とりあえず世界のせいにする
「いきなり後ろにいたから驚いた」
「気配を消さないでよー。心臓とまりかけた!」
って、存在感がないことについて怒られがちです。
おこ気味に「気配を消さないで」とリクエストされるけど。そもそも気配をかもしだす方法も、消す方法もわからないのですが。気配って自由自在にだしたり、しまったりできるものなの?忍者なの?
ちなみにヌゥっと無言で突っ立っているわけじゃない。ちゃんと声をだしている。「私います!」って自己主張をしています。
あとは、人とよくぶつかる。
私は衝突を避けるため、右へ左へふらふらするのだけど、スーパーマリオブラザーズのハテナボックスを目がけているかのごとく相手の方からぶつかってくる。もちろん私からアイテムはでない。
どうやら私って、いきなりあらわれたようにみえるらしい。私があまりにも人々の視界にはいらなすぎている。
これはもう。私自身の存在感の有無は関係ない。私は世界からいじられている。私と、私以外の人とを隔てるマジックミラーで遊ばれているのだと考えることにした。
これは数時間前の職場での出来事だけど、窓口にロングヘアの美人がやってきた。
「はいはーい」
と私は席をたち、美女と向かい合う。
美女がまるで無反応だったから、もう一度
「はいっ!」
と声をかけた。
それなのに、彼女の視線はずっと手元の書類がひとりじめ。
なにか思いつめているのかしら。
その紙に悲しみが綴られているのかしら。
「いいよ。声がだせるタイミングで話しかけて!私ずっと待っているから」
そう思って、ずっと彼女の第一声を待っていた。そうしたら、美女がふっと顔をあげて
「うっわ!いたんすね」
書類を落としかけつつ、心臓のあたりをおさえつつ、頬をヒクヒクさせながら笑いました。
いたいた。ずっと君を見てました。
でも気にしない。
世界にからかわれているだけですから。
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