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自分の形

娘が学校に行きたくないと毎日言う。幼なじみなんて居ないし親しい友達も出来ないし趣味の合う子が居ないし休み時間が苦痛という理由らしい。休み時間はノートに絵を描いているそうだ。

毎日毎日行きたくないと言うので『まとめテストで100点とったらコピック(画材)10本を買ってあげるよ。コラボカフェにも連れて行ってあげようかな。』とご褒美を発表してみると、「じゃぁ、テストしに学校行くわ。」と行ってしぶしぶ学校に行った。休む事になると、連絡帳に記入して、同じ登校班の子にその連絡帳を学校に持って行ってもらわなくてはならない。登校班のLINEにも連絡しなくてはならない。親の私はそれが面倒なだけなのだが、出来れば楽しく学校に行ってもらいたいと思う。そうして数日間はテストを受ける事を目的に、学校へ行っていた。

その2日後ぐらいにテストが返却されて私は驚いた。国語も算数も理科も社会も100点をとってきたからだ。娘は『やったー!コピックー!コラボカフェー!』と笑っている。正直、全く復習もしていないようだし、家に帰ってきてから寝るまでずっと絵を描いていて、100点なんて取れっこ無いと予想していたからだ。オンライン講座で『推しの絵を描くと学校の成績が良くなる』という話を聞いてから、娘は果たしてそうなるかな?と疑問があったけれど、その話は本当だったんだ!と確信した。

コピックを買いに電車で娘と出かけた。旦那が死ぬ直前に回転寿司屋さんに行った事もあり、苦しくなってしまう為に娘も私も回転寿司屋さんに行けなくなってしまったのだが、いくら丼が食べたいと言った娘に和食のカフェに連れて行くと、大喜びでいくら丼が来るのを待っていた。待っている間に娘は「YouTubeでお絵描きする人がいて、こんな絵を描いててね…」と言って、それを真似て自分が描いた絵の写真を沢山見せてくれた。そのYouTuberさんはゲーム実況もしていてすごく楽しそうだ。

私は娘に毎日絵を描きなさいなんて一言も言ってない。自分でこうする事が楽しいというものをもう自分で見つけている。すごいなぁ。

同時に娘と同じ歳に私も引越しして転校した事を思い出した。転校してすぐ母が半年間手術入院して、私が家事をやり始めた事。退院した母のお祝いに外食に連れて行ってもらった事。でもその時にした会話は、私がその時にハマっている楽しい事の話なんかではなく、いかに母が手術後痛かったかという話をただただ聞いていただけだったなぁという事だ。

【現代人は自分で自分の形が分からない】

オンライン講座で講師の方に、自分はどんな仕事がしたいのか分からないと相談すると、こう言われて何だか納得したのだが、私の世代の人は自分の形が分からない人が多い理由は分かる気がする。娘と私を単純に比較してみても、個性を潰すような教育ばかりされてきたんだろうと思う。

久々に晩御飯を食べに来た兄(51)にその話をすると、会社がもう最近はひどいと言っていた。社長が亡くなり、専務が常務に、部長が専務に、課長が部長に…といった具合に昇格したそうだが、「俺が部長になったからには、パワハラだ、モラハラだとか言い出したら、ただじゃおかないからな!」なんて言い出したそうだ。

(そういうのをパワハラと言うのでは(笑)と心の中でツッコんだそうだが。)

そして、何でもYouTubeで自分で調べられる時代になったんだから、ITリテラシーっていうのかなぁ、スマホの料金プランの見直しとかをいい加減自分で勉強していこうと兄妹で誓った。


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