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はじめまして、CHOです。

この4月から、社員11名の小さなPR会社のCHOになった。CHOというのは、チーフ・ハピネス(ヒューマンも兼ねつつ)・オフィサーで、社員の幸福の責任者になりたいという、希望も込めての役職だった。そこから約2ヶ月、七転八倒しながらの日々が続いているけれども、ふっとトンネルを抜けたような、「あ、そうか」と、これではダメなんだと一つの答えに辿り着いたような気がして、今初めてPCに向かって言葉を書き連ねている。

私が今ジョインしているPR会社の社長は、元々理系のエンジニアだったところから、ベンチャーの社員一号として、今ではきっと誰もが知っている有名な製品のPRを任され、売り上げ拡大に多大な貢献をした人だ。昨年には日経BP社からPRの本を出すほどの実績のあるPRパーソン。ベンチャー2社の認知・売り上げを驚くくらいに上げた功労者で「PRはすごい、PRは奇跡を起こせる!」とPRに惚れ込んで起業し、会社を作るまでになった。

同い年で、一児の母。彼女は、企業をPRの力で拡大した人。私は、ずっとNHKの報道番組を作るディレクターとして、まだ世に出ていない様々な取り組みや人を取り上げ、伝えてきたメディア側の人。

二人ならもっともっと会社を大きくできる、と、社長から口説かれて、私もそんな彼女のエネルギーや裏表ない人柄に惹かれ、一緒に夢を追いかけたい、とジョインを決めた・・・のだった。

サイボウズ流のチームづくりをもとに開催した、理念ミーティング

私が組織づくり、として一番に取り組んだのは「理想をつくる」ことだった。NHKを辞めたあと、サイボウズという会社でチームワークや組織風土改革のコンサルティングをしていた私にとって、「理想をつくる」が一番最初のステップだと思えたからだ。

社員全員で、どんな会社だと嬉しいか?を書き出して、それを「世の中に対して」「社内」「お客様に対して」などと分類。みんなが共感してワクワクできる、ミッション、ビジョン、バリューを作ろうとした。

理想作りと同時に、サイボウズでチームワーク創造メソッドと呼ばれている「強み・弱み」の共有をするワークを行った。「強みを生かして弱みは補い合う」そういうチームを作りたい、弱みに対してネガティブなことを伝え合うのではなく、弱みはあって当然という意識を浸透させたい。そう考えていた。

しかし、この取り組みそのものへの共感が感じられない……。「お客様へ価値を提供するために、チームづくりが大事」といくら伝えても「仲良しクラブを作るわけじゃない」という反応があって。自分としても、伝えきれてない力不足を感じていた。

CHOとして感じ始めた違和感

想いはある。やる気もある。頑張っている。
正直、ジョインしてから休んだ日は1日もない。自分がやるべきと思うことが目の前にあったし、期待に答えたかったし、社長からも周りのメンバーからも認められたかった。もちろん、何より自分自身が楽しかった。社長やメンバーと必死に立ち上げた新規事業も、想像以上の反響で滑り出しは順調だ。

・・・でも、組織づくりという部分で思うように上手くいかない。チーフ・ハピネス・オフィサーなのに、前述のように理念ミーティングを重ねても、イマイチ伝えたいことが伝わっている実感が持てない。みんなから笑顔よりもモヤモヤが聞こえるようになってしまった。社長とメンバーの間に入って、どちらにも共感しながら落とし所を探ろうと、良かれと思ってしていることが、少しずつ少しずつ、組織の亀裂につながっていく。何かが違う・・・。

一社員としての振る舞いと、CHOとしてのあるべき振る舞いは違うのかも知れない

そう思った時に、辿り着いた答えは、私の振る舞いは一社員としての振る舞いの域を超えていなかったということだった。一社員ならば、思ったことをそのまま口に出しても良いだろう。みんなの前で、社長に意見しても、質問を投げかけても良いだろう。しかし、CHOとしては、不正解。そういう行動は、周りのみんなに、伝播する。社長への不信感や、文句へと繋がってしまう。

私はディレクターとして働いていた時から、上司に対しても、思ったことは率直に伝えるタイプだった。自分の中にある正義を守ることが第一優先で、番組制作の際の試写でも現場に行っていないプロデューサーの妄想で、どんどんドラマティックに変えられそうになる時も「取材先を本当に思って戦ってくれるディレクター」として、編集マンやカメラマンからの信頼を得ていた。

気づきをもらった中小企業コンサルタントの方の言葉

でも、そのやり方は、今の自分の立場ではやってはいけないことだったのだと、中小企業コンサルティングの方のブログを読んで、ハッとした。特に響いたのがこの2つ。

【絶対に社長の批判をしない】
ナンバー2が社長に対して批判的な態度を取った瞬間、会社のチームワークはもうお終いです。修復には年単位の時間がかかるでしょう。もし社長に対して言いたいことがあれば、社長と二人だけの時に伝えることです。他の社員が見ている前で絶対に社長を立て尊敬をする態度を崩してはなりません。
【社長と社員の翻訳家になる】
『社長がこう言っていた』こんな伝書鳩はナンバー2ではありません。社長の言葉を社長の意図通りに理解し、それを社員に通じる言葉に翻訳して伝えるのがナンバー2の役目です。社員が10人いれば、それぞれ通じる言葉が違います。十ヶ国語を話してはじめて、社長の翻訳家と言えるのです。また、社員の言葉をそのまま社長に伝えるのではいけません。『社長だったらこうおっしゃると考えて、こう返しておきましたが、よろしいでしょうか?』これがナンバー2の翻訳です。

これだ・・・。

「どうしたら伝わるか?」ではなく「何を伝えないか?」が大事なのかも

人が何かの状況を変えたいと思った時、考えることは「どうしたら伝わるんだろう?」というアクションの部分な気がする。しかし、同じように「何を伝えないでいるか?」というグッとこらえることも大事なのではと思うようになった。

何でもかんでもを、オープンに、正直に、伝えていくばかりでは、うまくいかない。

このnoteを読んでいる皆さんだったら、「そんなことは当たり前じゃないか」と思うかもしれないが、私はお恥ずかしながら今回の経験からようやくそのことに気づくことが出来た。

これからも、このnoteでは、新米CHOの日々の気づきや感じたことを、綴っていきたいと思っています。毒にも薬にもならない文章かもしれませんが、お付き合いいただけたら嬉しいです。