奈良旅①香久山
ある5月の晴れた朝、「そうだ今から奈良へ行こう!」と一人で車に飛び乗った。
世界中から人が集まる観光地・嵐山の渡月橋を渡る。わざわざここを出ていくことに毎回不思議な気持ちを抱く。
さて、旅の目的は、大和三山の一つ「天香久山(あまのがくやま)に登る」こと。桜井市と橿原市にまたがる標高152mの小山。登山道の入り口にある観光トイレにナビを合わせる。
下道から行ったので時間はかかったが、道を間違えることなく無事午前中に辿り着いた。
山の裾野の住民の方に声をかけられる。
「これから山に登るのかい?」
「はい、ちょっとだけ」
そう言って山に入った。
低いが勾配がそこそこあって、息が切れる。だが、すぐ山頂へ。私と同世代の女性3人がベンチに腰掛けて楽しそうに話していた。
山頂といっても視界は開けておらず、木が生い茂っていた。
国常立神社がひっそりとある。ここにきた挨拶をしていたら、頭の上に視線を感じ、顔を上げた。
蛇だった。
「ぎゃ」
と思わず声を出した。
「どうしました?」
と心配して女性3人組の方が声をかけてくれた。
「へ、蛇が!」
「あぁ、神様が誰がきたのか見にきたんですよ」
「はぁ、ならもう一度挨拶し直します」
だが、もう蛇は見当たらなかった。
そしてその女性3人組に
「天香山神社(あまのかぐやま神社)はどっちですか?」
と2つみえる道のどちらか教えてもらった。
結構急な山道を一人頑張って下る。
すると開けた場所にこじんまりとしつつも立派な神社があった。
気がいい神社だった。
そこから山の裾を歩いて「天岩戸神社」へ。
本殿はなく、御神体の巨石が遠くにうっすら見える。
ここでもご挨拶をし、山から出た。
そして、旅は十割そばの「蕎麦がき屋」、大神神社、薬師寺へと続く。