大学ラグビーをより『深く』知ろう(最終回) 大学選手権レビュー ~3回戦~準決勝~
コロナ禍、世界が未だかつてない事態に直面する中、2020年10月4日~12月日で各地域において大学ラグビーのリーグが行われました。いくつかの試合は中止となりましたが、関東大学対抗戦、リーグ戦各グループ、関西大学リーグ戦は、いずれも最終戦まで試合を行いました。
各リーグ戦が終わり、12月13日から
第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会
が行われました。
クボタスピアーズ所属岸岡智樹選手主宰のラグビーサークル『岸岡智樹のラグビーラボ(通称 #トモラボ )』では、今回『大学ラグビー応援企画』の最終回として、大学選手権3回戦から決勝までのレビュー、そして、来季への展望を有志メンバーから聞きました。
この記事では、3回戦~準決勝を振り返ります。
トークメンバー
《いのこ》
#大学ラグビー応援企画 トークの発起人兼参加者。
学生時代に大学ラグビーに親しむ。子育てが一息ついたのを機に観戦再開。
《ふくだ》
20代。
ラグビーにハマったきっかけは畠山健介選手。ラグビー経験はなく観戦歴も浅い、にわかファン。かっこいい選手を見つけるのが楽しいがだいたいみんなかっこいいのでキリがない。若い層のファンがどんどん増えて欲しいなと思っている。
《トヨノボリ》
50代男性3児の父。
中学時代よりラグビーを観戦、現在は早稲田大学のファンだが、最初は同志社大学ファンであったことは内緒。
プレー経験は大学の授業のみ、文句だけは一人前な典型的親父ラグビーファン。
自慢は息子が小学校時代に参加していたルーパスJrの交流フェスタで、大野均選手にラインアウトリフトしてもらったこと。
今年はコロナで聖地巡礼ができなかった熱狂的カープファンでもあり、小学校時代のあこがれはマルチプレイヤー木下富雄(現焼き鳥店店主)。
《しんさん》
50歳男性独身(×1)。大学在学時に観戦したワセダのラグビーにハマってラグビー観戦を続けること約30年。ワセダのみならずラグビーの「ラ」のつくこと全てと旅行とグルメをこよなく愛する。国際問題、政治を除く社会問題全般、サブカルチャーに薄く広く興味あり。有名人・他人のスキャンダル、ゴシップネタには全く興味なしの会社員。
《まりえ》
W杯2019でラグビーにハマる。YouTubeで早稲田大学(現・クボタスピアーズ)岸岡くんの試合や好きなラグビー選手の大学時代の試合をいくつか見て存分に感情移入する。ルールはほとんど分からず、最近の楽しみはボールではなくお気に入りの選手を目で追いかけること。大学ラグビーのリアルタイム観戦は初めて。
《みきしの》
本記事のライター、編集者兼参加者。
20年位前に社会人ラグビー(現:トップリーグ)からラグビーにはまり、W杯2019は19試合を生観戦。大学ラグビー観戦デビューは2018年で、まだまだ #にわか 。好きなチームは決めかねているが、あえて言えば早稲田大学。
大学選手権3回戦レビュー@秩父宮
第一試合 日本大学 108 - 0 福岡工業大学
《トヨノボリ》
秩父宮で大学選手権を生観戦しました。風はなく絶好のコンディションでした。
第1試合は、フィジカルもスキルも違いすぎましたので、大差のゲームはやむを得ないでしょう。野球とは競技人口が大きく異なるため地方の大学はこれからも人材に悩みそうですが、ミスマッチとは言わずこれからも門戸は開け続けて欲しいです。
日大は、特に前半のコンバージョンが全く決まらず。ノープレッシャーでしたので僅差のゲームでは大きな痛手になりかねませんでした。
《みきしの》
試合前から日本大学が圧倒的有利と予想され、結果も点数を見れば圧倒的でした。ですが、福岡工業大学のひたむきなプレーに会場中が次第に応援し、福工大がゴールラインを越えたか?!という時には会場中が盛り上がりました。
福工大は関東から見たら無名チームですが、ひたむきさを応援する会場の雰囲気は学生ラグビーならでは、だと感じます。
第二試合 流通経済大学 19 - 19 筑波大学
抽選の結果、流通経済大学が準々決勝に出場
《いのこ》
筑波大学対流経大を観戦しました。まさに激闘でした😭
生で初めて抽選というものを見ました。外した、と気づいた時の山田くんの表情が痛々しくて😭😭😭筑波を応援していた娘は座席で半泣きしてました💦筑波のノックオンの多さは、ギリギリの速さとスキルを狙っていたからなのか、流経大の圧が予想以上に強かったからなのか、、ここぞの場面でのノックオンは本当に痛かった😭😭でも最後までキレのあるタックルで流経大を止めていたのが印象的でした☺️
流経大は、やり慣れない相手に戸惑っていた感じもありましたが、足の速さも含めてパワーが違いました☺️
《トヨノボリ》
第2試合はスピードの筑波、フィジカルの流経大ががっぷり組んだ好ゲーム、おそらく筑波側が望んだ形のゲームだったと思います。筑波は前半接点で勝っており、劣勢と言われていたセットプレーでもほぼ互角でしたがハンドリングエラーが多く、また必要外の飛ばしパスなど難しいことをやりすぎていたと感じました。後半残り5分で敵陣に入ってからもノックオンでチャンスを逸し、”5分かけて得点をする”ようなマネジメントが必要だったのではないでしょうか。また前半ゲインラインを再三突破していた岡崎キャプテンの後半早々での脳震盪退場が痛かった。なぜ大学選手権にHIAを導入しないのでしょうか。TMOを含め日本協会主催であれば前向きに検討して欲しいです。
流経大は恐らく経験したことがないタイトなゲームに切れることなくアジャストしました。おそらくフラストレーションがたまったでしょうが規律を乱すことがなかったです。
SNSでも多くの方が書いていましたが、抽選ではなくゴールデンスコアの延長にして欲しいというのは私も同意見です。
《しんさん》
抽選をJスポーツで見て筑波フィフティーンの姿に思わず目頭が熱くなりました。最近涙腺が緩い。年かな・・・と😭
大学選手権3回戦レビュー@花園
第一試合 慶應義塾大学 47 - 14 京都産業大学
《しんさん》
慶應義塾と京都産業大学の試合をJスポーツで見ました。
両校共に似たチームカラーで、約5分かかったファーストスクラムの組みなおしはじめ素晴らしいつばぜり合いは見ごたえがありました。
両校とも素晴らしく、個々の選手の力などの潜在能力には点差ほどの差はないと思いました。東西格差、特に今年は関西リーグの試合が少なかったのが影響したかな・・・と感じました。
京都産業大学の新体制は楽しみです。特にGMの元木さん、フォワードコーチの田倉さんは、私の世代には90年代のジャパンを支えたレジェンドです。現在のジャパンに繋がる足跡、土台を語るうえで外せない選手ですよね。田倉さんのスクラムを見つめるまなざしの真剣さは現役の頃のそれと全く変わりませんでした。
慶應義塾は大学選手権優勝を念頭に、自分たちが行うべき慶應WAYともいうべき方法を丁寧に確かめる試合内容でしたね。厳しいディフェンスからの我慢と相手側のペナルティ誘発→PKによるエリアマネージメント→マイボールラインアウトを基点にしたモール→リモールという流れで勝ち筋を掴んでいく様は、早稲田戦以降の帝京戦、京産大戦で終始一貫してぶれることがありません。
大学選手権準々決勝レビュー@秩父宮
第一試合 明治大学 34 - 7 日本大学
《トヨノボリ》
明治は正直出来がいまひとつでしたね。ラインアウトがあれだけスチールされたのは、あまり記憶にありません。でも負ける感じは全くなかったです。接点で勝っていたので、日大は攻めてもゲインできずどんどん後退、キックしか選択肢がなくなっていました。
そしてスクラムは完勝、敵陣ゴール前のノックオンはわざとやっているのかと思うほどでした。
第二試合 慶應義塾大学 14 - 29 早稲田大学
《トヨノボリ》
今日の秩父宮は寒く、特にメインスタンドの最上部だったので風が吹き抜け凍えていました。
早稲田は前半接点への二人目が早かったですね。慶應は三木君が前半早々に負傷退場したのは痛かったです。
槇君、物凄い成長です。外で勝負でき絶対にラインを割らない腰の強い理想的なWTBに近づいています。古賀君との左右WTBは強力です。
丸尾君、かなり警戒されているスクラムからの8単で取り切るのはさすがです。
村田君の接点の強さはとても一年生とは思えません。このまま成長すると恐ろしい。
伊藤君はノックオンやタックルミスがありましたが、トライを取るところがものの違いでしょうか。
後半は慶應が接点で強さを増してきましたし、早稲田も規律が少し乱れました。
ラインアウトが乱れたのは先を見据えると不安です。
《しんさん》
伊藤くんのトライの起点となった相良くんのいい意味でのいやらしさが印象的でした。慶應は対抗戦でのエリアマネジメントの反省からハイパントを多用してきましたね。山田くんはいいキックを蹴れていたと思います。ただ、ちょっとでも長くなると走る気満々の河瀬くん、槇くんに餌を与えることになりかねないので難しさがあったでしょう。
ラインアウトが慶應には誤算でしたね。後半の40~60分は慶應の接点での強みで早稲田をよく追い詰めたと言えるし、早稲田はあの完全に慶應側に傾いた時間をワントライでよく凌いだとも言えるかと思います。
試合後のスタッツで慶應ボールラインアウトの多さにビックリしました。
古賀くんのトライの後に慶應が円陣を組んでるのが印象的でした。試合後、相部くんの面構えが良かった。「自分たちの手持ちのカード、強みを使い切る」という面で今期の慶應は素晴らしく、大学ラグビーを盛り上げてくれました。個人的に見ていて色々凄く勉強になる部分が多かった。どこかで栗原監督のレビューや今後の展望を聞きだいところです。
それから、丸尾くんのスクラムでのボールのピックアップは、よく見ると必ずしもダイレクトフッキングではなくて、一列か二列で停滞してるボールを手を突っ込んで拾い上げてるんですね。慶應の三列もきちんと警戒していた中でひとりで取り切ってしまったのは凄い。途中から慶應もスクラムハーフがプレッシャーをかけて良く対応してましたが、あれは今季の武器ですね。小西くんのアジリティを生かして8→9なんかもやってみると面白いですね。
《いのこ》
早稲田をあれだけ自在に走らせ、マイボールのラインアウトで失敗を重ねれば、慶應に勝ち目はありませんでした🥲慶應は開始早々早稲田のボール回しについていけませんでしたね。先週の疲労もあったと思います。とはいえ、攻撃のオプションが少ないことや、早稲田の攻撃&防御能力の高さに屈した印象です。ただ、昨年選手権出場を逃した時から、困難の中チームをここまで整えてきた選手と栗原徹HCを讃えたい気持ちです😊
試合の内容からはズレますが、会場で酒盛りする人が複数いて驚きました😱ルールは守ってほしいですね。
大学選手権準決勝@秩父宮
第一試合 帝京大学 27 - 33 早稲田大学
《トヨノボリ》
大学選手権準決勝、2試合ともテレビ観戦で楽しみました。
早稲田は得点を取るパターンが確立していました。劣勢が予想されるスクラムは極力少なくすることが徹底されていました。
若干ずらし目にしたフラットなパスで何度もギャップを作っていました。
これが徹底できれば天理の強力なディフェンスにも有効でしょう。
帝京は一度落ちてからよくここまで上げてきましたが時間が少し足りなかったかな。
個々の力はやはり凄かった。来年も京都成章の本橋君や桐蔭学園の青木君が入学するということですし、チームとしてどれだけ高められるか。
《しんさん》
かしこまりました。以下修正版です。
準決勝 早稲田V帝京レビュー
早稲田と帝京との準決勝は帝京の奮闘で接戦となりましたね。個々の選手の力、潜在能力からすれば本来優勝候補筆頭、明治と並んで大学ラグビーの主役である帝京が本領を発揮してよく頑張ったと思います。特にSO高本の判断力の高さが光りました。
ここで対早稲田戦の帝京の対比例として少し慶應にも触れます。今年の慶應は素晴らしいチームでしたが、いかんせんバックスのトライの切り札が少なくて今年の早稲田には残念ながら及ばない・・・と思いました。しかし、これに対して帝京にはマッカラン、尾崎、奥村、ツイナカウヴァドラという、慶應からすればおそらくうらやましい超大学級の切り札が沢山いました。ここをもっとうまく使えなったのかな・・・とちょっと悔やまれます。
モールで二つとられたのは対抗戦のデジャブでした。サックのよる防御に賛否が聞かれましたが、私はここは早稲田の強みで仕方がなかったのかな・・・と思いました。
ただせっかく早稲田ゴール前に迫ったのにラックサイドへの攻撃にこだわって丸尾、小林にジャッカルされたのは惜しかった。ここはNHK解説の廣瀬さんもおっしゃっていたように変化をつけて工夫して攻撃してほしかった。現にマッカランでトライをとっています。今年の早稲田のゴールラインでのラックサイドディフェンスは鬼強く、慶應も涙を飲んでました。もっと尾崎、奥村を使って変化をつければ少なくともあと二つトライをとって帝京が勝っていた可能性は高い試合だったと見ました。
ここは決勝で天理がフィフィタ、市川のコンビがうまく変化をつけて早稲田のディフェンスの隙を作りだして初優勝をつかんだ伏線になっていたようにも思えて、振り返れって考えれば面白いです。
ただ、フィジカルはすごく鍛えられていて対抗戦の不振からよくここまで持ち直しました。来年も帝京には桐蔭の「怪物」青木はじめ多くの有望新人が入ってきます。私は一昨年のワールドカップでのジャパンの躍進の裏には、堀江、流、姫野、松田を輩出した帝京、岩出監督他帝京関係者の功績が大だと思っています。来年以降チームの完全復活に期待してます。
第二試合 明治大学 15 - 41 天理大学
《いのこ》
明治の大敗は衝撃的で😨。天理の独特の攻撃リズムと予想外のスピードに明治は全く対応できなかった、という風に見えました。対抗戦グループに、強力留学生を複数揃えたチームがないことが遠因なのでしょうか?フィフィタくん上手くなりましたね☺️周りと合わせることができるようになったのかなあ🤔硬軟自在の動きでしたね。単純な力任せではないのが今年の天理ですね。
《ふくだ》
天理vs明治、明治が追いかける展開になりましたがどの場面でも明治のキャプテンが苦しそうな顔をしていないのが印象的でした!!
結果的には追いつけなかったですが、追いついてしまうんじゃないかと思わせる気迫がすごかったです。
《トヨノボリ》
明治は先を見ていたのでしょうか。この試合に焦点が当たっていなかったような印象がありました。
明らかに天理がラインアウトに難があるのは試合中も明らかでしたし、事前調査でもわかっていたはず。回数を増やしてミスを多くされるなど工夫が必要だったのでは。
プレスキッカーをなぜ広瀬君にしたのかも?でした。
それにしても天理の強さは想像以上でした。接点、スクラムで明治があれだけ蹂躙されるとは。レベルの合う相手がなかなかいない関西であれだけチーム力を高められるのは意識の高さだと思います。
《まりえ》
早慶、早明などの歴史を知らないのでなんとなく周りの話を聞きつつ決勝は早明になるのかしらと思って見ていました。
何よりも対抗戦の明治の勢いが凄かったことから、誰も明治を止められないのでは…と思っていました。
初めて見る大学選手権はコロナの影響もありJsportsで家での観戦でした。始まってすぐ、天理のトライにびっくりして何が起きたの!?という感じでした。対抗戦の明治の印象が強すぎて、明治が勢いで上をいかれる事が信じられなかったのですが、対抗戦で感じた明治の勢いをそのままこの試合では天理に感じました。最後の最後まで押し続ける明治の姿に感動!!そして天理おめでとう!
準決勝までを振り返って
3回戦の日本大学の108点での完封や、筑波/流経の抽選での準決勝進出、明治大学の準決勝敗退…などさまざまな驚きのあるゲームでした。
各リーグ戦及び大学選手権を通して、選手やスタッフ、その他関係者の方々が重ねた努力に、こころより感謝申し上げます。
(その2)は決勝戦! 天理 - 早稲田のレビューです。
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