![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163342664/rectangle_large_type_2_5da64bd1a732b3747454f710462521b0.png?width=1200)
微生物についてもう少し語りたい
大正ロマン研究室という名前なのに、なぜ微生物について語っているのだ、という話だが、そこは、、、うん。ご了承いただきたい。
なんせ私は大学で栄養学を専攻しており、腸内細菌叢について研究していたので、そこらへんについてはちょっとだけ人より知識があって、話したいことがたくさんあるのだ。
今日話したいのは、自然発生説について。
当たり前だが、私たち生物は親、もいう存在から生まれている。人間も、魚も、微生物も、もちろんダニも、親から子へ、親から子へ、同じ生命の繋ぎ方をしている。当たり前の事実ときて捉えられているが、この事実が正式に証明されたのは1860年。めちゃくちゃ最近である。160年くらい前、日本でいうと江戸時代の終わりくらい。それまで何が信じられていたかというと、
自然発生説である。
自然発生説_ 生物は親無しに無生物から一挙に生まれてくる、という説
これは紀元前のアリストテレスが提唱した説で、それが2000年近く信じられてきた。
生物は無から有へ突然生まれてくるものだとする自然発生説。この説を推す実験がなかなか面白い。
小麦粉と汚れたシャツを放置すると、ネズミができたので、ほら!自然発生だ!といい、真面目にネズミを発生させるためのレシピを書いた研究者もいる。(それは多分汚いところにネズミが寄ってきて繁殖しただけであろう。。。)
そこで一線を画す説を唱えたのが、スパランツァー二。無から有が突然発生するわけが無い!と自然発生説を否定する実験を行った。ガラス瓶に肉汁を入れ、完全に密閉し、1時間煮沸し、殺菌する。すると肉汁はそのまま腐らず、顕微鏡で見ても微生物はいなかった。外から何かしらの生物が混入しない限り、無から有が生まれることは有り得ないのだ!と発表した。
理にかなった説だが、これに対しても自然発生説派から異論が唱えられた。
「いやいや、煮沸したら生命の素となる空気がなくなっちゃうから、生物も生まれてこないにきまってるじゃん!」「人間が水の中で生きられないのと同じことをしている!」
とのことだ。まあ確かに言いたいことは分かる。(微生物には空気がなくても生きられる変性嫌気性菌もいるんだけどね)
そこで遂にこの説をも覆したのが、ルイ・パスツール。(やっと出てきた有名人!)
パスツールは、白鳥の首フラスコを発明した。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163339448/picture_pc_1ad958135ff488410fe9feae5c7824a2.png)
https://x.com/niku_dofu/status/1643930837078126593?s=46&t=CvH0OKr0opRNnxCs_IlEGA
⤴︎こんなやつ。
これは新鮮な空気が常時入りつつ、上空から微生物が落ちてこない、つまり外部からの生物の侵入がない状態を作り出したのだ。このフラスコに肉汁を入れ、煮沸し、放置しても生物が発生しないことが実験で明らかになり、遂に生物は無から発生することは無い。と証明された。
は〜〜〜すごいなと思いませんか。
ここに挙げているよりももっとたくさんの研究者達が、やれ自然発生説だ、やれ違うだなどと、たくさんの研究を行ってきた。そして現代の私たちが信じる「常識」が確立された。
常識の確立には何千年も必要な場合もある。
今私たちが考えている常識も、ちょっと生まれる時代が違ったら全くの嘘っぱちだったかもしれない。
常識は倣いつつ、疑え。
心に留め置きたいものです。