【仲間を探しています】 ベンチャーキャピタルのポートフォリオ・マネージャー全解剖
ジェネシア・ベンチャーズでは、社外の方と初めて面談をする際に必ずメンバーの自己紹介をします。「こんにちは!キャピタリストの相良です。」「東南アジアを見ている、キャピタリストの河野です。」「GPの田島です。」と自己紹介が進み、いざ自分の番になると「ポートフォリオ・マネージャーの吉田みきです。」と言いうものの、「ポートフォリオ・マネージャー????それ何?」と相手の頭の中が??で埋もれそうで、いつも恐縮してしまいます。ポートフォリオ・マネージャーではなく、もっとびしっとワンフレーズでわかりやすく伝わる表現はないのか。IR担当?ファンド管理担当?うーん、それも仕事の一部だけれどすべてではない。ジェネシアに入社して2年近くが経とうとしていますが、まだかっこいい言葉を思いつけていません。
理由はポートフォリオ・マネージャー(PM)の業務範囲が広く、且つベンチャーキャピタル(VC)業界でもまだその業務が型化されていないから。今回のnoteでは、そんなワンフレーズでは収まりきらないPMの仕事内容や醍醐味、これからのチャレンジなどをお話します。そして今ジェネシアではPMチームの新メンバーを募集しています!少しでもご興味ある方はご連絡いただけると嬉しいです。
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ポートフォリオ・マネージャーとは
【Mission】
スタートアップが大きな挑戦をし続けるための資金獲得と体制構築を行う
VCにおけるキャピタリストは起業家への投資を行うメンバーです。そしてその投資を行うための資金集めを担い、効果的に投資実行及びハンズオン支援が行えるよう体制を整えるのがポートフォリオ・マネージャーの仕事だと考え、このようなミッションを私は掲げています。
資金はどこかから降ってくるものでもないし、体制もまだまだ手探りの状態です。日本国内のスタートアップエコシステムに流入している資金は米国と比較すると非常に限定的(※参照)ですし、体制についてもVC業界全体で合意が取れているファンド管理の型はなく、各社とも試行錯誤しながらあるべき体制の模索をしている状況と考えています。
参照:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai8/siryou1.pdf
そしてファンド出資者(LP)から預かった資金を適切な方法で管理し、最大のリターンを提供できるようGPと共に最適なリソース配分を考えるのもPMの重要な任務の一つです。
「いかに受託者責任を全うし、LPへのリターンを最大化させるか」「どうすればより多くの事業会社や機関投資家がファンド出資をしてくれるのか?」「既存のLPには何を提供すればまた次号ファンド以降も出資してくれるのか?」「支援先スタートアップは事業会社や機関投資家に何を求めているのか?」そんなことを考えながらミッション達成のための Must do (やらなければいけないこと)と Want to do(やらなくてもいいけれどやりたいこと、やったほうが良いこと)をやりくりして日々業務を進めています。
Must doの一例:
・ LPへの投資報告準備
・ 社内の投資案件データベースと契約書の突合
・ ファンドの決算対応
Want to do の一例:
・ 大企業や機関投資家との情報交換
・ 社内業務フローの効率化、見直し
・ 大企業xスタートアップの共創についての記事執筆
Must doとWant to doのリストの長さは、1:2ぐらいになっています。そしてWant to doのリストは長くなる一方…そんな状況下にあり、PMチームでの新メンバーを募集するに至っています。
ポートフォリオ・マネージャーにとって重要なLPとのコミュニケーションについては、こちらの記事でも紹介しているのでぜひご覧ください。
なぜ私はベンチャーキャピタルのPMになったのか
私がジェネシアのことを知ったのは2019年5月。当時は金融機関で投資信託商品を作る部署に所属し、2回目の育休が間もなく明けるタイミングでした。もうちょっとキャリアプランも積極的に考えなきゃな…と思っていた矢先に大学時代からの飲み仲間、ジェネシアのキャピタリストである水谷と飲みに行きます。
そこでつらつらとおつまみのポテチを片手に「もっとこんな仕事したい」と語っていたら、「今ジェネシア・ベンチャーズっていうベンチャーキャピタルで働いてて、自分の業務の一部を引き継いでくれる人探しているんだけど、興味ない?」と誘われたのが全ての始まりでした。「ジェネシア・ベンチャーズ」も聞いたことがないし、「ベンチャーキャピタル」が何をしているのかも良くわかっていない。何も理解していないのに私に「ポートフォリオ・マネージャー」という重要そうな役割が務まるのか?!と疑問を持ち、何度も水谷に「出産と同時に金融知識も全て産み落としたけど、大丈夫?」と確認しました。
水谷はこんな人:
https://twitter.com/KokiMizutani
そして大企業から、2016年に創業したばかりの9人しかいない会社に転職することに不安しかありませんでしたが、何よりも仕事について活き活きと目を輝かせながら語る水谷のその姿がなんだかうらやましくて、面接に進みます。
印象的だったのは面接時にまず代表の田島が登場し、ジェネシアの説明をし始めたこと。面接官って「自分たちのことは調べてもう知ってるでしょ、あなたについて教えてよ」というスタンスだと思っていたら真逆で驚きました。そしてGP鈴木に「人生の目標って何?」と聞かれ、「まさにそれをこれから見つけたいんです」と話したこと。言うそばから「こんな馬鹿正直に話していいんだろうか」と悩みましたが、そんな率直な意見に驚くこともなく、真摯に受け止めてくれました。育休中でもあり目の前で授乳をしながら面接をすることもあったのですが、授乳してようが子どもを抱っこしてユラユラ揺れてようが全く気にならない、まずは互いのことを良く知りたい、というジェネシアの雰囲気をすぐに好きになりました。
入社後2年経った今でも当時のその印象は変わりません。まっさらな状態から自分たちのリアルな姿を知ってもらう。「何ができる?」ではなく、「何を成し遂げたい?」を問う。服装や外見ではなく、その人の心を見る。そんな文化が浸透しているチームです。
最終的に、ジェネシアのカルチャーへの共感、そして「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というビジョンに胸打たれ、転職を決めました。
ポートフォリオ・マネージャーに求められるもの
ジェネシアのようなスモールチームにおけるポートフォリオ・マネージャーに求められるのは、高度な金融知識ではなく、ミッションに対する情熱とこだわりです。Howの部分はチームメンバーの知恵を借りたり、はたまた外部のパートナーや他VCの方に教えて頂き学べますが、その原動力となるミッションへの想いは自らが燃やし続ける必要があります。
また、資質として求めれる要素は以下だと私は考えています。
・ 高いスタンダードを設定し、自ら維持する力
・ 傾聴力と共に、意見を述べディスカッションを促進させる力
・ 課題を発見し、課題解決までの道のりをデザイン・推進する力
PMというポジションに限らず、小さなチームではどのような職種でも同様のことがいえるかもしれませんが、自分のアウトプットに責任を持つのは自分です。チーム内で相互チェックやトリプルチェックを行いながらも、その成果物はあくまでも自分がリーダーとして作成するため、誰かに品質維持を委ねるわけにはいけません。ましてPM となると事業会社や機関投資家向けの正しさが求められる数字を扱うタスクが多々あるため、高いスタンダードを持ち、自分を律し、維持する粘り強さは必須です。
また、社内外のコミュニケーションにおける傾聴力はもちろん、その中で自論を持ちディスカッションをリードする力も欠かせません。オープンイノベーションのあるべき姿、今後の投資計画の考え方など答えが明白ではないテーマについて議論をする機会が多々ありますが、正解が自明ではないため、意見を交えながら理想的な解を模索するタイプのコミュニケーションがほとんどです。他者から見える景色に寄り添いながら、腹落ちする結論に至るまでは高度な思考プロセスが必要です。
冒頭にも書いた通り、PMがこなすタスクの業界スタンダードはまだありません。社内におけるスタンダードすら日々try & error で改善策を探っている状況です。そのような状況下では、PMのミッションを達成するために乗り越えなければいけない課題を見つけ、アプローチの仕方を考え、そして実行する、という一連のアクションを自ら推進する必要があります。
一方で、これらのスキルはトレーニングや勉強をして習得するものではなく、むしろこういったチャレンジに楽しさややりがいを感じる人がPMに向いているのではないかと思います。自分もこれら全ての資質を持ち合わせているわけではなく、自分の甘さに挑戦して自分に勝つ瞬間や、多様な意見を持つ人達と一つの結論に向けてディスカッションをすること、そしてプロアクティブに課題設定から課題解決までを設計することが楽しく、いつの間にかPMとしても少しずつ成長している(はず)と感じています。
これからのチャレンジ
ポートフォリオ・マネージャーにとってのステークホルダーは事業会社、機関投資家や支援先スタートアップだけでなく、監査法人や弁護士事務所、証券会社などの外部パートナー、社内のキャピタリスト・GPそしてベンチャーキャピタルのエコシステム全体と考えています。
というのもスタートアップ投資に必要な資金獲得をするためにはジェネシアと関係のあるファンド出資者だけでなく、広く日本全体のスタートアップ投資の促進が必要ですし、その受け皿となるベンチャーキャピタル同士も切磋琢磨し合いよりスタンダードの高いファンド運用をしなければいけないからです。そして最前線でスタートアップと対峙するキャピタリストが支援先のバリューアップに専念できるような社内体制を整えることもPMの仕事であり、支援先の更なる成長をサポートするために機関投資家や監査法人、証券会社の方たちとも密に連携をする必要があります。現在ステークホルダー毎に洗い出している課題は多々あり、一つ一つにこれからアタックしていきたいと意気込んでいますが、圧倒的なスピード感で突き進めるためには何といってもマンパワーが足りない状況です。
ポートフォリオ・マネージャーの仕事について少しでも興味を持たれた方いらっしゃいましたら、下記リンクより求人の詳細をご覧いただけると嬉しいです。
また、他VCの方で「うちも今同じような取り組みをしてる!」といった方がいらっしゃいましたら、情報交換の機会もいただけたら…と思っています。ぜひご連絡ください。
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