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【徹底解説】おせち料理の意味って何?具材や重箱の歴史・由来に迫る!
ようこそ民俗学研究室へ、主任研究員の天道巳狐です!
おせちと言えば正月の定番であり多くの日本人が触れたことのある料理です。
しかし子供のころ、このように思ったことはないでしょうか?
「この具材、好きじゃない」
そう、おせちは子どもが好きなものばかりが入っているわけではありません。
ではなぜ家族が好まない具材も重箱に詰めるのでしょうか。
今回は日本人の誰もが考えたことのあるであろう、おせち具材の由来に迫ろうと思います。
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◆おせちの由来
おせち料理が平安時代以降に庶民に広がった経緯は、宮中行事や貴族文化を背景に、時代とともに社会全体に浸透していった過程にあります。以下にその詳細をまとめます。
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1.平安時代:おせち文化の始まり
おせちは平安時代に宮中行事の「御節供(おせちく)」として始まりました。
「節会(せちえ)」と呼ばれる儀式で、天皇を中心とする宮中行事の一環として、季節の節目ごとに神様に供えられた料理が「御節供」です。
この時代のおせちは、主に貴族階級が楽しむもので、庶民にはまだ縁遠いものでした。
2.江戸時代:庶民への広がり
江戸時代になると、幕府が五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)を公式な祝日として制定しました。
特に正月(人日の節句)が重要視され、正月行事として「おせちを食べる文化」が庶民にも広がっていきました。
五節句を祝う習慣が民間行事化し、家庭ごとにおせちを用意する風習が定着しました。
理由と要因
祝祭日の制定:江戸幕府が定めた祝日をきっかけに、節句が貴族だけでなく庶民の間にも広まりました。
保存性の高さ:おせち料理は保存が効くため、正月三が日に台所仕事をしなくて済むという実用的な理由からも受け入れられました。
文化の浸透:貴族文化が徐々に庶民に伝わる過程で、縁起の良い食材を用いるおせち料理が家庭の祝事として根付いていきました。明治時代以降:重箱文化の普及
明治時代には、重箱に詰める形式が普及しました。
重箱は「めでたさを重ねる」という象徴的な意味を持ち、庶民にも広く浸透。
お重に詰めることで、多くの料理を一度に用意できる利便性も広がりの一因となりました。現代:地域性と多様化
戦後、デパートやスーパーで市販されるようになり、全国的に「おせち=正月料理」として定着しました。現代では、家庭のアレンジや地域性が反映されたおせちが見られます。
まとめ
おせちは、平安時代に宮中行事として始まり、江戸時代に幕府が制定した祝祭日をきっかけに庶民へと広がりました。保存性や縁起物としての意味が庶民生活に合致し、明治時代以降の重箱文化の普及も相まって、現在の形へと進化しました。この過程は、日本の伝統行事と食文化が時代とともに広がり、生活に根付いた良い例と言えるでしょう。
◆年神様
おせちは年神様(歳神様)を迎えるための重要な供物として作られます。年神様は、五穀豊穣や家族の健康と繁栄をもたらすとされる神様です。
おせち料理を神様にお供えすることで、そのご利益を家族で分かち合う「神人共食」の意味が込められています。おせち料理には、それぞれの食材に縁起の良い願いが込められており、年神様に対する感謝と、新しい年の安全・豊穣を祈願する役割を果たします。
また、おせちを正月前に準備するのは、正月に神様を迎える準備を整えるためであり、正月に台所仕事を避けることで神様に失礼をしないようにするためとも言われています。
◆おせちの具
おせちの具材には、それぞれ縁起の良い意味や願いが込められています。以下に代表的な具材とその意味を挙げます。
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・祝い肴
黒豆:「マメに働き、元気に過ごせるように」という勤勉と健康を願う。
数の子:卵の多さから「子孫繁栄」を祈る。
田作り(ごまめ):片口イワシを使い、「五穀豊穣」を願う。
・口取り
伊達巻:巻物の形から「学問成就」や「知恵が増える」ことを願う。
栗きんとん:金色の見た目から「金運上昇」や「商売繁盛」を願う。
紅白かまぼこ:赤は「魔除け」、白は「清浄」を意味し、紅白で「平和・平安」を象徴する。
・焼き物
鯛:「めでたい」の語呂合わせから縁起物。
海老:曲がった姿から「長寿」、脱皮を繰り返すことから「成長・発展」を象徴する。
ブリ:出世魚として「立身出世」を願う。
煮物
れんこん:穴が開いていることから「未来の見通しが良い」。
里芋:親芋から子芋がたくさんできることから「子孫繁栄」を象徴する。
くわい:大きな芽が出ることから「芽出たい(めでたい)」。
・酢の物
紅白なます:大根と人参の紅白の色が「平和」や「平安」を意味する。
菊花かぶ:菊の形から「邪気払い」と「長寿」を祈る。
これらの具材は、五穀豊穣、健康、子孫繁栄など、新年を迎えるにふさわしい願いが込められています。
◆祝い肴
祝い肴(いわいざかな)は、おせち料理の中でも特に縁起を担ぐ酒の肴として重要な役割を持つ料理です。祝い肴は、お正月のお祝いの席でお酒とともにいただく料理で、基本的に以下の三種が定番とされています。
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祝い肴三種の構成
関東地方
黒豆
意味:「マメに働き、マメに健康で過ごせるように」という願いが込められています。
特徴:甘く煮た黒豆は、ツヤが良いものほど縁起が良いとされます。
数の子
意味:卵の多さから「子孫繁栄」を祈る象徴です。
特徴:ニシンの卵で、鮮やかな金色とコリコリした食感が特徴。
田作り(ごまめ)
意味:片口イワシを干して使うこの料理は、「五穀豊穣」を願う縁起物です。
特徴:田畑の肥料としてイワシが使われたことが名前の由来です。
関西地方
黒豆(共通)
同じく勤勉さや健康を願う。
数の子(共通)
子孫繁栄を祈る。
たたきごぼう
意味:地に深く根を張るごぼうに、「家の繁栄」や「長寿」の願いが込められています。
特徴:たたきごぼうは、軽く叩いて味を染み込みやすくした料理です。
祝い肴の意味と特徴
祝い肴は、おせち料理の中でも最初に供される料理として、新年の祝いを象徴します。
関東と関西では構成が異なるものの、「三種」という数にこだわる点は共通しています。三という数字は完全さや安定を象徴するため、縁起が良いとされます。
まとめ
祝い肴は、おせち料理の基本とも言える重要な役割を持ち、それぞれの料理が新年への祈りや願いを込めた象徴となっています。特に黒豆、数の子、田作り(またはたたきごぼう)は、欠かせない存在として重宝されています。
◆口取り
口取り(くちとり)は、おせち料理の中で、祝い肴に続いて提供される料理の一種で、特に甘い味付けのものが多く、お正月の宴席を華やかに彩ります。主に箸休めの役割を持ちつつ、見た目や味わいの工夫が凝らされた料理です。
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口取りの代表的な料理と意味
紅白かまぼこ
意味:紅色は「魔除け」、白色は「清浄」を表し、紅白の色合いは「平和」や「おめでたさ」を象徴します。
特徴:かまぼこの形状は日の出を連想させ、縁起の良い料理とされています。
伊達巻
意味:巻物に似た形状から、「学問成就」や「知識が増える」ことを願います。
特徴:卵と魚のすり身を使い、甘い味付けが子どもにも人気です。
栗きんとん
意味:「金団(きんとん)」と書き、金運上昇や商売繁盛を祈る縁起物です。
特徴:鮮やかな金色が美しく、お重の中でも目を引く一品です。
昆布巻き
意味:「よろこぶ」という語呂合わせから、縁起物とされています。
特徴:魚などを昆布で巻いて煮た料理で、保存性にも優れています。
錦卵(にしきたまご)
意味:黄色と白色の層が金と銀を象徴し、「富」や「繁栄」を願います。
特徴:卵黄と卵白を分けて調理し、美しい層を作るのが特徴です。
口取りの役割
甘い味付けが多い口取りは、箸休めとしてだけでなく、食卓の彩りを鮮やかにする役割があります。
各料理に縁起の良い願いが込められており、新年を迎える喜びを表現します。
まとめ
口取りは、おせち料理の中でも特に華やかで、家庭や地域によって種類や盛り付けが異なります。見た目の美しさと縁起の良さを兼ね備えた料理として、新年の宴席を盛り上げる重要な役割を担っています。
◆焼き物
焼き物(やきもの)は、おせち料理の中で豪華さや華やかさを演出する重要な役割を持つ料理の一つです。特に縁起が良いとされる魚介類が中心で、新年を祝う場にふさわしい高級感のある食材が使われます。
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焼き物の特徴
主に魚や海老などの「海の幸」が使われます。
炭火焼きや煮付けにするなど、香ばしい風味と彩りの美しさが特徴です。
重箱の中では「二の重」に詰めることが一般的です。
焼き物の代表的な料理とその意味
鯛(たい)
意味:「めでたい」の語呂合わせから、新年のお祝いに欠かせない縁起物です。
特徴:真っ赤な姿焼きが一般的で、見た目の豪華さが際立ちます。
海老(えび)
意味:曲がった姿が「腰が曲がる」ことを連想させ、「長寿」を象徴します。また、脱皮を繰り返す海老は「成長」や「発展」の象徴でもあります。
特徴:焼き海老や煮海老として供されます。
ブリ(鰤)
意味:ブリは成長とともに名前が変わる「出世魚」として知られ、「立身出世」を祈る象徴です。
特徴:照り焼きや煮付けが定番で、西日本では特に正月に欠かせない食材です。
貝類
アワビ:寿命が長いことから「不老長寿」を願います。
ハマグリ:貝殻がぴったり合うことから「夫婦円満」や「良縁」を象徴します。
トコブシ:別名「福溜め」とも呼ばれ、「福がたまるように」との願いが込められています。
鮭(さけ)
意味:紅色が「魔除け」、白い身が「清浄」を象徴します。
特徴:塩焼きが一般的ですが、地方によっては味噌漬け焼きなども見られます。
焼き物の役割
焼き物は、おせちの中で特に贅沢さを演出する料理として、見た目の豪華さが重視されます。
それぞれの食材には、新年を迎えるにふさわしい縁起の良い意味が込められており、家族や招待客へのおもてなしの心を表します。
まとめ
焼き物は、新年の食卓を豪華に彩る重要な料理です。鯛や海老などの高級な海の幸を用い、それぞれに込められた縁起の良い願いが、家族の健康や繁栄、幸福を祈る象徴となっています。調理法や盛り付けにも工夫を凝らし、見た目の美しさと味わいの両面で楽しめる一品です。
◆酢の物
酢の物(すのもの)は、おせち料理の中で箸休めとしての役割を担う、さっぱりとした味わいの料理です。重箱では「三の重」に詰められることが一般的で、鮮やかな色合いと爽やかな酸味が、料理全体のバランスを引き立てます。
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酢の物の特徴
酢を使った料理で、正月の豪華な食卓に爽やかさを加えます。
保存性が高く、長持ちしやすいのも特徴です。
見た目が華やかで、おせちの彩りを鮮やかにします。
酢の物の代表的な料理とその意味
紅白なます
意味:白は「清浄」、赤は「魔除け」を象徴し、紅白の組み合わせで「平和」「平安」を願う。
特徴:大根とにんじんを細切りにして酢で和えた料理。水引の形に見立てられるため縁起が良いとされます。
菊花かぶ
意味:日本の国花である菊をモチーフにし、「邪気払い」と「長寿」を象徴する。
特徴:かぶに切り込みを入れて菊の花の形にし、酢で漬け込んだ美しい一品。
コハダの粟漬け
意味:コハダは出世魚として「出世」を象徴する。粟は「豊穣」を表す。
特徴:コハダを酢で締め、粟や調味料で味付けした料理。
たたきごぼう(関西地方では祝い肴としても含まれる)
意味:地に根を張るごぼうに「家族の繁栄」や「長寿」の願いが込められる。
特徴:ごぼうを叩いて柔らかくし、酢と調味料で和えた料理。
酢ばす
意味:れんこんを用いることで「未来の見通しが良い」とされる。
特徴:薄切りにしたれんこんを酢で漬け込む、シャキシャキとした食感が特徴の料理。
酢の物の役割
酢の物は、重めの料理が多いおせちに軽やかさを加え、口直しの役割を果たします。
酢の力で保存性が高まり、正月の三が日を通して美味しく食べられるよう工夫されています。
華やかな見た目とさっぱりした味わいで、お重全体のバランスを整える料理です。
まとめ
酢の物は、おせち料理において健康や長寿を願う象徴的な料理です。紅白なますや菊花かぶなど、彩り豊かな酢の物が食卓を鮮やかに飾り、新年を迎える喜びを引き立てます。また、地域や家庭によって使われる食材や味付けが異なるため、各地の個性が表れる一品でもあります。
◆煮物
煮物(にもの)は、おせち料理の中で「山の幸」を活用し、家族や地域の絆を象徴する料理です。特に根菜類や地域の伝統的な食材を使用し、具材ごとに縁起の良い意味を込めて煮上げるのが特徴です。重箱では「三の重」または「与の重」に詰められることが一般的です。
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煮物の特徴
主に根菜や山の幸を使い、一つの鍋で煮る「煮しめ」や筑前煮が定番。
地域によって食材や味付けが異なる多様性のある料理。
家族が一つにまとまるようにとの願いが込められています。
煮物の代表的な具材とその意味
れんこん
意味:「未来の見通しが良い」とされる。
特徴:穴が開いた形状が象徴的で、煮物や酢の物として広く用いられます。
里芋
意味:「子孫繁栄」を象徴する。
特徴:親芋から小芋がたくさんできる特性から家族繁栄を祈る食材。
八つ頭
意味:「末広がり」と「出世」を願う。
特徴:力強い名前と形から縁起物として好まれます。
くわい
意味:「芽が出る」ことから「芽出たい」とされる。
特徴:丸い形と芽の出た部分が特徴的で、縁起物として人気。
こんにゃく
意味:「縁結び」「良縁」を祈る。
特徴:結びこんにゃくの形にして煮ることが多い。
にんじん
意味:鮮やかな赤色で「魔除け」を表す。
特徴:梅型に飾り切りして華やかさを演出する。
たけのこ
意味:「成長」や「家運向上」を願う。
特徴:歯ごたえのある食感が煮物にアクセントを加えます。
椎茸
意味:「長寿」を祈願する。
特徴:香り高く、煮汁を吸って旨味を深めます。
煮物の種類
煮しめ
食材を炒めず煮汁を残さないように煮上げる、さっぱりとした味付けが特徴。
筑前煮
福岡県発祥の料理で、鶏肉を加えてコクを出した煮物。
地域によっては根菜やこんにゃくを追加するアレンジもあります。
煮物の役割
煮物は、家族や地域のつながりを象徴する料理として、家庭の絆を深める役割を果たします。
具材ごとの意味がそれぞれ縁起を担ぎ、新しい年の健康や繁栄を祈る食事の中心となります。
まとめ
煮物は、地域や家庭によって味付けや具材の選び方が異なるものの、全てに「健康」「繁栄」「家族の絆」などの願いが込められた料理です。見た目の華やかさと、ほっこりとした味わいで、新年の食卓を彩る欠かせない存在となっています。
◆重箱の意味
おせち料理を詰める重箱の数には、縁起の良い意味が込められています。伝統的には五段重が正式とされていますが、現代では三段重や二段重も一般的です。それぞれの段に詰める料理や数には意味があります。
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五段重の意味
一の重(いちのじゅう)
・意味:一の重(いちのじゅう)は、重箱の中でも最も重要な段とされます。この段には「祝い肴」と「口取り」が詰められ、お正月のお祝いを象徴する料理が集められています。一の重は、お重を開ける最初の段であるため、縁起の良さや華やかさが特に重視されます。不老長寿、子孫繁栄、家内安全を祈願します。
・内容:黒豆、数の子、田作り、紅白かまぼこ、伊達巻など。
・配置の工夫
市松模様の盛り付け:品数が多いため、市松模様に配置して美しさを際立たせる。
小鉢を使用:中央に小鉢を配置し、その周囲を華やかに料理で囲む。
二の重(にのじゅう)
・意味:二の重(にのじゅう)は、一の重に続き、おせち料理の中縁起の良さと豪華さを象徴する段です。この段には主に「焼き物」や「酢の物」が詰められます。二の重は、魚介類などの「海の幸」を中心に構成されており、新年の祝福や祝福、健康を祈る意味が込められています。焼き物を詰め、立身出世や喜び、繁栄を願います。
・内容:鯛、海老、ブリなどの魚介類。
・二つの重なりの配置と工夫
末広がりの盛り付け:エビやタイなどを中央に置き、扇状に広げて豪華さを演出。
彩りのバランス:赤いエビや白いタイ、緑の装飾品で華やかさを際立たせます。
・酢のポイント:焼きの味を生かすため、隙間に酢の物を詰めるとバランスがよくなります。
三の重(さんのじゅう)
・意味:三の重(さんの重)は、おせち料理の中で「酢の物」や「和え物」が中心となり、箸休めやバランスをとる役割を担います。それで、重箱全体の調和を整え、食卓をさらに華やかにします。酢の物や和え物を詰め、健康や平和、将来の見通しが良いことを願います。
内容:紅白なます、菊花かぶなど。
・三の重の配置と工夫
彩りを重視:紅白なますや菊花かぶなど、明るい色合いの料理をバランスよく配置します。
軽さの調整:重い料理が多い一つの重や二の重さと対照的に、軽い酢の物を詰めることで、重箱全体のバランスを取ります。
・家庭や地域の工夫:家庭の好みに応じて、地元の特産品やオリジナルの和え物を加えることもあります。
与の重(よのじゅう)
・意味:与の重(よのじゅう)は、煮物を中心に詰める段で、家庭や家族の絆を象徴します。この段では主に「山の幸」や根菜を用いた煮物を詰め、食材それぞれの縁起を大切にした料理が配置されます。煮物を詰め、家族の絆や繁栄を象徴します。
・内容:れんこん、里芋、くわい、たけのこなど。
・与の重の配置と工夫
見た目の工夫:色濃い食材(にんじん、しいたけ)を飾って華やかさを演出。
味の調和:出汁を守った優しい味付けで、食べやすく仕上げています。
・地域や家庭の特色:地域の特産品や好みに応じてアレンジを加えることもあります。
与の重の特別な意味
・「与」の文字:四(死)を避け、「考え」「分けて」というポジティブな意味合いを込めています。
・感謝と祈願:家族の恩恵だけでなく、地域の恵みや自然への感謝も表現されています。
五の重(ごのじゅう)
・意味:空のままにして「神様から福を授かるための控えの重」とします。
五の重を空にしておく理由は、年神様(神様)への「歳の重さ」として空間を設け、神様から福を授けるためとされています。空にすることで、「まだ見ぬ福が家に訪れるように」との願いが込められています。
・空の重箱には、「家の繁栄や発展のほうがある」「将来への希望を持つ」というポジティブな意味もあります。余裕を持つ姿勢を象徴し、新年を迎えるにあたっての慎ましさや期待を表現しています。
五つの重さは、重箱全体のバランスを整える役割も持ちます。 空間を作ることで、料理や願いが詰め込まれた他の段との調和を見極めます。
・内容:何も詰めずに空にしておくことが正式とされています。
重箱の段数が縁起物とされる理由
奇数の段数:奇数は日本では縁起が良いとされる「吉数」です。五段重や三段重など、奇数の段数が好まれます。
「重ねる」意味:重箱は「めでたさを重ねる」「幸福を重ねる」ことを象徴します。
現代的なアレンジ
家庭や人数に合わせて三段重や二段重も広く用いられています。
三段重の場合:「一の重」に祝い肴、「二の重」に焼き物や酢の物、「三の重」に煮物を詰めるのが一般的。
二段重の場合:「一の重」に祝い肴と口取り、「二の重」に煮物や焼き物を詰めます。
まとめ
重箱の段数には、縁起を担ぐ意味と、新年に向けた願いが込められています。五段重の「空の段」は特に象徴的で、神様への敬意と感謝を表す独特の風習と言えます。段ごとに料理を詰める際の意味を考えると、おせち料理がより特別なものに感じられるでしょう。
◆祝い箸(いわいばし)
祝い箸(いわいばし)は、おせち料理を食べる際に使用する、特別な意味を持つ箸です。新年のお祝いにふさわしい形状や由来があり、縁起の良さを重視した道具として用いられています。
祝い箸の特徴
1.形状
両端が細くなった「両口箸(りょうくちばし)」が特徴です。
片方は神様が使うため、もう片方を人が使用する「神人共食(しんじんきょうしょく)」の意味が込められています。
神人共食(しんじんきょうしょく)は、神様にお供えした食事を参列者がいただくことで、神様との一体感や恵みを共有する行為を指します。この行為は日本のお祭りや神事において特徴的な文化であり、神様とのつながりを深める象徴的な意味を持っています。
2.材質
丈夫でしなやかな「柳」の木で作られることが一般的で、「柳箸(やなぎばし)」とも呼ばれます。
柳は「折れにくい」性質から、家族の絆や繁栄を象徴します。
3.見た目
中央が膨らんだ形状をしており、これが米俵に似ていることから「俵箸(たわらばし)」とも呼ばれます。
包装紙や箸袋に鶴亀や松竹梅などの縁起の良いデザインが用いられることもあります。
祝い箸の由来と意味
・神人共食
神様と一緒に食事をすることで、新年の福を分かち合うという考え方が由来です。
一方を神様が使うとされるため、祝い箸は逆さにして取り箸として使うのはマナー違反とされています。
・柳の象徴
柳の木は古くから魔除けや災厄を払う力があるとされ、新年の清らかな始まりを象徴します。
祝い箸の使用に関する注意
1.両端が細い理由
一方は神様、もう一方は人が使うため両端が細くなっています。このため、片側だけを使用します。
2.お正月限定
祝い箸はお祝いの場でのみ使用され、普段使いするものではありません。
3.マナー
箸袋や箸を丁寧に扱い、使い終わったら箸袋に戻すのが正式な作法とされています。
祝い箸の役割
神聖さを象徴:お正月の神聖な雰囲気を大切にするためのアイテム。
縁起を担ぐ:新年の幸福と繁栄を祈る象徴的な道具。
伝統の継承:祝い箸を通じて、お正月における日本の伝統文化が次世代に引き継がれます。
いかがでしたでしょうか?
お気に入りの具材は見つかりましたら幸いです。
毎年食べるおせちも意味を知ることでより美味しくいただけそうですね。
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