南アフリカ総選挙⑥選挙の結果はどうなった!?大連立で論争も Johannes-blog #22
こんにちは。「ヨハネスブログ|Miki's Johannes-blog」です。
南アフリカ・ヨハネスブルクでの暮らしを記録しています。
漂う今更感と戦いながら、書いています。
選挙の結果と、最近見えてきた問題について伝えます。
「絶対与党」ANC過半数割れ
はじめに、今回の選挙のポイントをおさらいします。
まずは、与党ANCの獲得議席が過半数、つまり200議席に届くのかどうか。そして、単独過半数を割った場合に、どの党と連立を組むのかでした。
詳しくは、南アフリカ総選挙①で書いています。
5月29日の総選挙の結果、ANCの得票率は40.18%にとどまりました。
過半数を割り込んだのは、アパルトヘイト(人種隔離)政策廃止後の1994年の総選挙以来、初めてです。
この結果について、ANCを率いるラマポーザ氏は「国民は、指導者らが協働すべきだという期待を明確に示した」と謙虚に受け止めていました。
前回の選挙から大幅に得票率を減らした背景には、是正されない格差や汚職の蔓延、経済の停滞などがあるといわれています。
多数の党と連立で政権を維持
議会で過半数の議席が得られなければ、他党と連立を組まない限り政権が保てません。
次のポイント、「どの党と連立するのか」ですが、得票率21.81%で第二党だったDA(民主同盟)など10ほどの党と連立し、GNU(国民統一政府)をつくることになりました。
このうちDAは支持母体が白人の党で、当然ANCとはイデオロギーがかなり違います。
そして、ついに最近、この連立政権の中でANCとDAの摩擦がみられるようになってきました。
ANCとDA イデオロギーの違いが表面化
いま物議を醸しているのが、基礎教育に関する法案です。
学校における言語と入学の方針について政府が監視を強化する、という項目について、ANCとDAが対立しています。
ANCの主張は、(アパルトヘイト政策の撤廃後も)人種の代わりに言語を理由にしていまだに黒人の子供たちが学校から疎外されていて、これを防ぐためにこの法が必要だ!というものです。
一方のDAは、この法案の成立によって、オランダ系の白人が母語のアフリカーンス語で教育を受ける権利を脅かされるのではないか?と危惧しています。
この法案、13日ラマポーザ大統領がサインして成立。これに対して、DAのスティーンハイゼン党首は「法廷闘争の準備をしている」と言っているようなので穏やかではありません。
人種と学校における使用言語をめぐる問題は、南アでは歴史的に非常にデリケートな話題になっていて、ANCもDAも簡単に立場を変えることはできません。
今後、この法律のゆく末も、主張の全く異なる党での連立政権がどう運営されていくのかも、まだまだ見守っていく必要がありそうです。
+α 南ア政治の「ジェンダー平等」は
ちょっと話題は逸れますが、これも書いておきます。
新しい議会のジェンダーバランスについてです。
政治分野におけるジェンダー平等は、私が政治・行政記者時代に追いかけていたテーマのひとつなので、南アでも調べてみました。
新しいメンバーで始まった南アフリカの国会ですが、国会に占める女性議員の割合は約42.8%だそう(日本では約16.0%)。
また、南アの閣僚における女性比率は約43.8%でした。
日本では、女性閣僚が20人のうち5人で、過去最多!といっていましたが、それでも南アの方がはるかに高い割合です。
このあたりの南アの数字はここから確認できます。
ちなみに、毎年話題になる「ジェンダーギャップ指数」。
最新のデータでは、日本は118位のところ、南アは18位となっています。
南アに暮らしていて、女性があらゆる分野に進出している!という体感での印象はあったのですが、数字にしてみたら日本より南アの方が100も順位が高いというのにはちょっと驚きました。
日本の順位はG7で最下位とはよく聞きますが、G7以外の国からも大きく遅れをとっていることがわかります。
質が大切なことはもちろんですが、たかが数字、されど数字。
日本では総裁選が話題になっていますが、個人的には特に世界から遅れをとっている政治分野におけるジェンダー平等がどう変わるのか・変わらないのかに注目しています。
Miki's Johannes-blog #22
2024.9.15
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