祖母の名古屋帯をクッションカバーにリメイク
祖母の形見の名古屋帯を、クッションカバーにリメイクしました。
作り方を簡単に紹介します。
着物や和裁の用語をあまり知らないので、読みにくいところもあるかもしれませんがご容赦ください。
お太鼓用に柄をつけてあるので、縦方向に使いました。
そうすると、そのままでは横幅が狭すぎるので、布を足して45×45センチになるようにします。
ここで、帯の幅×3÷2とすると、ちょうど出来上がりの横幅が45センチ弱になるので便利でした。
つまり、今回の帯では、大まかな工程はこうなります。
長さ48センチ(縫い代込)に切ったものを3枚用意します。
それを、柄の部分→無地の部分→柄の部分、とパッチワークのように横に並べて縫い、
無地の部分の半分の幅で折り返し、
上下は縫い、横はファスナーで閉じます。
無地の部分は、半分に折り返すといっても、実際には名古屋帯の手の部分を利用しているのでアイロンは不要です。
できたのがこちらの画像です。
以上が概要ですが、そのほかに下処理がいくつかあります。
解き
幅がギリギリなので、布幅を最大限活用するため、使う部分は縫ってあるところを全て解きます。
手縫いですし、古く弱った糸なので解くのも楽です。
帯の表布は思ったより薄かったので、解く時に間違えて布を割いたりしないよう、縫い付けてある芯はそのままにできないかと、最初は考えていました。
芯は薄く柔らかかったので、そのままでも厚みは問題なさそうでした。
しかし、刺繍をカバーする裏張りが縫い代まであった方が扱いやすいことがわかりました。
芯は縫い代まではカバーしていないので、表布と同じ寸法の別の平布で裏張りをすることにしました。
このため、結局芯も解きました。
洗い
私は省略しました。
絹の洗濯は色落ち、箔落ち、不均一な縮みが出るおそれがあるからです。
また、洗って縮むと目的の寸法が取れなくなるかもしれませんし、縫う時も、私はズボラですので普段は縫い線を引かず、少しの待ち針と布端をガイドに縫ってしまいますが、不均一に縮めばきちんと採寸して縫い線を引いてからでないと縫えなくなってしまう、というデメリットもあります。
アイロン
必要であれば適宜アイロンをかけておきます。
中温で当て布をして、押し付けすぎないように、かといって滑らせすぎると光る原因になるので優しく当てました。シミたり変に伸びるのが怖いので、霧吹きも当て布を湿らせることもしません。この方法で取れないシワは諦めます。
アイロンでは簡単に取れない折筋もありますし、そもそも横幅を最大限使うので、元の縫い代は、使えるところは戻さずにそのまま活用します。
裏張り
解きのところでも書きましたが、刺繍のある2枚には、縫っているときに刺繍糸を爪や針に引っ掛けないように、裏に平布を張りました。
私は、余っていたナイロンの四つ身の長襦袢の袖を使いました。袖幅の寸法は、解いて縫い代をアイロンで戻すと帯と近い寸法になり無駄が少ないです。ほつれも少ないのはいいです。
私は一目落としで手縫いで縫い付けましたが、ほつれ止めテープを端に貼るのでも良さそうです。
柄合わせ
この帯ではできませんでした。
名古屋帯では柄が一部分にしかないことが多いですし、折筋がキツくて使えない部分もあるので、柄合わせは難しいと思います。
総柄や、大柄でも袋帯ならできるかもしれません。
どこを使うか
この帯の柄は、お太鼓の部分と前の2箇所にありました。
今回はお太鼓の部分を使いました。
前の部分でもう一つ作れるので、近々また作ろうと思います。
その場合、真ん中の折筋を活用して、お太鼓で作ったのとは逆に、無地→柄→無地とはぎ合わせて柄の所で半分に折り返すことになりそうです。
そうでなければ、無地の部分の代わりに別の生地を使うかもしれません。
使った糸
自己流です。
3枚の布のはぎ合わせと、刺繍部分の裏張りでは、手持ちの普通の木綿の50番くらいの糸を使いました。色も普通の赤です。
ちなみに、この2工程は手縫いしていました。3枚布のはぎ合わせは別にミシンでも良いです。
その後40センチのフラットニットファスナーを買いに行ったついでに、絹のミシン糸を見つけました。
生地の色とほとんど同じで感動したので、揚々嬉々と縫い目が表に出てしまうファスナーつけに使いました。その後の上下の縫い合わせにも使っています。この2工程はミシンでしました。
作り方はここまでです。
この帯、色使いや柄行きはアンティークの味わいがあります。
昭和初期かそれ以前に作られたものですが、詳しい時期はもうわかりません。
地色は「牡丹色」とか「躑躅色」とかいうようです。
こういう帯はどんな着物に合うのでしょうか。
母も祖母が何に合わせていたか覚えていませんでした。
見当もつかないので、謎めいた存在感があり、気になって捨てるにも捨てられません。
もし美品ならば帯としてとっておいたかもしれません。
でも、シミ、黄変、箔剥がれなどがあり、古びてどうしようもありません。
ただ、破れやスレを見ると、祖母が実際に重宝していた名残だと偲ばれます。
そこで、ただ捨てるのではなく何か使えるものにリメイクして残そうと思いました。
初めはタペストリーのように壁に飾ることを考えていました。
でも、飾るとなればやはり汚れが気になってしまい、クッションでオチをつけました。
細かい柄であれば、袱紗、通帳ケースやポーチにしたかったのですが、それはまた別の生地でやるかも知れません。
他のリメイク案は、ピアノのトップカバー、花瓶敷き、ウォールポケットなどでしょうか。
他の方がどうされてるのかも知りたいです。