会社紹介

デザインファームの作り方(6) 営業開始

前回の記事からだいぶ時間があいてしまいましたが続きです。

無事に登記も一通り終わったので仕事を探さねばなりません。FacebookやらTwitterやらで私が会社を設立したことを知った方々から話を聞かせてよと連絡を頂いたりするので、先方まで出かけて行って色々と話をさせていただきました。

初めての営業

当初は会社紹介資料として、会社の概要であるとか、私のできる事を羅列して簡単に資料にして持っていったわけです。クレデンシャルと共に。その資料にどんなことが書いてあったかと言うと、こんな感じ。

・各種リサーチ(ユーザニーズ探索、ユーザビリティ評価、データ分析など)
・新規事業、商品・サービスコンセプトの提案
・既存事業、商品・サービスに対する改善提案
・各種プロトタイピング
・Webサイトおよびアプリのデザイン、ヒューマンコンピュータインタラクション、UX、IoT、ロボティクス、人工知能、コンピュータビジョンなどに関するご相談
・上記に付随する研究開発

間違ってはないんだけど、幅が広すぎて何ができるのか、というよりも何が得意なのか全くわかりませんね。今は反省しています。

「色々してらっしゃるんですねー」みたいな話で盛り上がったりはするんですが、結局何が得意なのかが伝わらないだろうし、相手もどういった仕事を依頼してよいかわからなかったはずです。

これは大変ありがたい事ではあるのですが、会社を立ち上げたばかりの時期って、具体的に何か頼みたい事があるから声をかけるというよりは、とりあえず話を聞いてみて、振れそうな仕事があるなら振ってみるかぐらいのノリであることがそれなりに多いのかなと感じました。もちろんこれはこれで大変ありがたいのですが、上記のように出来る事を羅列してしまうと、相手としても困るわけですね。

自分がどんな仕事をしたいのか

上記のようなふわりとした営業を数件ほどこなしたところで気がついたのは、まずはじめに、私としてどういう仕事をしたいのかをある程度、私の中で明らかにしておく必要があるということ。

今から考えれば当たり前すぎる事なのですが、当時は、どんな仕事でも良いので受けれそうな仕事はすべて受けたいと考えていたのです。

そうなると問題となるのが、私の会社でどういった仕事を受けたいのかの説明なのですね。個人的にはサービスデザインファームと名乗りたいのですがサービスデザインやってますと言っても、なかなか伝わりません。サービスデザインってなんですか?と言われてしまうのがオチです。

ではUXデザインが得意です。UXやります!と言えばどうでしょう。UXデザインという言葉自体は、IT界隈の人であればまず聞いたことがあるはずですし、UXデザインの重要性もそこそこ理解されつつあるのかなと思うのです。が、UXデザインを外部企業に依頼した事がある人って、おそらくなかなか無いはずですし、そもそもUXデザインって企業の業務プロセスの中から、どう切り出せば良いんだろうか?という話があるわけです。

私の場合は、幸いにも知り合いに恵まれたこともあり、UXデザインを外注してどういうことが出来るかわからないけど、仕事内容含め相談しながら進めさせてくださいという形で契約まで進み、現時点で完了したプロジェクトもあります。しかしこれは非常に運が良かったケースだと思っていて、実際にはもっと具体的にUXデザインプロジェクトとしてのゴールやアウトプット、あるいはプロセスについて説明しておいたほうが良かったのではないかと感じています。

UXデザインのプロセスを(勝手に)定義してみた

UXデザインという言葉から思い浮かべるものは人によってかなり幅があります。私の場合はUXデザイン案件の経験がそれなりにありますので大抵の状況には対応できますし、これはこれで私の強みだと思っていますが、なんでもかんでも臨機応変に対応するってのは決して褒められたやり方ではないでしょう。

そこで、下記のような図を作り、弊社ではUXデザインはこういうプロセスで進めます!というのを説明出来るようにしてみました。

この図を使いながら「こういう感じで仕事を進めるのでどうでしょう?」みたいな感じで説明するわけです。

そうすると先方もUXデザインについての理解が進み、「なるほど弊社で今リソースが足らないのはこの部分なので、こんな感じで仕事を頼めるかな?」って感じてトントンと話が進む…というのが私が思い描いていたシナリオだったのですが、帰ってきたリアクションは「うーん、よくわからない…」だったりするわけです。あれー・・・?

説明不要かとも思いますが、上記の図はダブルダイアモンドデザインプロセスをなぞっています。ダブルダイアモンドというのは我々デザイン業界の人であれば「なるほどね」となる存在なのですが、冷静に考えるとそもそも日本でUXデザインの話をするときに、ダブルダイアモンドの話を聞いた覚えなんて無いし、プロセスの話ってほとんど聞いたことが無いんですよね。ペルソナとか、カスタマージャーニーマップとかワイヤーフレームとか、ツールについての話は聞いたことがあるけれど、プロセスの話ってあまり聞いたことが無い。

つまり、こういったデザインプロセスの話をされてもUXデザインという言葉からイメージするものとは人によるのでしょうがギャップがあるわけです。

UXデザイン界隈に競合多すぎ問題

UXデザインを軸に営業する難しさには、前述したとおりUXデザインという言葉の曖昧さ以外にもあります。

前述した通り、UXデザインが市民権を得て、重要性を認識されつつあるというのは良い事なのですが、これはもうひとつの問題、つまりプレーヤーが多くレッドオーシャンであるという事実でもあります。UXデザインします!という会社は東京にいったいいくつあるんでしょう。

つまり、UXデザインに関する仕事取るために営業をしようと思った場合、下記のような課題があり、営業効率を高めるためにはこれらを考慮する必要がありそうです。

- UXデザインを業務からどう切り出すか
- UXデザインの定義が曖昧
- 競合多すぎ

もっとターゲットを絞っても良いのかもしれない

弊社は決して大きな会社ではなく、むしろ東京のデザインファームの中でも最弱と言っても過言ではないポジションにいます。ランチェスター戦略でもそうですが、こうしたポジショニングで成果を出そうとする場合は、自分の強みを最大限に活かせるポイントを一点突破するのが正しいはずです。

では、その一点突破すべきポイントはどこなのでしょうか。これについて次回のnoteで書いてみたいと思います。さて、弊社はどこへ向かうのでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!