『どしたん?話聞こか?』 彼女はいたずらっぽく微笑み、パピコの片割れを手渡してくる。 「、、、はぁ、ども、、、」 受取りはするものの、口にする気にはとてもなれない。 『となり、座っても?』 指をさす場所は、となりと言っても、もう一つの空いたブランコの椅子のことだった。 そう、気づいたらこのブランコに座っていたのだ。 「勝手にどうぞ」 彼女に視線を向けるでもなく、ただ、もらったパピコをみつめる。溶けかけて、柔らかくなってるのがわかる。 『高校生?大学生?ウチ高3。多分、当時のま
パキッ パキッグシュバキッ ぼくはね、あきくん 人を治すだけではね アンバランスだと思うんだよ これからはね リンゴも潰せる医者 だよね
2月10日から20日の間、父が亡くなりました。 おそらく80前くらい?だったんだろうか。 戸籍事務従事者だった経験上からお話しますと、2月10日から20日の間に死亡。これだけでいろんなことが察することができます。 死亡日が確定しない。これは、医師が死亡確認をする前にすでに亡くなっていた事を示します。通常、医師が死亡確認をし、死亡診断書を作成し、役所に提出されます。しかし、医師のもとに”遺体”として運ばれたものは、医師はおおよその死亡日時を推定し、死因を特定し、警察は事件性があ
冷たい異物が痛覚を走らせる。 油断。 いや、違う。 刺される瞬間は察していた。 避けることも容易いはずだった。 とっさの私の判断は、刺されるのを望んでいた。 あの日以来、罪を償う事だけを考えて生きてきた。 だけど何かを成す度に実感していた。 私の罪は、例えどんな行いをしても、到底赦されるものではないことを。 本当の望みは、私の、私だけの神に、恕されること。 だから刺された瞬間は、ついにその時を迎えたのだと安堵に包まれた。 違和感を覚えたのはその直後。 幸い大きな血管に傷は
「さすが海翔くんね、心拍数、血圧、肺活量、どれをとっても問題ないわ」 白衣の女性はミーティングルームに入るなり、バインダーを隊長に手渡す。 「これで海翔も無事チーム入りだな。まぁ隊長の愛弟子だもんな、当たり前か」 アメリカの天才アルピニスト、マーク・アンドリューは海翔の肩に腕を回す。 「おい、変な誤解を与えるな。愛弟子だから連れて行くのではない。我々が生きて帰るために必要と判断したからだ。海翔のナビゲートはあのケヴィン・キングストン氏にも引けを取らない」 隊長と呼ばれる彼はウ
久しぶりだね。ここ、懐かしいね。 夢來も夢來のままだね。すずも元気?そう、良かった。 あ、私?うん、そう、義眼にしたの。 うん、いろいろあってね、この街離れたの、、、 、、、ごめん、嘘。 そうだよね、夢來に嘘なんてつけないこと、解ってたのにね。 逃げてた。 ううん、罪には私なりに向き合ってるつもり。 逃げてたのは、、、夢來から、かな。 私はね、夢來。 もう片方の眼も閉じて生きてきたんだよ。 私だけが夢來を護れる。私にとっての全ては夢來だって。 ふふ、変、だよね。 実際には私だ
子供は幸せであるべきだ。 少なくとも日本で生まれたのなら、肉親に暖かく見守られながら、健やかに育つべきなんだ。 それが叶わなかった私達が、子たちが集められたのがこの拝掌教の孤児院。 悲しい境遇の被害にあった子どもたち。 この子達はどのように成長して、底から這い上がっていくのだろうか。 この不格好で不器用な家族ごっこの渦の中で、少しでも幸せに過ごせてくれてるだろうか。 大人として、あいつ等とは違うという証明をできているだろうか。 私が今、大人としてこの子たちにしてあげれること。
もう消えた 夢の花が黄色く咲いて棘になる 傷だらけの願いを超えて 君を守れる? 最果てで 求めて 求めて 失っている 無色の自分に気付いて絞めつけた 赤色の感性が美しく見えて 曖昧な正義 突き刺した 己が産み出す痛みが 運命と溶け合う call me distortion ねえ 許してよ このナイフは美しい君の未来なのに 痛くなっちゃうから 片眼で見える夢なんか欲しくもないものばかりだ 2人で見させてよ 届きそうなんだ もう消えた 夢の花が黄色く咲いて 棘になる アザ
END1 両生存です。 えー、、、 それなのにお通夜状態です。 なかなかに辛いお話すぎました、、、 ネグレクトを受けて育ったHO1夢來とHO2撫子はそれぞれ傷を負い成長していきます。 防衛本能から、意思を主張しないことで自分自身を抑圧してきた夢來は、幼少期に授かった「祈るだけで相手を消してしまう特殊能力」により、教祖として崇められる。教団を導くものとして。 一方撫子は、ネグレクトにより身体的にも精神的にも多くのものを奪われており、心の支えである夢來だけは奪わせないという、異常
以前、ディスコードのTRPG同好会サーバーの雑談チャンネルでみんなのTRPGのキャラ作りについて話題になったことがある。 参考にする既存のキャラが居るかという話題。 自分は何も参考にせず1から作り出すタイプだったのだが、多くは各々好きなキャラを参考につくる人が多かった。 その方法もいいなと思い、今回挑んだCoCシナリオ「鰯と柊」のHO2の祓川撫子は境遇や性格から自分が好きなキャラを照らし合わせ詰め込んで作ってみた。 幼少期から全て奪われてきた撫子は、奪う側になることで自身を
みんな大好きFF7について。 中学生だった俺は学校終わりにセブンイレブンで受け取って、ワクワクしながらプレイしたもので。それはそれは面白く、難解なストーリーも魅力の一つだった。でも、そんな主人公たちの行動に常にモヤモヤを抱いていた。子供だった自分にはそれが何だったのかは理解していなかったが、今ならその正体がわかる。 テロリズムとエゴイズムに満ちたアバランチの活動。それを主人公目線で遂行するという気分の悪さ、直接的には見せないというご都合主観。世界を救うという大義名分に天秤を
『ごめん、、、』 こちらに背を向けてあからさまに落ち込む。その姿がかわいそうにも愛おしくも感じたのは嘘じゃない。 後ろから大きく成長した背中に抱きつき、頭を撫でる。 「ううん、謝らないで?ほら、私だって、赤ちゃんできない体だからさ。あまり落ち込まれると、私も辛い」 地肌の背中から心臓の音が鼓膜に直に伝わる。 「私達って、生まれてから、これからもずーっと幸せなんてなれない、望んじゃいけないんだよ。そういう運命なのかも」 彼は振り返り、優しく包むように抱き、キスをする。 冷たい、
ケテ、、、タスケ、、、
なんて、ジワジワと削ってくるシナリオなんでしょう。 一日目のホワホワポカポカ日常が楽しすぎて、ニ日目で風邪引きそう。 HO2柊の撫子はHO1鰯の夢來以外への興味がなく、なんともそっけない女。 神様など実は1ミリも信頼していないリアリスト。教団なんて家族ごっこ。無力だった自分の子供時代と被るせいか、子供が特に苦手。として挑んだつもりだった。 だが蓋を開けてみれば、端から見れば撫子は各々のバランスを大切にするとても面倒見のよい女として動くではないか。 幼馴染の真菰の金銭管理の大変
綺麗な灰色の瞳。こんなに他人の瞳をまじまじと見たのは初めてだった。 初めて、綺麗って、感情を覚えた。 小動物のように常に何かに怯える仕草。物音一つに身体がビクッと反応し、振り上げられた手の動きを目で追う。あぁ、こいつも同じなんだ。 私と同じ、”奪われてきた”人間なんだ。 「怖がらせてごめんな。俺は撫子。今日から家族?らしいよ」 握手を求め、彼女を怖がらせないように、下からゆっくり、手を差し出す。しかしやはりその手にあとずさりし、俯いてしまう。 「おまえ、名前は?」 彼女の負担
幻獣使い「やはり、、、この力を使わざるをえないでしょうね、、、本当は魔王までとっておきたかったのですが、、、」 敵のなんか強い幹部「くく、、、ここにきて負け惜しみですか?本当に人間という生き物は脆い、たった一握り力を入れただけでこの有り様なのですから。さぁ、貴方の召喚獣はすべて把握済みですよ。何を出すんです?月影狼【フェンリル】ですか?それとも世界を呑み込みし蛇【ミドガルズオル厶】ですか?どちらにせよ私には勝てませんよ?」 幻獣使い「この世に存在しえないと詠われた幻の獣よ、我