2. 坊主と幻のオウムを探して
こんにちは。眠りです。
◆ みんなで学ぶ「兆円の人」シリーズ
第2話目は「兆円の人」にまつわる、オウムのお話です。
今回は「兆円の人」の側近が登場します。この側近の方に関してもまた一つには収まりきらないエピソードがありまして、まずはうなぎにするか、それともオウムにするか…迷ったのですが、ええい!今回はオウムだ!ということになりました。
オウム…??
さあ、今日も先の読めない展開になりそうですね!笑
それでは、今日もまいります!
◆キレキレ坊主登場
「兆円の人」がある日ある時、眠りにこう尋ねました。2018年11月ですから今からもう6年も前の話になります。
「オウムって飼ったことあるか?」
「え?いや、インコなら」
「インコじゃない。オウムだ」
「…ないですねえーーーー」
インコよりも身体が一回り以上大きな、あのオウムですよ。周りでも飼ってる人なんて…
あ!!お一人いらっしゃいました、某製薬会社創業家の某氏が。
製薬会社創業家のその方は、莫大すぎるご自身の資産を日本のイミフな超絶重い相続税から守るべく、平たく言えば税金対策のため、この国に移住してきた方でした。
それ自体はこの国にはよくあることなのですが、この方は少し変わり者だというので界隈では有名でした。誰ともつるまず、いつもお一人。たまにゴルフを何人かの決まったメンツでするくらいで、大抵は、日本人会の中にある某日本食店のカウンターの、いつも決まった席で、お一人で夕飯を食べているのが常という方だったようです。(ゴルフのお仲間談)
その方が半分道楽みたいにしてオウムを飼っていて、少し前に3億円をかけてオウム専用の家を建てた、という話を兼ねてから聞いていました。
しかしいきなりこの方にアプローチするのはハードルがあまりに高すぎるので、こちらはゴルフ仲間の方に頼んでそれとなく、良さげなオウムを一羽くらいお譲りいただけないかな…?とダメもとで図々しい打診をしていただくことにし、まずはできるところから地道に、良いオウムの情報がないか探ることにしたのでした。すると「兆円の人」がこう言い足してきました。
「ちょうど、オレが人生で初めて自分の会社に引き抜いたばかりの部下がいる。近々こっちに異動して来るから、彼と一緒にオウムを探してほしい」
そんなやり手の社員さんと組んでオウム探しなんて、あまりに面白すぎるので眠りは二つ返事で引き受けたのですが、その方は来ていきなりの任務が「オウム探し」となるのですね…笑
ここでなぜオウムを欲しがったのかも書いておきましょう。眠りも思ったんです、なんでオウムやねん?と。
なんでも、ご自宅のお隣りさんがオウムを飼っていて、これが大層愛嬌があって、いつもかわいく飼い主に向かっておしゃべりしていたそうなんですね。それを見て「欲しいぃぃ!!」となったんだそう。奥様も同様に乗り気で、ぜひうちにもかわいいオウムを!とご家族で盛り上がっていたようです。
そうして「兆円の人」の会社の有能な側近の方と一緒にオウムを探す「眠りの不思議な旅」が始まりました。
◆金髪と坊主。あるなし対決「なし」
少ししてからその側近の方が入国されたとの連絡が入り、「オウムチーム結成」のご挨拶を近々行うこととなりました。
…見事なほど綺麗な坊主頭をしていました。禿げているという感じではなく、寺の住職さながらでご自身で剃っているということでしたのと、お顔立ちは歌舞伎役者の海老蔵のように、切れ長で大きな瞳をお持ちでした。
東南アジアのこの国に住むのは二度目らしく、元々は金融畑で長いことご活躍なさってきた方です。眠りは「兆円の人」の会社事情はよく存じ上げませんので、この方がどんな役職なのかは今ひとつ把握していないまま今に至るのですが、多分、秘書室のトップとか、そんな感じだったんじゃないかなと思います。英語もよくお出来になるので、その後も「兆円の人」と共に海外へもよくお供をしておられたようです。
それまで長い間、生き馬の目を抜くような金融業界でご活躍なさっていただけあって、初対面でご挨拶した時の眼光は非常に鋭かったのを覚えています。いや確かに、眠りはこの大事な日に、失礼にも少し遅刻してしまいましたので、緊張感のないやつだと思われたのもあったのかもしれません。加えて髪の毛は金髪でしたのでそれもあるのかな。
「こいつ、大丈夫か?」
目がそう言っているの、よーくわかりましたので笑。しかしながら眠りとしては、お!チャンス到来!!とすら感じていました。
世間でよく言われる「人は第一印象で決まる」みたいな世論は眠りの辞書には皆無でして、むしろ、「初対面で印象が悪ければ悪いほど、その後加点しかないわけだから超ラッキー!」くらいに思っていました。それゆえ、この蔑みを隠しきれない目の色も、眠りにとってはしめしめ、なかなかに幸先のいいスタートだ。としか思いませんでした。(心臓が強すぎるので…褒めてください♬)
とにかく我々2人の間にあるのは、
「愛嬌のある可愛らしいオウムを手に入れること」
これだけなのです。このたった一つのミッションを達成しさえしたら解散できる、至って気楽なチームです。
そうして私たち「金(髪)つる(ピカ)コンビ」のオウム探しの旅が始まりました。
そんな折、あろうことか、それまで一度も聞いたことのない「オウムショー」なるものが、眠りの会社の目と鼻の先で開催されることがわかりました。ええ〜!!超ラッキーなんだが??いやー、これもう運が向いてる!!楽勝じゃね?!すぐ見つかって即解決かなこれ!!
これがその後始まる、長〜くて深〜いうさぎの穴の入り口だとも知らずに「楽勝やんけえ!!」浅はかな眠りは、心底からそう思っていました。
◆オウムの生態あれこれ
そうして行ってみると実に色とりどりの美しいオウムたちがたくさんいて、そこでオウムのブローカーの方々と知り合うことができたのでした。(人生でオウムのブローカーとお話しする機会が来るとは思ってもみませんでした)
※冒頭の写真がその時撮影したものです
オウムというのはとても賢く、それだけに非常に繊細らしく、取り扱いを間違えると「かなり面倒くさいペットになってしまう」のだとブローカーの人は言っていました。
だから飼い方が悪いと普通に鬱になったりするし、とても攻撃的になるケースなどもあり、そうなると飼い主の手には追えなくなる。それで無責任にもそこらへんに放してしまう人も少なくない。だからブローカーとしては、事前に買い手がどんな人物なのか、また、飼いたいという気持ちの本気度をよくよく確認してから販売に踏み切っている、ということでした。
「買い手(飼い主)がどんな素性の人物か」
「どれだけ本気で飼おうと思っているのか」
このあたりを何度も何度も確認しているのだと。
ペットを飼う上ではごくごく当たり前の部分とは思いますが、事前にこうしてしつこいくらいに確認してくるということは、それだけオウムが犬や猫ほど気軽に飼うことができない、難しい動物なんだなと、オウム探しをする私たちの誰もが認識を改めねばいけないんだろうな…と薄々勘づいてきたのもこの辺りからでした。
オウムに限らずでしょうが、ずっと籠に入れっぱなしは良くなくて、そうすると運動不足でストレスが溜まってしまうため、定期的に広い場所を飛ばせてあげなければいけない。そして夜になったら布をかけて暗くして、ゆっくり休めるよう静かな環境を与えられるようにしなければいけない。
また、家族がいたとしても「基本的にコアとなる主人を誰か一人決める必要がある」んだそうで、オウムがその人に照準を合わせて信頼関係を築いていくので、その人が仮に出張があまりに多い人である場合、寂しくてオウムのメンタルが不安定になってしまうことがあったり、また、他の家族の言うことを聞かないケースもあるのだとか。そのため、出来るだけその「主人役」となる人は、普段から家に居る人であることが好ましく、オウムと長時間顔を合わせることが可能であること。などなど。まだあったような気もしますが、、今思い出せる範囲でもこのくらいありました。
このように、飼い主に求められる条件が、ご出張の多い「兆円の人」にとってはマッチしていない側面も調べていくうちにあることが判明したわけで、ご自身が主人となるよりは、奥様を主体としてオウムを飼う方向へと、「兆円の人」自身も、「お金を払ったら終わり」ではないところで、シフトチェンジをせざるを得ませんでした。
しかしそれでもなかなかちょうどいい感じに陽気で適度なおしゃべりをしてくれるオウムは見つからず、幸先がよさそうに見えたオウム探しではありましたが、この後ますます困難を極めていくのでした。
なんというか、文字通りドツボにハマるの典型みたいな展開となり、「オウムチームでちょうどいい感じのオウムをちゃっちゃっと見つけてハイお終い!」というふうに、当初私たちの誰もが考えていたほど簡単には決していかず、オウムを見つけることも飼うことも、それらの奥深さというか、手間というか、相性というか、まあそのどの要素も互いに絡み合いつつ、このオウム探しまさかの迷宮入りか…
そうしてオウムのことばかり考える日々がしばし続きました。オウム探しは眠りの業務ではないとはいえ、当初の楽勝だと感じたところからの落差が大きすぎて、「敗北感」でいっぱいでした。
もちろんブローカーがオウムを非常に大切に扱っていることは、動物愛護の観点から見て非常に好ましいことでしょうし、物のようにホイホイと、これがダメならあっち、みたいなやりとりを好まず、とても慎重に対応してくることに誰一人異論があるわけではありませんでした。
しかし、そうなると別の側面として、なかなか数多くを紹介していただけないという背景もあり、長期戦を覚悟する雰囲気になりつつありました。
ブローカーからの提案として、今ちょうど良いオウムがいないなら、赤ちゃんオウムが生まれるのを待ってはどうか、とも提案されました。そうなると今すぐの手配が難しいので、ある程度育つまで、つまり数年かかることになります。
しかし何年も待っているわけにはいかないので、側近の方が「オウムを販売しているお店」にも行ってみましょうと提案、そちらへ見学に行くことになりました。そうして一帯にあるお店を片っ端からはしごして良さげなオウムを探してみるのですが、、、
まあ〜これまた、なかなか「ちょうどいい」がいない!!笑
かわいくおしゃべりする、でも喋りすぎないオウム、というのが本当にいない。そして意外に無口が多い。それらは「オウムの性格」なので一旦そういう性格であるならばその後に直るとかはほぼない、とお店の人は言いました。
最初のうちこそ、見た目もまた鮮やかで美しいものを、とリクエストされていた「兆円の人」も、もうこうなったら見た目はどうでもいいので笑、「とにかく性格の穏やかな適度にしゃべるオウムを」と条件を性格だけに絞っていくことになったのでした。
…しかしそれでもなかなか見つかりません。
とうとう最後の妥協案として、子どもというにはやや育ってはいるけれどもまだ若いオウムを、トレーナー指導の下で飼ってみてはどうか、という方向になりました。
そうしてお家でトレーナーがお伺いして躾について指導しながら、飼い主(「兆円の人」)とオウムとでマッチングを何度か試みたそうなのですが、「めちゃくちゃうるさいおしゃべりオウム」か「ひと言も鳴かないし話さないダンマリ無口オウム」のどちらかしかいなかったそうで、結局オウムを飼うことを断念なさったのでした。
このオウム・マッチングが始まったあたりで、一応はオウムそのものは「見つかった」ということでミッション終了、「金つるコンビ」は解散となったのでした。
オウム・ミッションは明らかに不完全燃焼に終わったものの、その後も何かとこの側近の方とはお食事にお招きいただいたりして、初対面の時の「最悪な印象」からの「加点に次ぐ加点」により、「あいつ、まあ悪くないな」くらいの合格点には到達したんじゃないかと、勝手に納得している次第です。
そうだ、忘れていました。3億円のオウムハウスの方からの、「オウムくれないか」に対するお返事。何百羽もいるオウムだけど、どれ一つとっても他人になどあげらない!!問答無用!!ということでした。しかしながらこの方が本帰国なさる際、全部をバードパークに寄付なさったそうなんですけど、寄付するのはええんかーい!!ってみんなでツッコミましたけどね!
以上、終わり。
◆第2話目の教訓
オウム飼う?なら相当な覚悟しとけ♬
第一印象が悪いほど「チャンス到来」
「兆円の人」をきっかけに始まった「オウム探しの旅」。今回も、お読みくださった読者の皆さまの参考になれば…幸いです。(何のw)