連作短編と連作長編
長年出版界で禄を食んでいるが、「連作短編」という言葉を使う人と「連作長編」という言葉を使う人がいて、混乱する。
おそらく前者は、「いわゆる短編集とは違って、すべての収録作品の作品世界や登場人物が共通する短編が集まってますぜ」という意味で、後者は「一編一編短編として読めるが話はつながっていて最終的に長編として楽しめる小説だよーん」ということなのだろう。前者はあくまで短編集で、後者はあくまで長編という矜持があるにちがいない。
ヘタレの私は単に「連作」とだけ言うようにしている。
(写真は、井上靖『夏草冬濤』の舞台、沼津の千本浜)