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ヨーロッパ式アロマテラピーを活用した医療現場の実際

ヨーロッパのアロマテラピーの実際

エッセンシャルオイルの化学組成は非常に複雑で、どのひとつをとってみても、数百種類の異なった独特の化合物を含んでいます。
また、エッセンシャルオイルは高度に濃縮されているので
乾燥ハーブよりはるかに強力です。
蒸留がエッセンシャルオイルの濃度を極度に高めます。
蒸留エッセンシャルオイル少量を生産するのに大量の植物材料を必要とします。
例えば、ローズオイルの1キロを生産するために、バラの花びらを2.268Kg使います。
エッセンシャルオイルは、コーンオイル、ピーナツオイル、オリーブオイルなどの植物油とも異なります。
植物油は古くなると酸敗することがあり、抗菌性もありません。
それに比べて、多くのエッセンシャルオイルは古くなっても悪臭を放つことはなく、強力な抗菌作用があります。
パチュリ、ベチバー、サンダルウッドなどのようにロウ成分の高いオイルは、適した方法で蒸留されなければ、特に熱に長期間さらされると、やがて悪臭を放ちます。
そのためエッセンシャルオイルは、適切な教育を受けて使用することが大切です。
エッセンシャルオイルを使うには、その化学的性質と安全性に精通していなければなりません。
しかしながら、こういった知識は日本の大学、大学院では教えられていません。化学の本は、ほとんどの人々には理解するのが難しく
通常、エッセンシャルオイルの特定の化学的検証ができません。
困ったことに、教育機関では、エッセンシャルオイルやアロマセラピーといわれる科学分野の情報、知識の伝達、トレーニングに不足しています
そのため、多くの日本の医療従事者たちは患者に癒しを与える一つの手段として、独自でアロマセラピーを学んでいます。海外のように治療効果があるとは気づいていません。
ヨーロッパ社会では、植物抽出物やその使用資格について、厳格な規制と基準が設けられています。
適切なトレーニングを受け免許をもった者だけが、アロマセラピーを実践できるのです。
一方、アメリカや日本においては、規制当局はこれらの学問分野を認めておらず、エッセンシャルオイルを販売・使用するために必要な訓練や資格も定めていません。
つまり、アメリカや日本では、誰もがごく短期のエッセンシャルオイルの講座を受講しただけで「アロマセラピスト」を名乗り、エッセンシャルオイルの正確な知識や使用に関する訓練・経験がなくても、相手にセラピーをすることができてしまいます。
これはアロマセラピーという学部、学問全体に対する信頼を失墜させるだけでなく、セラピーを受ける人々にとっても危険なことです。
エッセンシャルオイルは、単純な物質ではありません。
何百種もの異なった化学成分の複合なのです。
どんなエッセンシャルオイルであっても、80種類から300種類以上の異なった化学成分を含んでいます。
ラベンダーのようなエッセンシャルオイルは非常に複雑で、ごく微少な成分を多数含んでいますが、その全てがオイルのセラピー効果に少しずつ寄与しています。これらの成分とその働きを理解するには、何年もの研究が必要でした。
同じ「バジル」とラベルの貼ってあるエッセンシャルオイルで、学名がすべて同じであっても、その化学成分によって異なったセラピー効果をもつことさえあります。
たとえば、リナロールが多いバジルを主に殺菌効果を期待して使われます。
また、バジルの中のメチルカビコールが多いは抗炎症剤として使われます。
さらに、オイゲノールが多いバジルは、抗炎症作用も抗菌作用もあわせもっています。
エッセンシャルオイルの蒸留や抽出にはさまざまな方法があります。
それによって化学的性質も薬理効果も劇的に変化します。
最初の蒸留によって抽出されたオイルに比べれば、二番目や三番目の蒸留によって明らかに成果が落ちます。
しかし、特定のオイルでは二番目や三番目の蒸留からしか出ない化学成分が出るものもあります。
高温・高圧によって得られたオイルは、過剰な熱と圧力によってオイルの中のデリケートなアロマ化合物が分解、破壊されてしまうため、化学成分は明らかに単純で、劣化してしまいます。
失われた化学成分の中には、セラピーの治療力に関係しているものもあります。
さらに、水蒸気蒸留されたオイルは溶媒抽出されたものと比べ、性質が異なっています。
最も懸念されるのは、オイルのなかには純度の低いものや加工されたもの、また合成化学薬品によって「増量」されたものがあることです。
たとえば、純粋なフランキンセンス(乳香)は、無色無臭の溶剤で増量されることがよくあります。
「純正品」と偽物の「増量品」を見分けるには、最先端のガスクロマトグラフィー、質量分析、と光屈折計を用いた厳格な分析によるしか方法がありません。
残念なことに、アメリカや日本で市場に出回っているエッセンシャルオイルの大半は、このような増量品に属しています。
合成オイルや粗悪なオイルを合成化合物で希釈しているオイルが市場に出回っているので、訓練されていない嗅覚を持つ人々はあっさりだまされてしまいます。
しかし、純粋なオイルの香りを知っており、増量品との違いが分かる嗅覚技術を持っていれば、違いが分かるかもしれません。


ヨーロッパのエッセンシャルオイルを使った治療に関しては、3種類のモデルが存在します。
フランス式、ドイツ式、イギリス式です。

【イギリス式】では、少量のエッセンシャルオイルを植物油で希釈し、それを使って全身をマッサージしてリラックスさせ、ストレスを取り除来ます。

【フランス式】では、医療用エッセンシャルオイルを服用したり、希釈せずに局所に塗布します。
一般的な内服方法では、数滴のエッセンシャルオイルを蜂みつやパン、少量の植物油に落として服用します。
フランスで治療に当たっている人々の多くは、内服によって素晴らしい効果が得られると考えています。

【ドイツ式】では、エッセンシャルオイルの吸入に焦点をしぼっています。香りとアロマ化合物が嗅覚に及ぼす効果は、脳、特に視床下部と辺縁系に強い影響を与えることが研究によって明らかになっています。

これら3つのモデルは、エッセンシャルオイルがいかに用途が広く強力であるかを示唆しています。

また、オイル使用の目的が成長ホルモンの分泌促進、減量、感情や気分のバランス回復ということであれば、エッセンシャルオイルの吸入の方が、局所的な塗布より適切かもしれません。
サンダルウッド(白檀)、ペパーミント、ベチバー、ラベンダー、ホワイトファーのオイルは、吸入に効果的です。
一方、特に脊髄や筋肉の損傷や機能不全に関しては、エッセンシャルオイルの局所的な塗布の方がよい結果をもたらします。局所に塗布すれば、マジョラムは【筋肉】にすばらしい効果を発揮し、レモングラスは【じん帯】、ヒメコウジまたはシラカンバは骨格に効果的です。
【消化不良】には、経口でペパーミントオイルを一滴か二滴とるのが効果的かもしれません。しかし、ペパーミントを胃部にマッサージしてもいいです。

エッセンシャルオイルは、心と身体の両方に作用するという点で、治療に用いられるナチュラルな物質のなかでも特に際立っています。
心理学的な意味でも身体機能的な意味でも、香りが効果的なエッセンシャルオイルもあります。
また、鎮静作用のある香りをもつエッセンシャルオイルもあり、苛立ちや興奮を抑えてくれます。
身体機能的なレベルでは、エッセンシャルオイルは免疫機能を高め、損傷した組織を再生します。
さらに、ウィルスや細菌などの病原体を殺すことで感染症を防ぐ助けになっています。
おそらく最も一般的なエッセンシャルオイルの2つの使用法は、低温での吸入と希釈してないオイルを塗布することです。
その他、リフレクソロジーや指圧などの療法にエッセンシャルオイルをとり入れることもあります。
これらの療法とエッセンシャルオイルを組み合わせることにより、治癒効果を高め、鍼灸やリフレクソロジーのみでは達し得ないような驚くべき結果を生むことも少なくありません。
ほんの1~3滴のエッセンシャルオイルを鍼灸の鍼やヴァイタフレックスの手足の反射点にたらすだけで、わずか数秒から1〜2分の間に効果が現れることもあります。

数年前ヨーロッパの大学で、アロマセラピーの分野で有名なある教授が、エッセンシャルオイルを使って病気を治したことに対して、にせ医者だと言われました。
しかし、エッセンシャルオイルを使って重病が治ったという生き証人が数知れずいます。
エッセンシャルオイルは、何年も苦痛に悩んできた多くの人が痛みから解放される力を貸してくれます。

他にも脊柱側湾症が矯正されたり、生まれついての聴力障害者の耳が聞こえるようになるなど、エッセンシャルオイルの力を実際に体験した人もいます。

たとえば、カリフォルニア州の女性は、十代でポリオを患って以来、脊柱側湾症に悩み、それが転倒事故と肩関節の脱臼によってさらに複雑な症状を呈するようになっていました。
痛みと機能不全に悩むこと22年、彼女は肩の関節を一時的にではなく正しい位置に戻してくれる治療を探しました。そしてエッセンシャルオイルと出会い、ムギワラギク、シラカンバ、その他のエッセンシャルオイルを肩に局所的に塗布しました。
すると、ごく短期間のうちに肩関節は正常な位置に戻り、痛みが消え去り、22年ぶりに腕を頭の上まで持ち上げることができるようになったのです。
このような劇的な回復を目の当たりにすると、エッセンシャルオイルの価値と力、秘められたすばらしさを否定しがたくなります。
しかし考え方の違いでオイルの力を信じられない人もたくさんいます。

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