【市会議員への道】情報技術に関する勉強会に出席してきました

前回インタビューさせていただいた議員さんにお誘いいただき、主に現役の議員の方々やその関係者に向けて専門家が講演をされる場に出席させていただきました。

前回のインタビュー記事はこちら

講演内容は情報技術の進歩に関するものがメインでしたが、自分が想像している以上に情報技術は進歩しており、本当に気を付けないとかなり大変だなと思わされる内容でした。現状の規模感、その規模間の下で起きていること、今後懸念されることについて書きました。


とんでもない規模になっている

お話をしてくださったのは近畿大学の北口末広先生。情報技術と人権との関連等を研究されています。

話の冒頭でいろいろな数字を交えてお話してくださったのですが、ここ20~30年ほどでいわゆるテック系の分野の拡大はすさまじいものがあると分かりました。

  • Googleの時価総額は20年足らずで430万倍にまで成長している(約1000万円→約43兆円)

  • GAFAMにエヌビディアの時価総額を足すと2000兆円

いずれもスマホとネットとを基盤として成長してきた企業ですが、これらの企業が提供している技術は我々に恩恵をもたらす半面、悪用されると被害はとんでもないことに。1968年に3億円事件という、現金輸送車が狙われ一世を風靡した事件がありましたが、2018年に起きたコインチェック事件での被害額は580億円。さすがにそれだけの現金を輸送している車はありえず、580億円分の金融資産に関する情報がハッキングされたという事件で、こういう話を聞くと、情報化がもたらす脅威をしっかりと認識しなければならないと思わされました。

また、日々取り扱われる情報の量も天文学的に膨らんできており、1人の人間が発信する情報量については2002年の1年分が2018年ではわずか1日分なのだそうです。要因は動画の共有でしょうね。YouTubeなんかは1日で何十万時間もの動画データがアップされているのだとか。

膨大な情報の波に飲まれる我々

こんな感じで日々大量の情報量が流通している現在、フェイクニュースの影響は深刻だというお話でした。正しい情報と比較するとフェイクニュースって拡散力は100倍拡散スピードは20倍だそうです。言い換えると正しい情報を1人がシェアする間に偽情報は100人にシェアされ、正しい情報が20日かけて伝わったとしてもわずか1日で偽情報が伝わってしまうということ。

当然ながら被害に遭う方もいて、知らない間に出会い系サイトを通じて不倫相手としてさらされた方のケースが紹介されていました。その人は全く身に覚えのないことだったのでサイト元に申し入れるも対応が煮え切らず、警察に相談する等の対策を進めた結果犯人の特定ができ、損害賠償もしてもらえたそうです。

が、一向に問題のサイトからは削除されず(警察には削除する権限がないとのこと)、そのことを弁護士に相談したところ、削除するための弁護士費用が損害賠償額を上回ったため泣き寝入りにならざるを得なくなったのだとか。何も悪いことをしていないのに、ひどい話ですよね。こういった被害者を救済する制度ってないのでしょうか。将来の公約にしたいです。

知らない間にコントロールされている?

こんな感じで露骨に個人が攻撃される例は多くないと信じたいですが、とりわけこういった世界にAIが結びつくことで、非常に危うい状況が生まれているということも話されていました。

たとえば選挙の世界で、出身地や性別、年代、学歴といった一定の属性でフィルターをかけると、その人がどの候補に投票する可能性が高いのか見えてくるそうです。そこでターゲット広告よろしくFacebook上でフェイクニュースをしかけるのだとか。

その手法もとても巧妙で、応援する(と解析している)候補のネガキャンをするのではなく、同じような属性の人が「選挙に行ったら長時間待たされた~!」みたいな投稿を作成し、ニュースフィードのような形で見せるのだそうです。そうると「そんなに混んでいるなら投票するのをやめておこう」となる、ことを狙っているそうです。怖いですね。

こういったフェイクニュース、AIを使えば一瞬にして大量に作成できてしまいます。もはやAIが動画も作れるようになってきている昨今、今自分が見ているものがどこまで本当なのか疑ってかかることはもはや初歩の初歩なのかもしれません。

上記への対策

ここまでくると個人での対策には限界があります。人間は先に感情で結論を決め、後から理屈を作るという話も聞いたことがあります。講演された先生もおっしゃっていましたが、人間は嫌いな人が悪いことをしていた、というニュースを聞くと反射的に「やっぱりそうか」と思ってしまうもの。本当は「それは本当か?」と疑わないといけないのに、なかなか自分を客観視することは難しいようです。

となるとこれは国レベルでフェイクニュースへの対策を考えないといけません。講演ではEUの規制が今の時点では最も進んでいると思われると話されていました。

マクロの視点ではしかるべき対策をとりつつ、ミクロの視点では被害者救済を手厚くする。平板な結論にはなりますが、こういったことを政治はしていかないといけないのだなと思いました。

それにしてもこういったお話が聞けるというのはありがたいです。政党というネットワークあってこそ、こういった機会に恵まれるのでしょうね。

政治家の皆さんは地元の有力者に挨拶をすることで忙しい部分もあると思いますが、日々しっかりと勉強する時間を確保してあげられるよう、選ぶ側も政治家への気配りができたら、よりよい社会になっていくんでしょうね。

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