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再び円安モメンタムで介入警戒し始めるべき?
さて、Fedがまたタカ派姿勢を維持、今年はあと2回利上げが適切との発言をここ数日何度も何度も強調。一方で市場の織り込みは7月に1回のみ。パウエルさんのコメントをまだ全て信用していない。
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まず、私の年初の個人的なシナリオは、米国の利上げ停止と日銀の政策修正により年後半はドル円下落方向で見ていた。が、予想以上にハトな植田日銀と、好調な米国経済、タカなFedを受けて、USDJPYが下落するにはもう少し後ずれかと思われる状況になってきた。一旦テクニカル的に142円をターゲットにしてきたが、昨日しっかり上抜けてきたため、目線を上げざるを得なくなった。現在のターゲットは145円。それ以上は口先介入懸念が再燃するため、危険ゾーンに入ってくる可能性が高い。
昨年の財務省による円買い介入については、ちょうどFedの利上げ停止議論が始まったところに合わせて(流動性低いところを狙って)きたため、うまくいったように見えるタイミングだった。(そういう意味では見せ方は上手。)でも実際には円高よりもドル安、という側面が強かったように感じる。
ここにきて日銀vs外国中銀という構造のコントラストが一層はっきりとし、USDJPYは再上昇、また財務省・政府の口先介入的発言がちらほらと出てきているので、昨年の為替介入時と今の状況を比較してみる。
1. 円の価値:ドル円ばかりに目が行きがちではあるが、政府日銀は対全通貨に対する円の価値を見ている。indexの作り方(例えば対ドルが占める割合など)にもよって差はあるが、一つの例としてはCitiが作成している円の実効為替レート(REER)。昨年の最低レベルが74.6529, 現在が75.2580。日銀自身もREERを公表していて、そちらを参考にしていると思われる。そろそろまた前回のレベルに近づいてきてはいる。
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2.株高:前回と大きく違うのは、日本株が好調であること。円買い介入をすると必然的に株安に動いてしまうため、株高を歓迎している政府にとってみると冷や水を差したくないかもしれない。(インセンティブが低そう)
3.円安のペースと中身:財務省が気にするとされているのは、為替水準以上に、ボラティリティ(変動率)とどのプレイヤーが円を売っているか、ということ。実際財務官のコメントを見ても、「急速な変動は望ましくない」とか、「投機的な動きは望ましくない」といった内容が散見される。前回の場合、USDJPYだと、実に2ヶ月間で15%近くも円安になった背景が海外の短期勢が投機的に円を売っていたのが財務省には見えていたと思われる。今回に関しては、約3ヶ月で10%程度の上昇、そして今回は多くの海外投資家(特に欧州勢)が日本株を為替ヘッジ付き(この場合は円売り)で買っているといった背景もあり、その投資家カテゴリーは短期だけではなく長期投資家もいると思われる。すなわち、ファンダメンタルズで動いている中での実需の為替で、ペースはじわり、と言える。この状況を財務省はどう見るのか。これでも急激で投機的な変動、と呼ぶか。
4.為替報告書の変化:半期に一度米国財務省から公表される為替報告書において、日本は監視対象国から除外となった。これは政治的な意図が満載だろうが、見方によっては貿易相手国として見なされなくなった(つまり日本が為替操作しても米国にとってはどうでもいい?)とも言われている。しかし財務省側は当然、自分たちの日頃のコミュニケーションの賜物と豪語している。彼らとしては、介入に対して(国際)政治的な制約が一つなくなった形となる。
総合的にみると、為替をめぐる環境に変化が出てきたのは事実で、特に2と3の観点から、実弾の介入まではもう少し様子見かと個人的には見ている。
さて、ご存知の通り、口先介入のレベルにも色々あって、少しずつ財務省の怒(おこ)レベルが上がってくるのがコメント内に現れてくるので、昨年の流れをおさらい。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-21/RWL0OVT0AFB401
レベル1:変動が多少見られる
相場についてはコメントしない
市場動向に一喜一憂しない
レベル2:変動が続く
為替相場は安定的に推移するのが望ましい
相場は日本経済のファンダメンタルズを反映するのが望ましい
為替市場の動向や経済への影響を引き続き見守る
レベル3:注視し始める
市場動向を注視している
市場動向を注意深く見守っている
市場動向を大きな関心を持って注視している
レベル4:懸念し始める
急激/急速/過度な相場変動は望ましくない
経済のファンダメンタルズを反映していない相場は望ましくない
警戒感を持って市場動向を注視する
為替の行き過ぎた変動は日本経済に好ましくない/悪影響を与える
備考:財務省、金融庁、日銀が3者会合を開催し、為替市場に関する意見交換が行われる可能性がある
レベル5:懸念が増大
相場は経済のファンダメンタルズを反映していない
円安が急速に進んでいる
円相場の動きは行き過ぎている/一方的だ
レベル6:表現を加えて強調
急速で一方的な動きが見られ、過度な変動に憂慮している
為替の過度な変動や無秩序な動きは経済や金融に有害
物価や景気に与える影響について最大限の警戒感を持っていく必要がある
備考:為替の急速な変動を強調する際に「明らか」「過度な」などが使われる
レベル7:介入への警告
投機的な動きは容認できない
必要であれば適切な措置を講じる
急激で一方的な動きが継続する場合には、必要な対応を取る
レベル8:介入が視野に入る
あらゆるオプションを排除せずに適切な対応を取る用意ができている
投機による過度な変動には必要な対応を取らざるを得ない
ずっとスタンバイの状況だと考えてもらっていい
いつでもやる用意がある
ステルス(覆面)で介入することもあり得る
備考:日銀が市場参加者に相場水準を問い合わせる「レートチェック」を行う可能性がある
といった感じで怒レベルが上昇するらしい。
今回の場合は、まだレベル3ぐらいですかね。
鈴木さん、神田さんの発言に要注目しながら恐る恐るポジションとります。。。
投資は自己判断で。あまりリスク取りすぎないよう。
以上。