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センテナリアンDr. Gladys McGareyから学ぶ長寿の秘訣

『The Well-Lived Life』の著者Dr. Gladys McGareyが2024年9月に亡くなった。103歳だった。

Dr. McGareyは、ホリスティック医療の先駆者であり、最期まで現役の医師として活躍した人である。6人の子供を育てながら、医師としてキャリアを続けるだけでなく、新しい医療分野を開拓してきた。102歳の時に『The Well-Lived Life』を執筆。そのバイタリティは103歳まで健在だった。失読症を患っていたと言うが、そんなことはみじんも感じさせない。一世紀以上生きるなかで、文字に対する苦手意識を克服してきたと言う。
 
彼女はこう語る。私たちの存在には意味があり、私たち一人一人には生きる抜くための力がある。その力を自分の中にため込むのではなく、フローさせることが大切。フローさせた力は、私たちの住むコミュニティーを通じて強化されていく。年老いたからあれこれできないなどと思わない。どんなことでも始めるのに遅すぎることはない。どんな経験にも学びがあり、その学びに感謝する。「できないこと」にではなく、「できること」に目を向けて、10年計画を立てて、前向きに生きよう、と。
 
著者は70代で離婚を経験している。しかも夫の裏切りによって別離を切り出されている。この離婚が著者にとって最もショックなことだったそうだ。その時の心の葛藤も正直に綴られている。心の再生を図るために、車のナンバープレートを「BE GLAD」に代えたというエピソードは印象的だ。前夫に対する憎しみの言葉などは皆無で、「まだ愛している」と記している。人を恨むのではなく、そこから教訓を学び取り、ひたすら前進する。力とエネルギーをフローさせ続ける。それが著者の長寿の秘訣だと言う。
 
この本を読んでいると、50代の自分でも、これから何でもできるのではないかという気がしてくる。「もう無理」「歳だから」などと言わずに、非力であっても、自分の中にある力やエネルギーを周囲のためにどう使うかを考えていかなければならない。著者の「妊娠だって何歳でもできる」という記述には驚かされるが、生物学的にまだ解明されていないことは多数あり、希望を持つことは大切だ、というメッセージは伝わってくる。
 
「病は気から」「気持ちを明るく持てば症状は軽くなる」といったような著者の書き方も医学的に誤解を生じかねないと思うが、重病に罹るなど大変な時であっても(著者は癌サバイバー)、ユーモアや喜び、感謝の気持ちを忘れないで欲しい、と著者は伝えたかったに違いない。人生を形作るのは自分。感情をコントロールするのも自分。何をするか何をしないかを取捨選択するのも自分。誰のせいでもない。その結果には自分が責任を持ち、そして常に学び続けて豊かな人生を築いていく。100歳を超えてもなお輝いていた著者からの言葉は、これからも万人の心に響いていくだろう。


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