脱プラス思考
スピリチュアル界隈で言われているようなことだが、思考が現実化するから、プラス思考で生きようとかいう考え方を最近よく聞く。
私も、旦那が突然死んでしまってから、様々な本を読んで、皆一様に「プラス思考」「マイナス思考は悪である」というような内容を目にして、それを信じて何事もプラス思考で生きていけば、今のこの悲しみから逃れられると思っていた。
しかし、どれだけプラス思考に考えていても、次々に心配事が出てくる。例えば旦那の代わりにどうやって働こうかという心配。娘が転校先の小学校に馴染めるかどうかという心配。次に母が心臓病で入院してしまったために、その心臓の心配。家事の一切を私一人でしなくてはいけないストレスと心配。
しかし、こんな風にがっくりと落ち込んでいる人に向かって、「そうか、大変だったね。」とヨシヨシするのが優しさだと思う。もしこの状況でも尚「心に描いたことが現実になるのだから、プラス思考で生きなよ。」などと言えるのは、もはやサイコパスじゃないと出来ないことのような気がする。
そもそも、旦那が突然死んだり、娘が小学校のうちに2回転校したり、母が救急車運ばれて入院することなど、私は一切心に思い描いた覚えはない。
よく考えてみると、映画やドラマで素晴らしいものや感動するものは、ずっとプラス思考では感動が無い気がする。
①例えばあるところに女の子がいるとする。
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②この子が突然大金を拾ったとする。警察に届け出たが持ち主が現れないので、大金のほとんどがその子のものになったとする。
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③社会人になった時、素敵な男性が現れて恋愛関係になったとする。
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④この恋人は実はこの子のお金が目当てで付き合った人物であり、大金を全部彼に持っていかれてしまったとする。
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⑤落ち込む
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⑥彼女を励ました友達と恋愛関係になり、結婚する…
といったような映画やドラマがあったとして、④と⑤の「マイナス感情」がなければ、ただひたすらいいことしか起こらない人生の話で、何にも面白くない。少なくとも、映画館で観たならば、途中で眠ってしまうか、もう二度と観に来ないか、ストーリーを覚えていないだろう。
つまり、お腹が空くからこそお腹がいっぱいになったときに幸せを感じるし、病気になるから健康であることのありがたさに気がつくのだ。
これは、「悲しい時は、プラス思考!」じゃなくて、未来の私からの人生の物語の壮大な伏線なのだと思えばいいということかもしれない。
♪Pinkie【未来のあなたが笑ってないなら 歌いかける今に 気付いて欲しい】
だよね?