相手にアクションを起こさせるのが文章/作家の僕がやっている文章術037
言いたいことを伝えようとすると文章は混乱する
文章は、自分の言いたいことを伝えるために書くのだと思いがちです。
しかし私は、文章の本質は「相手にアクションを起こしてもらう」ことに尽きると思います。
なかでもビジネス文書は
「相手に動いてもらう」
ために書くのです。
「相手にアクションを起こしてもらう」ために書くのだと考えると、最初の一文が大事になります。
だからこそ、主題、本題、結論、用件そのものから書き始めるのです。
<文例1>
関係各位
いつもお世話になっております。
株式会社Aの田中でございます。
平素より弊社へお力添えいただき、ありがとうございます。
この度株式会社Aでは、職域での新型コロナワクチン接種に関する政府発表方針を踏まえ、地域の負担を軽減し、接種の加速化に貢献するため、職域接種を実施することとし、派遣スタッフの皆さまにつきましても、接種の対象とさせていただくことと決定いたしました。
本日社内通知でご案内しております。
この件の報告としまして、各営業担当の皆さまへもご連絡させていただきました。
さて、この文章の主題は何でしょうか。
A/職域接種を始める
B/派遣スタッフも職域接種の対象とする
C/職域接種を受けて欲しい
D/派遣スタッフも職域接種の対象とすることを知っておいて欲しい
正解はD/派遣スタッフも職域接種の対象とすることを知っておいて欲しいです。
各営業担当の皆さまへのお知らせなのです。
各営業担当者がマネージメントしている派遣スタッフには、職域接種の対象にすることをすでに知らせてあるので、それを知っておいて欲しい。
これが本題です。
文例1を次のように書き直しました。
<文例2>
関係各位
いつもお世話になっております。
株式会社Aの田中でございます。
平素より弊社案件へお力添えいただき、ありがとうございます。
弊社では、派遣スタッフ・パートナーの皆さまにもワクチンを接種していただけるようになりましたことをお知らせいたします。
必須ではなく、希望者のみです。
本日社内通知で派遣スタッフ・パートナーの皆さまにはご案内済みです。
11月15日の会議で、職域接種の範囲を広げることを決定しました。
自治体ではワクチン接種の予約がなかなか取れないと報道されています。
弊社では、一人でも多くの希望者に接種を受けて頂きたいと考えております。上記の内容をご確認頂きたく、ここにお知らせいたします。
冒頭の挨拶文はそのままです。
「どういうアクションを起こして欲しいか」を主題にすえて、書き改めました。
派遣スタッフも職域接種の対象とすることを知っておいて欲しい……ので「お知らせします」が主題です。
大げさなアクションを起こしてもらうわけではありません。
「知っておいて欲しい」という内容のビジネス文章を送ったわけですから、受け取った読者(関係各位)は「知る」つまり「情報」を「認識する」というアクションを起こせばいいわけです。
大きなアクション、小さなアクションのどちらでも方法は同じ
ビジネス文章のカギは「相手にアクションを起こさせる」ことです。
「どんなアクションを起こしてもらうのか」
を念頭において、主題を決めることです。
主題が決まると、文章がアチコチに迷走しません。
主題が決まると、だから速く書けるようになります。
主題が決まると、読みやすく分かりやすい文章にまとまります。
相手のどんなアクションを喚起するのか。
ビジネス文章を書く際のもっとも大切なポイントです。
まとめ
ビジネス文章は、相手にアクションを起こさせるために書く