アニメ「葬送のフリーレン」ロスを克服するための備忘録
葬送のフリーレンは、「FRIDAY ANIME NIGHT(略称「フラアニ」)」という日本テレビ系の新しいアニメ枠で放送された。
最終回を迎えてみると、この時間設定は絶妙だったように思う。
金曜ロードショーが終わった後の、疲れて晩酌をしているようなタイミングに放送されたことで、大きな物語が終わった後の余韻に、フリーレンの物語がフッと入り込んでくる感覚を生み出したからだ。
葬送のフリーレンには、さまざまなテーマが無数に組込まれている。なかでも重要なのは、出会いと別れ、そして時間の儚さだろう。
当たり前のように人は出会い、当たり前のように別れる。
そして、人生の内でもう二度とは会わないかもしれない。そうした儚さを、ほとんど無限に近い時間を有しているエルフのフリーレンの視点で、読者も追体験していく。
6ヶ月間フリーレンを通じて体験した出会いと別れの感覚は、金曜日23時スタートという時間だからこそ共有できた視聴者も多いはずだ。
特に最終回では、ヴィアベルの「フリーレン。出会いは大切にしろよ。今生の別れってのは何も死別だけじゃない。いや、百も承知か」というセリフが単行本よりも響く。このセリフは、アニメを見ている視聴者に直接語りかけているかのようだったからだ。
それはおそらく、ヒンメルとフリーレンの言葉も同様だろう。
両者とも人と別れるときにあっさりしている理由を聞かれて、「また会ったときに恥ずかしいからね」と返す。このセリフも作品内の言葉を飛び越えて、次のフリーレンの話を期待する視聴者に語りかけられているように聞こえた。
その言葉通り、最終回はサラリと終わった。
(1級魔法使いレルネンの名前を出されると、この記事のテーマがすべて破綻するので聞かなったことにする)
劇場版制作決定の告知や、第3期を予告するような大げさなエンディングも無い寂しいけれど仕方ない。
私にとって、このアニメは一期一会の出会いのような存在だった。
放送時間や演出、タイミングなどあらゆる要素が噛み合って、奇跡のような作品になったと思う。
フリーレンに一瞬でも会えたことをかみしめながら、日常生活に戻っていくしかない。余韻が寂しい。フリーレンロスが加速する。
しかし、ヒンメルの言葉通り、「涙の別れなんて僕たちには似合わない」のだ。だからこそ、またフリーレンたちに会えることをイメージしながら、今日は23時までには頑張って眠ろうと思う。新たな出会いと別れを明日に期待しながら。