重い荷物を背負って海に行くだけの話なのにめちゃくちゃ泣けてしまう小説『塩の街』
昨日はちょい病みな文章を書いてしまったので反省。
今日はきっちり本の紹介をしていこうと思う。
タイトルにも書いたとおり、今日紹介するのは有川浩の『塩の街』。
『図書館戦争』とか『阪急電車』で知られている人気作家のデビュー作である。
刊行レーベルは電撃。
これは意外とみんな知らないのだが、有川浩はラノベ畑出身なのだ。
塩害とよばれる災害によって人が塩に覆われていく時代の日本を舞台にしたオムニバス作品で、7つの短編が収録されている。しかも表題作『塩の街』はゴリッゴリのセカイ系だ。
あらすじとしては実に単純で、群馬から出てきた少年が少女と出会い、その保護者的人物とともに海を目指すだけである。終盤まで大きな捻りはなく、淡々と話は進んでいく。それでもどこか危うい気配が漂っていて、ページを捲る手は止まらない。
そして終盤。序盤から張られていた複線が改修され、衝撃の結末へのアクセルが踏み込まれる。少年が海を目指した理由、思い、決断がすべて明らかになった後の静かなエンディングは泣かざるを得ない。
世界か、大切な人か。
セカイ系どまんなかをぶち抜く見事な短編だった。読む前はまったくそんな作品であることを想像していなかったので、読了後はしばらく放心してしまった。まだ7つの短編のうち、1つしか見ていなかったにも関わらず。
短編7つなんか読めねーよ、と思っている人も、とりあえず最初の1編だけ読めばこの小説の力が分かる。
ぜひ読んでみて欲しい。そしてセカイ系の素晴らしさにはまってほしい。
じゃ、寝ます。
今日は短めでお送りしましたよ。