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中年よ旅に出ろ

これは今年3月末、満開の桜を目当てに観光客で賑わう京都嵐山から脱出し、JR在来線を乗り継ぎ三重県亀山市にある関宿まで遊びに行った時の冒険記だ。

なぜ関宿なのか。それは友人が関宿に伊勢木綿のレンタル着物屋をオープンしたからだ。(きもも堂というので是非お立ち寄りあれ)

きもも堂前にて
レンタル着物着用



私は普段、京都市内のごく限られた範囲を車でウロウロするだけで、電車はめったと乗らない。

京都から出るとしたら、JRか阪急電車で大阪まで。もしくは一気に新幹線で故郷の名古屋か、観劇などの用事で東京まで。

限られた地域しかここ数年は行かなくなった。若い時は飛行機に乗って国内外へ行っていたのに。

加齢やら忙しさやらで行動範囲が狭くなり、知ってる道しか通らなくなり、日々に新鮮さが無くなっていく。

となると、行ったことのない関宿まで行くのは心臓がドキドキで大忙しだった。

元々、名古屋の地下鉄育ち。地下鉄は大抵どれに乗っても一緒だった。(特に35年前の鶴舞線)高校卒業後、短大で大阪(枚方)に出てきて京阪電車という私鉄を知り、乗るたびに半泣きになった。

なぜって、特急やら快速やら準急の目的地までの到着時間の速さの区別がつかないし、目の前の電車に乗る癖があるし、案内看板を探し一生懸命どれがいいか考えて、やっと目の前のではなく次に来る急行に乗るのねと理解する。

今は乗換アプリがあって便利だが、手帳の後ろのページにある路線図しか当時の私は情報を持っていなかった。

まぁ、そんな感じで来たら乗る地下鉄育ちの私はJRも私鉄もいつまでたっても乗り慣れないので、毎回ドキドキなのだ。

京都駅から滋賀の草津まではよかった。草津は何度も行ったことがあったから。その後、どんどん見たことのない景色や駅名が現れ、最後は、京都でいう嵐電みたいな二両編成になり、(えっ、これ京都からPiTaPaで乗ったけど、降りる時使えるのか?)という謎の疑問で頭がいっぱいになり、そんなの当然ピッとして降りれるのに、小銭を探し出し、PiTaPaがダメだと言われたら、小銭で払おうと腹を括ったら、ちゃんとアナウンスで、運転席の後ろにピッとする機械があるって言ってるのを聞き取れて、冷や汗が引いたり。

いつもはGoogleマップで電車の時刻も見てるけど、今回は乗換アプリをダウンロードし慎重に経路も決めた。それぐらいやってもドキドキが止まらなかった。本数が少ない路線だと乗換を間違えると次が1時間後とかになるからだ。

緊張し過ぎたけど、途中車窓から見えるのどかな桜舞い散る景色は最高で、京都はどこへ行っても人だらけだからと観光シーズンは家を出ないが、思い切って京都を離れてよかったと思えた。また在来線のゆっくりとした速度は新幹線や飛行機とは違い、人の移動にちょうど良いと思った。

そして、私はずいぶんカッコつけなんだなと気づく。だって、そもそも駅員に「何線はこれで合ってるか?」とか、「PiTaPa使えるか?」とか聞けば済む話なのに、しれーっと(私は全然大丈夫ですけどー)ってやりたいのだ。(悩ましい)

そうそう、関宿は成功したが、2月に東京へ行った際は、山手線で有楽町駅から品川駅に向かいたかったのに、また目の前の電車に乗ってしまい、「次は神田」という行きたい方向と逆だと知らせるアナウンスで(なんか変!)と慌てて降りたぐらい電車は苦手な乗り物だ。

まぁ、どれも旅の思い出だ。
(ただの失敗ともいう)

自分で世界を狭くしてはいけない。
中年よ、ドキドキしに旅に出よう!
(ドキドキの意味が違う)

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