【遺稿シリーズ】恩賜の銀時計
みこちゃん家の古時計の中から、某文豪の未発表の遺稿が見つかったので掲載しました
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曾てない青天の霹靂であった。
耳馴なれぬ言葉を教師から聞いた。
天皇陛下から銀時計をいただける。
常に理屈で考えてしまうこの持て余す理性は、そのことをどう拝受していいのか分からなかった。
挙動あやしいその仕草を、人目に晒すことに躊躇はあったものの、この栄誉をそのままほまれとして、周知の事として披露するのもまたよきことなりと、己に言い聞かせた。
服飾はいかがしたものか。
家には仏蘭西靴が一足ある。それを履いて、この気取った比斯馬克鬚を剃り落とす。
ビスマルクが陛下に謁見してはならぬ。
背皺は姿勢を正せばよい。
こうして洋装のまま銀時計を拝受した。
人影稀まれに成った頃、母が「疲れたね」とおっしゃった。
その瞬間に甚大なる疲れが我が身に降り注いだ。
疲れとは深甚なる愛なのだと思慮した。
母と一緒にかえる道傍、みちすがらに一抹の寂寥感の漂う雲が浮いていた。
雲に語りかけた。
本当は吾は猿猴のようなものなんですよ。
雲が鷹揚に己が身を拗らせて、吾を祝福してくれた。
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嘘ですみこちゃんのオリジナルでしたー(^-^)
第十一回目は! 二葉亭四迷でしたー