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Whity Dearest(うちよそSS)

空から降る雪が、地を白く染めあげたその日、人々の営みは暖かく穏やかであった。
家々には明かりが灯り、窓から映る影には健やかなれと祈りを捧げる姿もあれば、子供たちが靴下を窓辺に飾る光景も見えてくる。
クリスマスという、皆で日頃の生に感謝の祈りを捧げ、大切な人との時間を過ごす一日。
初めて経験する千歳は、その優しい街並みに頬をほころばせながら家路を少し早足で歩いた。
「くーちゃん、今日は雪もあるさかいはよ戻るって言うてたけど、多分こういうことなんやろな。
こんな素敵な風習が、みんなのものになるとええのになぁ」
少し赤くなる耳を時折手袋で暖めながら、千歳はそう独りごちた。

「メリークリスマス!おかえり!」
家に帰ると、赤い帽子をかぶり、レースがあしらわれた白いドレスを来たクリスがいた。
「ただいまくーちゃん。
えらい張り切った格好やねぇ。どないしたん?」
「今日はクリスマスだし、久々に着飾ってお祝いしようと思って。あっちに僕の作ったケーキもあるからね」

千歳は久しぶりに女性もののドレスで着飾ったクリスを見て、一瞬呆気に取られたように口を開けた。
男性なのにドレスが似合ってしまうのは、この人の好きなところのひとつだったなとふと思い返すと、そのまま頬が緩んでしまう。
気持ちの勢いのまま後ろからそっと抱きつき、少し見える素肌の温もりに触れてみる。
「……綺麗やわァ。うち、もし何か贈り物が貰えるなら、くーちゃんが欲しいわぁ……こんなに素敵で綺麗なくーちゃんが……」
「そんなこと言わなくたって、僕は君のものだからし、君は僕の大事な人だよ」
前に向き直り、クリスは千歳に口付けをする。
いつもより長く、いつもより深く。

少しだけつま先を上げる千歳の姿が愛おしく、そのままきゅっと抱き寄せる。
お互いに欲しいものは、目の前にある。
それだけで、この日はよかった。

「……うちからも、メリークリスマス。クリス」

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