サンドイッチマン風ネタ~「取調室」
「52番」(と不機嫌そうに富沢)
伊達ちゃん入ってくる。
「伊達です」
「52番だな」
「伊達です」
「あなたは誰なんですか」
「人に名前を聞く時にはまず自分から言う。それが普通じゃないのか」
「だから伊達です」
「…そうか」
「だったら聞いてもいいですか」
「何だ」
「あなたのお名前をお聞きしてもいいですか」
「53番だよ」
「うわ、俺の次…警察官の方ですよね」
「この格好をしていてソープランド嬢に見えるのか」
「見えません」
「そうだろうな」
「異論ありません」
「そうか」
「ですから話の流れとして、お名前は」
「富沢という」
「刑事富沢ですか」
「まあ座れ」
伊達ちゃん頷く
「お前はいったいどんなことをやったんだ」
「把握していないんですか」
「そんなことは把握していない」
「だって取調室っていう場所なんじゃないですかここ」
「取調室って居場所が何もかも犯罪者のことを知っているわけではない。
犯罪というものの真実とは、犯罪者が口に出してからはじめて真実となる」
「自供調書を作りたいってことですよね」
「よくそこに気がついたな。続けてもらおう」
「いや気がついたから、自分からはもうしません」
「いいだろ。そっちがその気ならこっちだって本気だ」(富沢怒鳴る)
「待ってください。高校時代の女子高生からの告白以来ですよ、本気とか言われたの。もしかして調書に…」
「本気と書いて『マジ』と読めー」(怒る富沢)
「読めって…ただしゃべっているだけですよね」
「行間を読むという言葉を知らないのか」
「いやそうじゃなくて文章読ませてもらっていません」
「いいだろ」
「だからなんなんすかいいだろうって」
「さっき別の取調官が作った、お前の供述したこの調書を読みたいのならば」
「なんですか」
「ここにひとつ捺印をしてくれないか」
「いや、しますけどね。しないとだめなんですよね」
「そうだ」
「なんかめんどくせーな...しますよします」
「ありがとう」
「なんかドラマっぽいな…はいしましたよ」
「きれいな魚の鱗のような捺印だな」
「褒め言葉になってねえよ、ちょっと意味分かんない」
「それ俺のセリフだろ」(富沢)
「ほんとめんどくせえな。それで…内容見せてくださいよ」
「女子高生のおっぱいを朝7:14分に東急東横線の代官山で触った、それは事実なんだな」
「事実把握してるじゃないですか」
「それについてはどう思っているんだ」
「出来心で…」
「でももし、その時刻が14:7分だったらどうなんだ」
「多分やっていないと思います。朝、頭がおかしくなっていたので」
「いいだろう。無罪放免というわけにはいかないが、ひとつお前に書いて欲しいものがある」
「何ですか」
「朝やる痴漢と、昼間やる痴漢の違いだ...つまり、愛と恋との違いはなんですかー」(富沢アメリカ人風の甲高い声で)
「なんで急にマイクデービスになってるんですか、命令口調で…。おかしいでしょ」
「愛と恋との違い、かつてこれに明確な答えを与えた者は一人もいない」
「ちょっとまってください」
「なんだ」
「あなたのお名前は」
「わたーしのーなまえはーーーマイクデービスと申します。
でも友達にはー外人と言われています」
「富沢さんですよね」
「通称マイクデービスと呼ばれてますね」
「愛と恋との違い…」
「そこで間違ったな」
「意味が分かりません」
「あいと恋の違い」
「あい、と言って恥じらいとともに頷くか、come(来い)といってあえぐか...そんなもんだろう」
「そういう話だったんですか...このネタなんなんですか」
「痴漢は程々にな。帰っていいぞ」