【最終講義】人はみな生まれながらに洗脳されている
さて、シリーズ洗脳文章術も終わりです。
お付き合いいただきありがとうございました。
最後はみこちゃんらしくエッセイにします。
人はみな、この世に生まれたときから洗脳が始まっている。私はそう思っています。もちろん、赤ちゃんが最初に出会うご両親に悪意はありません。ですので、言い換えますね。
生まれた時に、洗脳される運命が決まっているだけで、ほんとのほんとに赤ちゃんのころ、そして子供のことは洗脳はされていない。
でも、段々と教育という名前の、世間という名前の洗脳が子供に忍び寄ってきます。社会生活を営んでいく以上赤ちゃんが社会に合わせなければ子供になれないのと同様に、社会生活を勝ち組でスタートするためには勉強やスポーツで人より秀でてなくてはいけないという洗脳が始まります。
そして、段々と異性に目覚めるときには今度は、異性にモテないといけない、モテないやつはイケてないという洗脳が始まる。
苦労してなんとか、スポーツや勉強を頑張ってイケてる学校生活を終えて、社会に出たり大学に進学すると、今度はもっと良い生活を送らないと結婚もできないという洗脳が始まる。
結婚したら子供を産まないといけないという洗脳。子供が生まれたら、子供を幸せにしないといけないという洗脳が始まります。
はい。
子供を育てる段階で、あなたが遭遇してきたあなた自身の洗脳までまた、一周して戻ってきました。あなたは、きっと程度の差こそあれ、我が子の幸せを願うという純粋な子供への愛情からであるにせよ、知らず識らずのうちに子供を洗脳する人生を始めてしまうのかも知れません。
だから、あなたが洗脳されてきた、社会の価値観を刷り込まれてきたと言っても決して親を全部否定してはいけないと思います。だってその親自身がそのまた親に、我が子の幸せを願うという動機で洗脳されてきたからです。
こうしてみてみると、みこちゃんには怒りの念は湧きません。
むしろ、なんだか物悲しくて、すっと涙が出る感じかな。
人は人生の成功も、世界初の自分だけの恋愛のつもりが恋愛も、最大限個性を尊重して育てようとしたはずが子育ても、そして自分の幸せすらも、ふと気がつくとどこかでみたような幸せであることに気が付きます。
洗脳文章術の撃つべきものは、だから無垢な人ではないのです。無垢な人を騙すものでは決してない。洗脳文章術が撃つべきものは、すでに洗脳されてしまった人を、再び赤ちゃんのときのようなまっさらな状態を、短時間でもいいから思い出してもらうためにこそ使われるべきです。
たまに、洗脳によって洗脳されていることすら気がつかなくなったこの世界に、すっと裂け目が生じる時がある。
その時、善人は驚いたりしない。むしろ感動する。
世界がたまに裂けて、そこに封印したはずの本当の世界が垣間見える時がある。映画を見たり、小説を読んだりと、それは不思議とフィクションである場合が多い。
不思議ですよね。
人生の真実に、それが一瞬世界の裂け目から見えた時に、私たちは感動する。贋物の世界であるフィクションこそが、実人生よりも本当の人生のように見えるのはなぜでしょうか。
それは、私たちの人生が知らず識らずのうちに贋物になっているからです。そして、その贋物が贋物であること疑う人を攻撃する。世の中の常識、心の平安に波風を立てる人を一生懸命自分は傷つかないところから攻撃する。
善人はみこちゃん洗脳文章術では傷つかない。傷つくのは善人ずらした悪い人たちであると、私はそう思います。
ぜひ、洗脳文章術で再び愛する人を赤ちゃんの頃に短時間でも戻してあげてください。
そしたらきっと、その時のあなたは赤ちゃんと純粋に向き合っていたころのあの短い至福のときを思い出すに違いありません。
そして同時に、もうとっくに忘れていたあの、自分の赤ちゃんの時の無垢な目、無垢な笑い声、無垢な泣き声、無垢な心が自分に戻ってくるのを感じるはずです。
その感覚はまた、すっと消えてしまうかも知れません。
どうかその感覚をしっかり、しっぽだけでもいいから捕まえておいてください。そうすれば、きっと世界はだんだん良くなるはずです。
世界の裂け目から見える、洗脳が解けた世界で、またみんなで会いましょう。
連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。
みこちゃん洗脳文章術 完
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