《報告》 わにぶちみき個展 F U K E I [風景]
大阪市北区西天満にある現代美術ギャラリー[gekilin.]にて開催した個展「FUKEI」は、たくさんの方にお立ち寄りいただき無事終了しました。作品や冊子をご購入いただき、わたしのやっていることをお手元に置いていただけることをとても嬉しく思っています。
足をお運びいただき応援してくださった方やメッセージをくれた方、また、いつも新しい試みに挑戦させてくださるgekilin.のオーナーに感謝します。
FUKEI [風景]
今回は、昨年末の学園前アートフェスタで制作した作品や、近年の制作スタイルになる前の“白い面で覆う”作品も一部展示して、作品の表面的な形はちがうものの通底するのは[風景から色を抜き出す]というコンセプトであることを伝えようとしました。
英国留学から帰り、作品づくりにはコンセプトを意識するようになりました。それは、時に自分をがんじがらめにする厄介なものにもなり得るものです。でも、こうして何年分かを俯瞰してみると、自分の作るもののなかに何か筋の通ったものが続いていくというのは大切なことのように改めて思えました。
あたらしい展示方法の挑戦
2x4材とDIY界隈では手軽に使えることで人気の“ラブリコ”のアジャスターを使い、大きい作品の展示の支柱にしました。何度も頭の中でシミュレーションした大きさと物量のバランスでしたが、思い描いたとおりの展示になり満足です。
ホワイトキューブでは「壁に絵を掛ける」のが一般的ですが、わたしの絵画は抽象画のなかでもとりわけシンプルで、視線が素通りしてしまいかねません。そこで、空間に立体的に引き出すことでキャンバスの厚みや布の質感、布と絵の具の対話や関係性、木枠の重み、さらには見せるために完成された面とそうではない裏側まで、意識していただけるようにしました。
絵の表面で視覚的に起きていることをなぞってもらうだけではなく、作品の別の側面にも気づいていただけるような試みでした。ご覧いただいた方に、「観る」という行為のなかにあたらしい感覚を感じていただけていたなら光栄です。
MIKI WANIBUCHI
SOLO EXHIBITION
F U K E I [風景]
2023年2月6日(月)~18日(土)
11:00~19:00
※土日は17:00まで
※水曜休廊
※展示は終了しました
わたしは現代アーティストとして、これからも現代における風景画とは何なのかを、世界を静かに見つめながら解き明かしていきたいと思っています。それは、科学者が量子レベル・遺伝子レベルで研究するのと同じような、途方もないけれどワクワクする旅路です。
その道程で、観賞者の方と対話したり、観賞者の方が思いに耽ったり、作品があることで生まれる対話の時間を生み出すことができれば、と考えています。幸運にも抽象画は、人によっても、観る日や時間によっても見え方や感じ方が柔軟に変化します。意味づけが固定されない、何度でも観て話せる、持続可能な対話の媒体とわたしの作品がなりますように。
BOOK|10 year History of MIKI WANIBUCHI
わにぶちみきのここ10年ほどの制作を24Pのカタログにまとめました。この10年の制作の軸は、広義の風景画を探求することでした。アウトプットはさまざまですが、風景画の1要素 “風景の色を取り出す” ということにのみ焦点を当てた制作となっています。 カタログとしてヒストリーを追っていただくことで、制作のひとつの芯が見えてくるように思います。
https://mikiwanibuchi.com/index.php/2022/12/03/2022-fukumoto-ke-house/
https://mikiwanibuchi.com/index.php/2021/10/18/2022-works-revive-ii/
https://mikiwanibuchi.com/index.php/2016/12/04/2016-works-kaohsiung-series/