筒井美希
(FABF2024にて発行した冊子からの抜粋です)超ワーカホリックなデザイナーが、仕事に全力投球な20代を経て、コロナ禍に出産。立て続けに転換期を迎えたここ数年の「日常」を切り取りながら、揺れ動く感情を静かに見つめるエッセイ。
書籍『なるほどデザイン』を作っていた当時のことを思い出しながら書く雑記。
この記事は、Designship2019 で行ったセッション『良いデザインってなんだろう? 変わるもの、変わらないもの』を元に構成したものです。 イントロダクションこんにちは。筒井美希と申します。わたしは今、恵比寿にあるコンセントというデザイン会社で仕事をしています。 これまでの仕事としては、雑誌や書籍などの出版物や、大学案内・企業広報誌・カタログなどの広報物のデザイン。ウェブやアプリなどのデジタルメディアや、ロゴデザイン、パッケージ・ノベルティなどもつくりました。 4
目黒に引っ越したのはかれこれ10年ほど前。当時勤めていたデザイン会社のオフィスが恵比寿にあり、できるだけ近い場所に住みたくてたどり着いたシェアハウスだった。そこから3年ほど職住近接暮らしをしていたのだが、目黒という街の思い出を脳裏に描こうとしても、浮かぶものはあまり多くない。それほど当時のわたしは、めちゃくちゃに仕事に没頭していた。 オフィスから自宅までは電車で10分、徒歩でも10分。自然と電車には乗らず徒歩で通勤するようになった。終電がないことで歯止めがかからなくなり、毎
執筆・寄稿・教育出版 教科通信『道標』 ・ノンデザイナーズ・デザインブック1周年記念冊子 ・Adobe デザインのいろは 主な登壇歴2015年 ・なるほどデザインのつくりかた 出版記念イベント @B&B 2016年 ・DORP2016 ・なるほどデザイン研修 ・CSS Nite LP46 ビジュアルドリブンのデザイン 2017年 ・中部国際空港 スタッフ向けデザインセミナー ・FONTPLUS DAYセミナーVol.8[デザインの基礎体力をつけるには?] ・デザイン夜話
『なるほどデザイン』といえば、なんといってもNoritakeさんのイラストが目を引く表紙が目印。たくさんの人が手に取ってくれるきっかけをつくってくれたこの表紙は、デザイナー関口裕くんの手によるものです。 表紙も自分でデザインするという選択肢も、もちろんありました。そうしなかった理由は、あまりにも内容にどっぷり浸かりすぎていて、適切な距離を置けないだろうと感じたから。もともと自分は、欲張りな性格かつ文脈を盛り込むのが好きなので、記号のように削ぎ落とした状態にするのはあまり得意
前回までのあらすじ: デザイン本を作ることになったエディトリアルデザイナーのツツイ。コンセプトを決め、きちんと情報を整理し、要素を用意し、ラフを描き、デザインを進める。プロセスを踏んで進めていたにも関わらず、いざページができてくると「なんかこれ、楽しそうじゃない」という根源的な課題にぶち当たり完全に煮詰まってしまう。 低下するモチベーション、守れない締切。この本の行く末はいかに!? ・・・ということで『なるほどデザイン』制作を振り返る記事、後編です。前編がまだの方ははこちら
『なるほどデザイン』は書籍ではありますが、通常の書籍とは少し違ったレイアウト、というか、かなりやりたい放題なレイアウトになっています。 自分のデザイナーとしてのキャリアのスタートが雑誌のレイアウトデザインだったこともあり、「何をどこに置いて、どう視線を誘導するか?」を設計することが伝わりやすさのために重要だと感じていたので、だいぶ雑誌っぽい作り方をした書籍になりました。 でも最初からこれを目指して作っていたわけではなくて、試行錯誤の末、気づいたらこうなっていた。というのが
『なるほどデザイン』を作ることになる、少し前のこと。新米アートディレクターだったわたしが、後輩デザイナーと打ち合わせをしていたとき、彼女がため息混じりにこうつぶやいた。 「筒井さん、本当にあのお客さんて、なんにも決めないですよね」 ずいぶん前のことなので曖昧だけれど、たしかこんな話をした記憶がある。 ーーそれはちょっと違うかな。わたしもあなたもこれまでずっと出版社に常駐していて、プロの編集さんが考えた企画をどうデザインするか? が仕事だったけど、いまやっているのは広報誌
2019年4月2日に発売された書籍『うっとりあじわいじっくりデザイン』の 導入パートをご紹介します。 味のある手描きの文字、チョークで描かれた個性豊かなお店の看板、ポンと押されたスタンプの独特のかたち。 身の回りにデジタルなモノが増えた現代であっても、手描きやアナログの表現は変わらず魅力的で、さらに人気が増えているようにすら感じます。 手描き表現に温かみや親しみを覚える人が多いのは、誰かが気持ちを込めて丁寧に、手間暇をかけて作られたものだと感じるからかもしれません。整い
よく聞かれる質問として「なぜ本を出すことになったんですか?」というものがあります。わたしの場合はある日突然、MdNの編集さんからこんなメールが届いたのが始まりでした。 わーい、またブックデザインのお仕事依頼が来た・・・と思ったら、えっ、著者??と、2度見3度見したことを覚えています。確かにMdNさんの書籍はデザイナーが著者になることも多いですが、自分がそれをやるとは想像してなかったもので。 このときお声がけいただいた企画は「最新の実例を取り上げ、傾向や解説を加える」という
2018年10月、ロサンゼルスで行われたAdobe MAXに初参加した感想です。「行く前は迷ったり心配したりしたけど、結果、行ってみてめっちゃよかったよー!」 という話。個人的な記録ではありますが、興味ある人の参考になれば。 1)AdobeMAXに参加したきっかけ 2)実は「現地に行かなくてもいいじゃん」と思っていた 3)セッション選びで、自分好みのイベントをつくる 4)フォローが充実。英語苦手でも参加しやすい 5)その他の感想 注1:この記事では「公式発表された新機能や