【庵忠 茂作みこ対談】リベラルアーツをめぐって
【庵忠 茂作】
だから、エピステーメー(知識や学問を意味するギリシア語)だけでは不足なんです。
ただ仕事をこなせばいい、とばかりに、自分の心の中に首尾一貫性を通底させない頭デッカチの人ですね(笑)。
自分の考えや判断の基準となる枠組みがあって、なおかつ論理的であるべきなのに、それができないし、アートがない。
【みこちゃん】
ああなるほど!すごく腑に落ちました。
庵忠先生の考えでは、ダブルスタンダードというものがすでに「守備一貫性のなさ」と同義語になっている。
つまりギリシャの時代はまだエピステーメーという言葉も輝きを持っていた。でもそれが現代社会では、学校競争を勝ち抜いて頭でっかちになった人たちが「知」の担い手の表舞台に経ってしまった。
そうなると、やはり思考が脆い。弱いので首尾一貫性もなくなってしまう。
庵忠さんが「リベラルアーツ」という言葉を評価するのもまさにそこで、その評価は同時に学校教育エリート(単に偏差値の高い人)の脆さ批判になっている。
そういう理解でよさそうですね。
【庵忠 茂作】
アリストテレスは、良き人生を送るためには、フロネシス、つまり経験に満ちた知性・実践的な知こそが必要だ、と言っています。
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