午睡(シエスタ)

語ることを失って、私は演じ始めたが、近頃では、鼻の赤を気にするようになっている。 寝台で目を閉じても、そうするのに相応しい時刻であるのに、重く漂う予感がし、まぶたでは、白い顔が踊りだす。私 に拍手を、それは笑み無きものとなるであろうが、送り続けなくてはと思う。演ずることなく過ごせる時に入りたい。 けれど、夢は果たされぬまま朝を迎えることになる。

「今日は道化を探し出そう」、街に出れば容易に見つけられる気もする。彼は私の部屋にやって来て、何もかもを知らせ てくれ、ロを閉ざした私の声を聞いてもくれる。開放されたが身を思う。だが、私はずっと1人だったのだ。光に白 く包まれた、冷たい空気、カーテン、それを見るのは、私の期待にもかかわらず、これが初めてのことではない。 昨日と変わるところはなかろうが、しかたがない、ドアを開けることにしよう。 明るい平画、ハリエンジュの林、下へ向う緑と白の短い曲線が重なり合う。歩いていくと、目に映っていたものは、私 に入ってくるものとなる。白い房からの甘さに浸る。靴に染みた朝露の暖まるのを感じる。輝きの結ばれた焦点のよう なキンポウゲの、つややかな黄の遊ぶ叢に足を進めると、課まで、また、冷たくなる。暫く立ち止まる。水と光の、こ の過程の中にいたい。そのための、それを全身に受け止めるための姿勢を取ることにしょう。 空にいくつもの太陽が咲いている。ビエロよりかわいらしいではないか。私はまぶしさを遮る。 光を赤く感じている。私はここ、感受するだけのょうにも、愛でるだけのようにも思われる、この空間にいる。ようや く眠ることができそうだ。

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