【オススメ本】創作での評価を気にしてしまうのは、あの文豪も同じだった
そもそも、私は自信をなくしがちだ。
生き方も仕事もこのままでいいのかと思うし、何かを買うのだってこれでいいのかとよく自問自答して、気付けば30分は過ぎている。
特に他人の近況や実績を見聞きすると、より一層その度合いは高まる。
「今まで自分がしてきたことは間違っていたのではないか」とか「あの人みたいに動かないと」と急な焦りに駆られてしまうのだ。
結婚や仕事など、大体の人が抱える要素でも不安になりがちな自分ですが、ここでは創作活動での自信の持ち方について取り上げたいと思います。
私は先ほども書いたように自信をなくしがちな性格なので、書店や図書館で自己啓発系の本をちょこちょこ読んでいます。その中で、最近刺さった一冊がこちら。
これは著者の伊佐敷さんが、様々な経緯を経て、38才で念願の大学教員になるまでに、自身を支えてくれた先人たちの言葉を紹介した本です。
中でも自分に刺さったのが「自信の保ち方」という項目での、明治期の文豪・夏目漱石の記事。批評『文展と芸術』や弟子へ宛てた手紙を通して、漱石の創作的活動における不安との向き合い方が紹介されています。
実際のページでは漱石の文章を読みやすい形で引用し記載されています。
それを読んだ方がより分かりやすいのですが、流石にその全てを書くわけにはいかないので、ここでは伊佐敷さんによる要約箇所を引用させていただきます。
なんだこれ…めちゃくちゃ分かる…!
まさに自分のことを言い当てられているように思えました。
ひとつ例を挙げると、私は趣味の範囲ではありますが、一次創作漫画を描きます。プロットやコマ割り、下絵からペン入れ、仕上げのトーン・ベタ塗りといった工程の間、確かに不安を感じることはそう多くありません。
そりゃ自分より上手い人やプロの作品を見てしまうと、ちょっとぐらつきはする。けど、それよりも今自分が取り組んでいる作品を描き進めることに夢中で、不安など感じている暇はないのです。
むしろ「これ大傑作かもしれない…自分天才なのでは…?」とまで思うくらい、超ポジティブ思考になっています。完全に自惚れですね…笑
それがいざ完成してみると、急に不安が襲ってきます。
pixivやX(旧Twitter)など、作品をアップした先を見に行っては、人からの反応を気にしてしまいます。閲覧数は増えただろうか。いいねはもらえたろうか。RTは?コメントは?…などなど、どこまでも不安は募っていく一方なんですよね。
この本を読んで驚いたのは、作品が完成した瞬間に不安が生まれるというメカニズムを、100年以上も前にすでに突き止めていたこと。
そして、文豪と呼ばれる偉人もまた、完成した作品に対する他人からの評価を気にしていたことです。
比較するものおこがましいですが、私自身は漱石のように国を背負って英国留学したわけでも、中学校教師でも教授でもありません。人並みに就職して、一次創作を趣味とする身です。偉人と呼ばれる人ほどの、怒涛の人生を歩んでいるとは、我ながら到底思えません。
ですがその規模や分野は違えども、創作者であることは共通しています。
自分で思い描いた情景や物語を形にするべく、日々作品づくりに勤しんでいたのは、かの偉人も一緒であったと思いたい。
そうした創作する人間として見ると、教科書に載るような作品を書いた文豪も同じ不安の中にいたんだなと、妙に親近感が湧いてしまうのでした。
伊佐敷さんは、この漱石の記事に寄せて以下のように締め括っています。
人からの反応が気になったら、次の創作活動に移るのが最善な手段なのでしょう。
例えば何か一枚絵を描きあげ、ネットにあげたとする。
あげて数時間〜数日は反応を気にしてしまうでしょう。
ここで大事なのは、そんな気持ちに囚われすぎないことです。
「ある程度反応に満足したら次の創作物への作業を始める」、もし思った反応がなくても「一つの作品を最後まで仕上げられた!自分すごい!」「ここの部分上手くできて自分は好きだな」と自分自身で褒めたら次の創作物へ着手する。
このように一つの創作物の完成に浸りすぎないことで、人からの反応が気になりづらい上に、新たな作品誕生へのきっかけにもなるわけですから、一石二鳥な考え方と言えるでしょう。私もこの精神で、今後の創作活動に勤しんでいきたいと思います。
以上、この言葉との出会いをきっかけに、なぜか文ストのアニメを観始めたmikomaがお届けしました。