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【明日に役立つ映画レビューVol.3】 英国貴族ドラマから学ぶ「光と闇の中に生きる」

Category : LIFE STYLE
2020 / OCT / 30 by MIKI TAKEDA(Tailor Bijoux)

 本日も「明日に役立つ映画レビュー」の時間です。今回は全世界で社会現象を引き起こした『ダウントンアビー』についてです。筆者個人的に今年一番ハマったドラマといっても過言ではなく、シリーズ1からシリーズファイナルまで全話を3回観直しました。視点を変えれば100記事位は書き連ねられるんじゃないかと思っているのですが、万を持して?まずは概要から書き始めたいと思います。

ダウントンアビー(原題”Downton Abbey”、イギリス、2010〜2015年、全6シーズン52話)

 時は1912年、舞台はイギリスのダウントン村(架空)に住むグランサム伯爵家族とその使用人たちのお話です。かの有名なタイタニック号の沈没によって後継者が突然死することで地位と財産を脅かされ、中流階級である弁護士の青年マシュー・クローリーに継承されるところから物語は始まります。

Point! とにもかくもまずは1話観きって!
最初の20、30分は「限嗣相続制」(げんしそうぞくせい)という聴き慣れないワードが頻出し、相続の話が続くのでそこが退屈になる方もいるかもしれませんが、まずはそこを乗り切るのがおすすめ。優雅で知的でエレガントだけどどこか冷たい世界が、一瞬にして炎のような秘め事渦巻く世界へと変わる瞬間が来ます。この後どうなっちゃうの?それぞれの腹の内とは?もう続きが観たい気持ちを抑えられなくなったら、もはやあなたはDowntonian(ダウントンアビーファンをそう呼ぶ)!
Point!  企画・製作総指揮・脚本を手がけるのは本物の「貴族」!
ここまで見てきたように描写できるのは実は監督自身が貴族の家系に属するから、なんです。先代伯爵夫人のキャラクターは彼女の大叔母がモデルだというし、俳優が少しでも今風の言葉遣いやアクセントにすると訂正するなど、そんな徹底ぶりがあってこそこのドラマは生まれたのです。


人間性描写がすごい!

 初期は貴族と使用人の信頼関係、使用人同士のチームワーク、どれも全て希薄で、エピソードによっては淑女たちの精神的に未成熟な部分が鮮やかに描かれています。それが、少しずつ細やかなエピソードを重ねることで、それが蓄積して最終話ではどのキャラクターの性格もよーく分かるようになってきます。
 それが顕著なのが、初見ではその性格と態度に嫌悪感を感じること請け合いなトーマス・バローという使用人。彼は「とことん姑息で卑怯で繊細で脆い」。歪んだ感情と相反する純粋さを同時に持っているから、自分自身へのアンビバレントな葛藤がとけず、なかなか人から理解されず信頼されず評価をされない。そんなナイーブな男は、なぜか年上の独身女性から優しくされがち、っていう展開まで付けるもんだから、リアリティを感じずにはいられません。

Point! マギー・スミスを始めとする豪華絢爛の俳優陣
 ハリーポッターのマクゴナガル先生役があまりにも有名なマギー・スミスですが、その存在は輝いています。また、観終わった後には好きになった俳優の出演作からまた観たい映画を探すこともおすすめ。筆者は三女のシビル役ジェシカ・ブラウン・フィンドレイの出演作品『マイ・ビューティフル』がお気に入りになりましたし、他にも『ボヘミアンラプソディ』を観ていたら運転手ブランソンが!『黄金のアディーレ』を観ていたら伯爵夫人のエリザベス・マクガヴァーンが!なんて知り合いに会ったみたいに俳優事情に詳しくなること間違いなしです。


まずは英国的エレガンスを学ぼう

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※画像はダウントンアビーで使われた教会
 本日の記事では0.1%くらいしか魅力を伝えられなかったかもしれませんが、ダウントンアビーの最大の面白さはカテゴライズできないことです。家族やヒューマン、それに仕事、ロマンチック、コメディ、サスペンス、歴史、全ての要素を含んでしまっています。こんなすごいドラマ他にあるでしょうか?総じて、貴族社会の中にも光と闇があり、それを取り巻く労働者階級にも同じく存在し、必要な時には相互に助け合って生きている、というような当時の生きる人々の人生の縮図の物語となっています。
 最後にこれから観る方でも絶対に楽しめる3つの観点をご紹介して終わりにしたいと思います。特に製作費の大半が衣装だったという圧巻の衣装の数々はどれも必見です。

Point! はじめての5つの楽しみ方
● 現代だから楽しめる「昔と変わったもの、変わらないもの」を楽しむ
● 徐々に移り変わる、史実に基づいた1910~20年代の服飾を楽しむ
● 上流階級のエレガンス、振る舞いを楽しむ
● 労働階級のヒエラルキー、働く、生きる辛さを楽しむ
● 美しいイギリス英語を楽しむ


因みに私はU-Nextで視聴しています。今なら31日間無料キャンペーンも行っています。


【過去連載】<次回は11月6日(金)頃を予定>
Vol.1 英国パンクの女王が教えてくれる「自分らしい信念の持ち方」
Vol.2 仏・独・白(ベルギー)合同制作映画から学ぶ「めんどくさいパートナーの愛しかた


ここまでお読み頂きありがとうございます。ご意見・ご感想参考にさせて頂きます。

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文責 : 武田 美樹 / Tailor Bijouxオーナー兼デザイナー
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