今
幸せですか?阿佐ヶ谷姉妹が「玄関開けたらいる人」というのをチャンネルを変えたらやっていて、以前笑ってしまった事があったのだが、私の場合、中学生の頃こんな事があった。
私は、学年でなぜか選ばれた男子2人と、女子2人で放送委員になり、毎日お昼の放送をしたり体育祭や文化祭の放送をしたりする役割だった。一緒にやった女の子は親切で運動も勉強も出来るようなショートカットの似合う皆の人気者みたいな子だった。男子のうち1人は色黒な学級委員タイプの子で、自分の心の中を全てオープンにしているような子だった。もう1人は、目立つタイプではないが、色白で音楽や機械に詳しくて、顔立ちが整っていた。毎日のように色んな音楽をかけるので、好きなアーティストのCDをお互い貸し借りしたりして、仲良くなった。私の家は小学校のすぐ横にあり、当時スラムダンクが流行り、Jリーグが出来た為に小学校の校庭に男子がバスケやサッカーをしに来ていたので、休みの日もこの放送委員2人を小学校で見かけた。
私は、この色白な子がなんとなく好きになったのだが、ある日、休みの日に家に居ると、またこの放送委員2人とその友達が10人ぐらいで小学校に遊びに来ていた。すると家のチャイムが鳴った。母が出ると、阿佐ヶ谷姉妹のあのセリフを言うおばさんがいた。
『今、幸せですか?』
母は、「はい、幸せですよ」と言ったと思う。するとそのおばさんは、
「今、うちの息子が小学校の校庭でお友達と遊んでいると思うんですけど、お宅にも娘さんがいらっしゃるんですよね?息子がお世話になっております…」
え?どっちの子のお母さんだ?
「〇〇と申します…」
ウソだと言って!…色白の子の方じゃん!
「そうですか、こちらこそお世話になっております。でも宗教に興味はないので、失礼しますね。」と言って母は戸を閉めた。強いな、我が母よ。
その1件があってから、色白の子とそのお母さんの考え方は違うとは思っても、何だか近寄りがたくなってしまった。仲良くなったら、このお母さんと関わるのか…(そこまで中2で考えた私もどうかと思うけど)めんどくさいな。
学校に行くと相変わらず色白の子と話したり、新しいCDの貸し借りが出来る事が嬉しくてワクワクしていたが、そのまま卒業して別々の高校になった。
私が関東に戻り、就職してから高校時代の友達に会いに行く時、あの色白の子は何してるかな?と思って調べて見ると、美容師になって美容院をいくつか経営してイケメン美容師として紹介されていた。商業高校に行ってたから、その頃から色々考えていたんだろう。
美容院でどんな曲をかけているのかな。中学の頃よく聴いてたアーティストの曲とかかけてたらなんか嬉しいな。私が今大好きなアーティストと同じアーティスト好きだったりして…とか妄想すると、心の中でこの子のお母さんの声がする。
『今、幸せですか?』