝前にそれぞれ体重を測ったが、特に激しく体重が落ちているということは無かった。400ml体から液体が抜かれたが、その分しつこいぐらいに「水分補給してください」と言われて実際水分も多めに取っていたので差し引き0になったと思われる。
献血時に行った血液検査の結果
献血時に行った血液検査については、後日郵送で白血球の値やコレステロール値の値が送られてくるようだが「ラブブラッド」という日本赤十字社のWebサイトで献血翌日には参照できるようになっていた。コレステロール値も基準内で一安心といったところ。
献血前に用意しておいた方がいいと思った事
・海外旅行が趣味な人は、献血前に直近1年以内の「渡航先の国と都市の名前」「滞在した年月日と滞在日数」をリスト化しておいた方がよい。上記でも述べたが献血の受付時にタブレットに滞在国と滞在日数を入力するし、都市名は問診で質問されることがあるため。(同じ国でもエリアによってマラリアの警戒レベルが異なることが原因)
・軽くでもいいので、献血前に食事付は済ませておくべき。受付で「昼ごはん食べてないんですよ」と言っている人が「では待合室に置いてある菓子でいいのでいくつか食べておいてください。次回からは極力食事後に来てくださいね」と言われていた。
その他、献血で気づいた事
・献血に来ている人は、いかにも何度も献血来ています、といった手慣れた人が多かったが、私のような献血が初めての人も何名かおり、献血への関心の高さを伺うことができた。(献血が初めての人は献血後の体調に特に注意を要するのか、首から別途その旨が書かれたカードをかけることになっている)
・受付時の申告で海外への滞在歴を申告するが、東京という土地柄も関係しているのかやはり海外旅行をしている人は多いようだ。中には「2月にヨーロッパを周遊してまして…イギリスとフランスとドイツとスイスと…あとはリヒテンシュタインと…」というようなツワモノのお姉さんもいて、リヒテンシュタインというマイナーなヨーロッパの小国が出てきたことで「リ、リヒテンシュタイン…ですか!?選択肢にあるかなぁその国」と受付の人も面食らっていた。(水曜どうでしょうの「ヨーロッパ21カ国完全制覇」で出てきたな、その国。 と思いながら聞いていた)
・この頃民放のラジオを聴いている人なら必ず耳にしているはずの「献血のラジオCM」乃木坂46のメンバーが「あなたの献血のきっかけは?」と問う内容で「気分転換」「趣味」などの答えの中に「…映え?」「デート!!」というのがあり「インスタ映えはまだしもデートで献血行くやつはおらんやろ」と思っていたが、実施献血ルームに行くと、明らかにカップル(か、夫婦)で来ている人もちらほらいて、実態としてデートで献血もあるんだな、と驚いてしまった。
・海外旅行とはまた違うが、献血は献血者の国籍で制限されることがなく、外国への滞在歴のみを問われるため、日本在住で直近で海外に行っていなければ外国人でも献血できるそうだ。(日本国籍の人と基準は一緒) 今回の献血ルームにも日本に住んでいるミャンマーの人が同じくミャンマー人の通訳を連れて献血しに来ており、国境を越えた善意に目頭が熱くなってしまった。
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