地元の方と話すことでわかった、長門湯本の再生が成功している理由
「福祉の増進と職員負担の軽減との両立をめざす」が最近のテーマとなっている、みきやと申します。
10月3~5日に開催されている、山口県長門湯本で地域再生の事例を学ぶツアーに参加してきました。その名も「狂犬ツアー」。なかなかのパワーワードです(笑)。
長門湯本という場所は山口県でも奥地のほうにあり、いい意味で自然豊かな場所、悪く言えば不便な場所でもあります。
ところがこの地域が最近地域再生の成功事例として取り上げられるようになってきており、今回の狂犬ツアーでは実際に地域再生に取り組まれている方とじっくり話す機会をいただきました。
地域の方々と話す中で、地域再生に成功する要因に次の3つが挙げられるかなと思いましたので、参加報告もかねて記事にしておきたいと思います。今後市会議員になって地域活性化に取り組むにあたり、押さえておきたい視点です。
地域再生に成功した3つの要素
①危機感の共有
かつて宮崎県の知事が「どげんかせんといかん」と言ったように、自分たちの地域をどうにかしないといけないという強烈な危機感があったことは間違いないと思います。
先ほどの記事にもありましたが、地元の人なら誰でも知っている大きな旅館が廃業したことのインパクトは相当すごかったようです。旅館のある長門市の方々だけでなく、山口県民全員にとってインパクトがあったとのことでした。地域の衰退を象徴するような事件であったことは間違いないようです。
また、人口が3万人を下回ったという記事が地元の新聞一面に載ったらしく、地域再生まったなしの状態にあるということが民間・行政、高齢者・若年層にあまねく認識されたということも危機感に火をつけたのでしょう。
「自分たちの住む地域がこのままではヤバい」
この危機感をどれだけの人がリアリティを伴って共有できるのか、が地域再生をスタートさせるのに重要なファクターだと思われます。
②人口規模
地域の方と話していて聞こえてきたのが、「人口が少ないからやりやすかった」という事。
この「やりやすかった」の解像度を上げてみたいと思います。
ひとつは人口が少ないから利害関係者が少なく、調整にかかるコストが少なくて済んだということでしょう。地域再生の取組のなかで、まちを流れる音信(おとずれ)川に川床を設置したというものがあります。
川の中にこういった工作物を設置すると、例えば大雨の時に流されたらどうするのか、とか、川の中に物を置いていたことで川があふれたらどうするのか、といったことを懸念する声をあげる周辺住民の方がいても不思議ではないと思います。
ところが人口の少ない地域であれば、こういった声をあげる人が出てくる確率は人口密集地と比べると少ないということは容易に想像できます。人口の少なさゆえにうまくいったと言えるかもしれません。
そして2点目としては、小さなまちなので、役所の側も川の周辺の方々を一人一人知っていたのかなとも思いました。あくまで想像ですが、例えば周辺住民の中に超有名なスーパークレーマーがいて、川の中に物を設置することを許可しようものなら怒鳴り込んでくるような方がいたとしたら、行政は許可しなかったかもしれません。あくまで想像ですが、少なくとも協力的にはなってもらえなかった可能性も考えられます。
ですが、行政の側も周辺の方々についてよく知っていたとすると、「あの地域の方々なら理解してくれるだろう」と考えたのかもしれません。
人口が少なかったために、いわゆる「顔が見える」地域となっていたことが功を奏したのだと思われます。
③副業人材
今回の話は、大谷山荘近くにある長屋を改装したBARで伺ったのですが、そこをリノベされた方は下関で本業を営んでいらっしゃるとのことでした。
リノベをされた方によると、本業でしっかりと利益を出しているから、副業ではチャレンジができるということを話されていました。リノベが落ち着いたタイミングで本業の黒字が拡大したとのことで、結構スリリングな経営をされていたようです(笑)。
とはいえこの視点はすごく参考になりました。いきなり脱サラして大変な思いをする人がいるという話を聞くように、別事業に全振りという博打をしないことはとても重要です。
地域の再生をコンサルに丸投げすると、コンサルとしては予算を消費して終わり。長期的に見たときに結果的に本当に地域のためになっているのか分からない。
ところが地域に関係のある方に副業で関わってもらえると、最初は採算が取れなくても、いずれ持続可能なものになっていく。関係者自身が当事者となって懸命に動いてくれる。こういった部分はコンサルにはなかなかできないことだと思います。
まとめ
以上、地元の方と話すことで分かった、地域再生成功の3要因について書いてみました。おさらいすると、
危機感の共有
人口規模
副業
の3つです。他にも色んな要素があると思いますし、何よりこの地域に関わられている方々の熱量が本当にすごいです。
実際にその地域に行って、地元の方の話を聞き、今後議員となったときに役立つものをこれからも積み上げていきたいと思います。