これが言霊の力ってやつか!
中学時代は演劇部。
わが校の文化部のラインナップは少なく、
吹奏楽、英語、演劇の三択の中から
消去法で部活を決めた。
花形の吹奏楽部は練習が大変そうだから嫌。
英語部は「あれはリンゴですか?」「いいえ。トムです」
から先の英語力向上が望めないから無理。
そんな理由で演劇部が候補にのこった。
役を演じたいと思ったことはない。
早く家に帰りたいとだけ思っていた。
わたしの中学では、
吹奏楽部が部活動の頂点で
一目置かれる存在。
一方、演劇部は
クセがある人たちの集まりという印象が定着しており
一歩距離をおかれていた。
まわりのイジワルな反応に神経質になって、
演劇部だけど、演劇部とは関係が薄い人を装う方法を探す日々。
部活の話題になると
「なぜ入部したのか、どんな活動をしているのかわからない」
と唐突な記憶喪失を演じて話を深掘りされないようにしていた。
大人になっても「中学時代の部活」に触れられると
「今この瞬間から君はわたしの敵だ」と判断し、相手を睨みつけた。わたしのなかで「演劇部」はタブーだった。
ところが先日。
担当してくれたネイリストの女性が
「羨ましい!演劇部にはいりたかったけど、わたしの学校にはなかったの」
という。
「絶対楽しいですよね!いいなぁ」
彼女の目はキラキラしている。本心なのか!
わたしは他人の顔色をみてコロコロ意見を変えるのが得意だ。
「すっごく楽しかったです!
わたしは照明担当で、動きまわる人を光で追いかけるのが好きでしたよ」
「なんてね。実は黒歴史だよ」と思っていたが、
無理やり「楽しかった」と口にすると変化がおきた。
部活を通して他クラスの友達ができたこと。
その子たちに肝試しや怖い話に付き合ってもらったこと。
舞台で役を演じる友人に光を当てるのは、嘘ではなくて本当に好きだったこと。
笑って過ごした おもひでがぽろぽろ。
この日から演劇部はタブーではなくなった。
まわりの評判に怯えて、
逃げてばかりの自分が情けないという気持ちだけは残っている。
でも
「黒歴史」のラベルがひとつ消え、
かわりに
「楽しかった日々」というラベルがひとつ増えた。
肯定的な言葉をかけてもらう
肯定的な言葉にかえて声にだしてみる
それで開けるな危険の扉に光がさした。
これが言霊の力ってやつなのか!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?