東寺と四天王と兜跋毘沙門天と
すっかり書くことを忘れていたが、自分のために記録する。
(スピリチュアルな回なのでお好きな方だけどうぞ)
奈良旅④からの続き。
5月のある日、奈良の薬師寺から戻り、知人(えんちゃんというチャネラー)に「薬師寺の多聞天」が気になったと話したら、それなら「東寺の兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)を観に行くといい」と言われる。
その時、「多聞天」は「毘沙門天」でもあると教えてもらう。
私は名古屋出身で京都に嫁いで25年だが、寺社めぐりをしてきてないので、東寺も場所こそわかれど、行ったことがなかった。
えんちゃんにそう言われた次の日、ググってみたら、なんと、春の特別公開がもうすぐ終わろうとしているではないか!
すぐ車に飛び乗って、東寺に向かう。
うちから車で30分。
駐車場に停め、一目散で兜跋毘沙門天のいる宝物館へ。
が、早すぎてまだ開いていなかった。
仕方なく開いている食堂(じきどう)へ入る。
あっ、何か気になる。
暗い奥にそれらがいた。
昭和5年の食堂の火災により当時国宝であった真っ黒に焼損した四天王像がいた。
火災の前は、食堂の本尊の千手観音菩薩を護っていたが、現在は十一面観音菩薩を護っているとのこと。
ここで鳥肌が立つ。そして涙が止まらない。焼損しているその姿が痛々しい。
高さ3メートル弱の四天王像が真っ黒なのだ。炭化した表面は朽ちないための樹脂加工がされツルツルしている。
しばらく眺めて心を落ち着かせる。
そして、四天王達に問いかける。
「そんなお姿ですけど、いまもそこにおられるんですか?」と。
「そうだ」と四天王の誰かが答える。
私は浅はかな自分に気づく。
見た目で判断し、四天王の魂はここにはないと決めつけて問いかけたからだ。見た目と中身は関係ないのだ。
しばらく四天王達とにらめっこをする。宝物館が開く時間になったので別れを告げたが、今回私はこれを見るために東寺に来たのだと自覚した。
宝物館では、元々食堂の本尊だった千手観音菩薩がとにかく立派だ。その横に今回のそもそもの目的の兜跋毘沙門天がいた。
羅城門の楼上で都を監視していた兜跋毘沙門天。
スタイリッシュ。洗練されたスタイル。強そうというより、かっこいい。
兜跋毘沙門天にはとにかく挨拶をした。よろしくねと。
そして、宝物館の中のたくさんの展示を観て満足し、金堂も講堂も五重塔も観て疲れる。仏像が多すぎる。お腹いっぱい。
その日からしばらく、食堂の四天王像が頭からはなれなかった。
また秋の特別公開の時にでも会いに行こう。