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ビジネスをサポートする|「北のITシーズフェア2024」出展企業レポート第1弾
「北のITシーズフェア2024」出展企業レポート第1弾は、「ビジネスをサポートする」をテーマにお届けする。さて、今回の4社【SapporoNest】【ミクロスソフトウエア】【リッジワークス】【北明システム】は、どんな製品・サービスで顧客のビジネスを支えているのか——。
【SapporoNest】新サービス「サクッと!WEBサイト」が始まる
あいにくの雪にもかかわらず、開場したばかりの屋内展示会場はすでににぎわっていた。人波をかき分けて進むと、ITビジネス展示ゾーンがあり、その一角で「北のITシーズフェア2024」が開催されている。来場者につられて目をやると、ペールブルーとイエローのフライヤーに彩られたブースがあった。そこが、株式会社Sapporo Nest(サッポロネスト)。創業4期目を迎えた若い会社で、WORK HAPPILY, PLAY HARD.(楽しく働き、まじめに遊ぶ)をモットーに、ITとクリエイティブのチカラで顧客の悩みを解決している。
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企業というのは多かれ少なかれ課題を抱えている反面、まだ自覚していない魅力を秘めているものだ。その「課題」や「魅力」を見つけて可視化・言語化し、解決策を探り、それを具現化することを、サッポロネストは得意としている。
例えば、多くの企業が直面している人手不足。業務効率化によって解決することもあれば、新たに人材を雇用しなければいけないこともあるだろう。それを見極め、ある企業にはITを活用した業務効率化を、また別の企業には人材採用サイトの新設を提案する。
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注目すべきは、サッポロネストの強みといえる「取材力」と「創造力」。聞く力が、的確な解決策を導き出し、経験豊富なクリエイターが、機能するコンテンツを生み出している。「動画」の使い方がまた面白い。PR動画や説明動画などコンテンツはもちろんだが、例えば、実際の業務や研修を動画で撮影して、課題の洗い出しを行うなど、可視化のためのツールとしても活用しているのだ。
▲北海道IT推進協会紹介ムービーもサッポロネストが手がけた
そのサッポロネストが新しいサービスを開始した。その名も「サクッと!WEBサイト」。破格の2万円(税抜)でウェブサイトが作れるのだ。将来を見据えて企業サイトのリニューアルや人材採用サイトの立ち上げを考えている企業にとっては朗報だろう。しかも、同社の取材力によって、本質的な課題や新たな魅力が引き出されるかもしれない。
【ミクロスソフトウエア】在席確認も在庫管理も契約も、ITで楽にする
2021年にデジタル庁が置かれ、国を挙げてデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている。その一方、とくに中小企業のIT化がなかなか進まない。その理由はさまざまとはいえ、ITツールの導入と定着には「わかりやすさ」「使いやすさ」が重要だろう。取扱説明書を読み込まなくても、直感的に操作できるとありがたい。そんな理想的なツールを展示していたのが、株式会社ミクロスソフトウエア。通信制御・情報ネットワーク専門のソフトウェア開発企業である。
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コロナ禍を経てテレワークが定着した企業や外勤の多い企業で重宝しそうなのが、「ヒアーズミー」である。これはeホワイトボード行動予定表、つまりオフィスの壁に掛かっているホワイトボード行動予定表を電子化したもの。このツールがあれば、全社員の在席・離席中・外出・出張・帰宅・休暇の予定をパソコンやスマホで一覧できる。社員の顔写真や予定を示すアイコンが視認性を高め、とにかくぱっと見で状況を把握しやすい。しかも、出退勤時間を打刻できるため、勤怠管理にも使えるという。また、社内にいなくても情報を更新できるから、在宅勤務中や出張中はもちろん、建設業の現場監督のように現場に出ることの多い業種・職種でも活用されているようだ。
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もう一つ、簡単に使えて備品管理を楽にしてくれるのが「イーストック」。スマホで備品のバーコードを読み取るだけで入庫・出庫が記録できるうえに、設定した在庫数を下回ると管理者に通知が届く仕組みで補充もれしらずなのだ。
近年、書類の帳簿類のペーパーレス化が進み、契約書までもが電子化されている。気がかりはやはりセキュリティだろう。ミクロスソフトウエアは、2018年からブロックチェーン(註1)事業を立ち上げ、研究開発に取り組んできた。その技術を搭載したのが「ブロックチェーン電子契約」。契約書の作成から承認、締結までの一連の流れがパソコン上で行えるようになるのだ。年内に100社での運用開始が予定されているという。
(註1)ブロックチェーンは、ビットコインのために開発された技術。暗号技術を用いて取引記録を分散的に処理・記録する仕組みで、改竄が難しくセキュリティが高い。
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【リッジワークス】医療・福祉の現場の悩みを、確かな技術で解決していく
ところで、人工呼吸器のアラーム音が機種によって異なることはご存じだろうか。さまざまな医療機器の音、患者同士の会話、廊下の足音、医療用ワゴンのキャスターの音……意外にも音のあふれている病棟で、病院スタッフは人工呼吸器の発するアラートを確実に聞き取らなければならない。
「どこにいても気づき、いち早く患者さまのもとに駆けつけたい」という現場の思いを実現するために、生まれたのが人工呼吸器アラートセンサ「アイモセンス-f」である。生活音の中からアラーム音の周波数と波形を検知して、スマホやタブレットに警告を通知する仕組みなのだという。
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もともと「アイモセンス」は、別の用途で開発され、光センサと人感センサで人の動きを検知して通知する仕組みだったという。医療現場のニーズに応えるため、音を検知できるように設計しなおしたのだ。
同製品を手がけたのが、株式会社リッジワークス。札幌市と名古屋市に拠点を置くソフトウェア開発会社である。ソフトウェアやシステムの開発のほか、さまざまな機器の試作開発を得意とし、顧客の「ニーズ」を「カタチ」にしてきた。近年は、医療・福祉の分野にも力を入れ、大学病院と連携して研究開発を行っている。
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もう一つ、医療機関のニーズから誕生した機器がある。それが自動服薬支援機「コッくんお薬よ〜」。あらかじめ設定した服薬時間になり、利用者が近づくと、人感センサが反応して薬ケースが自動で出てきて、音と光で知らせてくれる。そして、一定の時間内に薬を取り出さないと、自動的に収納される。また、服薬時間以外にケースを自分で引き出すことはできない。つまり、薬の「飲み忘れ」「飲み過ぎ」「飲み間違い」を防いでくれるのだ。これは、ミヤサカ工業の既存製品にリッジワークスの技術を搭載することで、大学病院からの「誤薬を防止したい」というニーズをカタチにした。
【北明システム】「だいこくさん」と「宝船」で地元の産業を支えている
「だいこくさんS」という、いかにもめでたい展示パネルを掲げていたのが、北明システム株式会社。企業理念は「IT・IoT、AI、RPAのソリューションを通じて、直接的かつ間接的に地域社会・地域企業に貢献する」。創業以来45年、システムインテグレータ(SIer)として、ITソリューションやネットワークシステムの企画・立案から設計・開発・運用・保守までを手がけ、地元の産業を支え続けている。
その強さは、「宝船ソリューションプロダクト」と名づけられた多彩なITツールにあるのだろう。例えば、サービス業に対してはトータルホテルシステム「AG NEHOPS」や小規模向けホテル・旅館システム「FAST.GP3」、宴会・施設予約管理システム「FRPS21」、温浴オーダリングシステム「システム遊湯」など、主に宿泊業をサポートする製品がそろう。高齢者層を対象とするシルバー産業向けには、介護施設用ソフトウェア「ほのぼのNEXTシリーズ」や給食経営管理システム「ソフトメリット.NET」、お墓・霊堂・お寺管理システム「まごころ-PS」、葬祭場・火葬場予約精算システム「クレサポート21」があり、不動産業には、賃貸テナント管理システム「TEMAX-S」がある。
そして、営業とSE(システムエンジニア)が、顧客の課題や要望に耳を傾け、その業態や業務を考慮しながら、ふさわしいソリューションを提案するのだ。
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「宝船」の原点は、汎用EDI(註2)インターフェースソフトウェア「eWEScom」だという。そこから卸売業や販売業で利用しやすい便利な機能を備えた製品が生まれていく。福を呼び込んでくれそうな「だいこくさんS」は総合販売管理システム。いま推進されているDXや働き方改革、2023年10月から始まったインボイス制度に対応しているといい、経営基盤を強化するための頼もしい存在になってくれそうだ。
(註2)EDIはElectronic Data Interchange(電子データ交換)の略称で、企業間の商取引に関する文書を専用の通信回線を用いて電子データとしてやりとりするシステム。
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本日は、それぞれの強みと方法で顧客の経営を支えている4社のブースにご案内した。明日のテーマは「老舗IT企業は挑戦を続ける」。北海道にどっしりと根を下ろした4社の新たな挑戦をお送りする。
(取材/北海道IT推進協会 広報委員会、ライター 一條 亜紀枝)