出来るなら犍陀多になりたい。
※当記事には虫の画像(芋虫)が登場します。苦手な方はご注意下さい。
はじめに
花桃を買った。
普段から通っているスーパーには切り花を売っており、目に入る度に「いいな〜」と思いながらも、カフェインとニコチンと食料を購入して帰宅するのがルーティンだった。
だが今日は3月2日。
節句とかナントカのアレで、花桃が売っていた。
その場のテンションで購入した。
手持ちが少なかったので、HUNTER×HUNTERのウエハースは売り場に戻した。
帰宅し、コーヒーパックを切り、花瓶を作った。
花桃が入る様に下の方を切った。
台所で切るものじゃないと学んだ。
床が草やらなんやらで破茶滅茶になった。
その破茶滅茶の中に、むいむい(芋虫)がいた。
こ、困る。
自由に飛べるカナブンならベランダでさよなら出来るが、相手は羽を持たない幼虫。
ベランダでさよならしたらむいむいさんのお命もさよならである。
住んでいるマンションの玄関口に植木があるので、そこでさよならしようと思った。
蜘蛛の糸
私は虫嫌いだが、害がなく素早くも動けないむいむいさんならギリ対処できる、中度の虫嫌いだ。
中度なので、むいむいさんを見たその時から鳥肌は立つし、部屋に蔓延る毛糸たちを虫に空目したりした。
だが、むいむいさんには温情をかけたいと思った。
虫もひとつの命、などとは露ほどとも思わない。
こんなのが死んだところで全然構わない。
のだが、私はむいむいさんに生きて欲しいと思ってしまった。
「蜘蛛の糸」という芥川龍之介の小説がある。
犯罪者の犍陀多が蜘蛛を助けた温情で、天国に行けるチャンスがあったとかそういう話だ。
私はむいむいさんが生きる可能性のある場所に移して、ソレになりたいだけなんだな、と気づいた。
ひとつの命を救った気になって、有頂天になりたいだけだった。
実行
直接は触れないし、ある程度の距離がないと持てないので、その場にあったダンボールに乗ってもらおうと思った。
Amazonは私の命もむいむいさんの命も救う。
完璧な計画の筈だった。
しかし、むいむいさんがダンボールの上ではなく、中に入ってしまった。
中芯と呼ばれる、ナミナミの部分に。
onじゃなくてinな事もあるんだ。
こ、困る。
とりあえず、玄関口の植木まで運び、ダンボールを降ったが音沙汰なし。
inの内部は見えないので本当に中に居るかも定かではない。
むいむいさんがinした事により、私の頭がupしていた為、まだ台所に居るかもしれない。
もしかしたら、私のシェイクでむいむいさんごとデスしてしまったかもしれない。
植木にダンボールを放置する訳にもいかず、だからと言って、ベランダに放置してそこで出られても困る。
近くに虫が居るかもしれないという状況は、中度の虫嫌いの私には耐えられなかった。
なので、袋の中にダンボールを入れて、むいむいさんが出てきた際に植木でさよならする事にした。
現状、1時間ほど経っているが音沙汰はない。
まだ台所に居られた方がマシだった。
袋の中からどうやってむいむいさんを出すかは未計画である。
このむいむいサンドイッチどうしよう。
観音様、温情掛けてくれるかな。
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