世界一ダサいヒロインの映画「百円の恋」
こんばんは。みきたにし☆です。
生きてると、いろいろありますよね。
思い通りにいかなくて、それでも、なんとかしようともがいたり、あがいたり。
なんとかしようと頑張って、それでもコケて、悔し涙を流したり。
「あー……。今の自分、マジでダセェな……」って、つくづく、いやになったり。
そんな経験を一度でもした人、みんなに見てもらいたい映画。それが
「百円の恋」です。
「百円の恋」は、こっち側の物語
「時価百円の女・一子32歳。傷だらけの恋と闘いの物語」(公式サイトより)
よくあるストーリー展開で「主人公がひどい挫折をしながらも、努力を続け、最終的に勝利する」というのがあります。
たとえば……弱小運動部が、新しい監督のもとで力を伸ばし、全国大会で優勝するとかも、これに当たると思います。
そういう「ロッキーのテーマ」が似合う映画は、それはそれで、素晴らしい!
ですが、完全に「あっち側」の物語だと思うんです。
「物語」としては素晴らしいし、最後に結果が出るって分かっているストーリーは、気分良く見られます。
ただ、等身大のお話として受け入れることはできません。
「良くできたお話」感があるというか……
「そうは言っても、結局、あなたはヒーロー(ヒロイン)だもんね、はいはい」って思っちゃうんです。(ひねくれ者でスミマセン)
その点「百円の恋」は、完全に「こっち側」の物語なのです。
ヒロイン一子の姿に共感
家を追い出されて深夜アルバイトをすることになった、ヒロイン一子。この設定からして、「ヒロインなのに?」感しかありません。
やがて、ボクシングに目覚めた一子。「ムリ」と言われながらも、諦めず、しぶとく、猛特訓の日々を送り……ついに、念願のリングに上がる日が来ます。
しかし……
一子はボコボコにやられる。
え……?これ、まさか……終わるの?って思うぐらいに、ボッコボコのフルボッコ状態になります。
それでも、必死になって闘い、相手に得意の「左」をぶちかますことができます。
勝った!やった!……では、終わりませんでした。
最終的にリングに沈められるのは、一子でした。そう、負けちゃうのよ。初戦で勝てるほど甘くはない……。
でも、その姿が、胸にすっと入ってきました。
ボロボロに負けて、惚れた男の前で大泣きして、「飯くいにいこう」って手を引かれながらも、まだ泣いている(たぶん)。
でも自分の足でちゃんと歩いている彼女は、ニートだった頃とは全然ちがう。
完全じゃない、強くもない。完ぺきを手にしたなんて程遠い。でも変わっている。進んでいる。続きがありそう。これから先も、ぶつかって、必死になって、またぶつかって……そんな繰り返しの人生になるような気しかしない。
ちっともカッコよくはない。
だからこそ、いい。清々しいほどにダサいんだもの。とても、いい。ダサくても良いじゃんて、心から思える。
だからこそ、わたしは、この物語を「こっち側」だと感じたのでした。
消費税8%のテーマソング
途中に入ってくる、切れ切れのやるせないブルースがとても好き。
しかしテーマソングがまた秀逸。
「あ、消費税が加算されてる」って思った。消費税8%時代の歌だわって。
安藤サクラさんを観る映画
役者ってスゴイ!そんなことは、今まで、いろんな役者さんに対して思ってきました。
でも、「百円の恋」での安藤サクラさんの「役者魂」は、もう、これだけでも観るに値すると思いました。どれだけストイックにボディコントロールをしたのでしょう……。ほんと、その点についても感動しました。
芝居をするって、ほんとうにスゴイことだ。
役者という仕事は、すばらしい仕事。そんなふうに思える作品でした。
それにしても、脇役で出てくるキャラクターに「ろくでなし」が多い映画だったわ……( ´艸`)
また観よっと。