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週2 × 2プロダクトくらいが最高ってワケ

わたしは、業務委託でプロダクト開発にデザイナーとして参加している。一括請負ではなく、「月n時間」と稼動時間を決めてissueをやっつけていくような「ゴールのない開発」がメインだ。(言い方が正しいかは分からないけど)

2019年くらいまで、とくにプロダクト数を絞らず週5を稼動で埋められるように案件を請けていた。例えば

* 月曜日:A社
* 火曜日:A社 ・ B社
* 水曜日:B社・C社
* 木曜日:C社
* 金曜日:D社

という感じだ。複数の会社からオファーをいただけて非常に嬉しいのだが、問題がいくつか出てきた。当時同じようにフリーランスでプログラマをしていた夫も同じ問題を抱えていたという。それは、スイッチングコストが高く1社あたりの生産性を高めるのに限界があるという事だ。

スイッチングコストとは

案件と案件の切り替えが脳内ではすぐにできず、集中するまでに時間がかかってしまうのだ。

午前中にA社でデザインシステムについて調べものをしていて、やっとひとつのコンポーネントについての設計の道筋が見えてきた…!という所で時間がきてしまう。午後からはB社の新機能に向けての画面設計をするので、ファイルを開いて作りはじめるも、頭の中では先程の課題に対して良い解決方法が浮かんでしまって…!という事がざらにある。

業務委託という性質上、期待していた効果が得られなければ契約終了である。だからこそクライアントの期待している課題を解消するのに生産性がキモとなる。だからこそスイッチングコストの重さは無視できないのだ。

週1×5ではなく週2×2

1日1社と限定して5社のみ請けるとしてみた事もあったが、それでも熟考して設計する課題に関してはそれでも十分と言えず、最終的に夫婦ともに週2×2社程度に落ちつく事となった。

アジャイル開発環境下で週1スプリントでは、サイクルに合わせて「進捗」と言えるだけの成果を残すのが本当にプレッシャーだったのだと、今振り返ると改めて思う。クライアントから成果を強いられるような事はあまりないのだが、わたしが勝手にプレッシャーを感じてしまうのだ。1日の稼動を7hとして、ミーティングに調査と設計を行い、目に見える成果を出すために調査が足りないと思うこともしばしばあった。

わたしの場合はミーティングだけ参加するようなプロジェクトもあるので2,3社と幅はあるものの基本的にこの数を変更することはない。

スイッチングコストを最小化したメリット

2社に2-2.5日かけられるようになった事でよりプロジェクトに関しての参加意識が強まったと思う。業務委託のお助け雑務マンからひとりのチームメンバーであると思えるようになった事でチーム内でのコミュニケーションやレビューに対して積極的になれ、議論における決定を決裁者に委ねず、自身で決め責任を持ちやすくなった気がする。結果的にはスイッチングコストを最小化したメリットとしてプロダクトへの責任感が増したと言うことができるだろう。

それはPdMとデザイン領域に関して議論するときに顕著になった。ステークホルダーに結論を任せるのが基本ではあるが「専門家としてそれは否定します。これを決定としたいです。」という意思表示をする勇気がでたのはわたしにとっては大きいことだった。

また、単純に参加しているプロダクトが評価される嬉しさも増えた。

業務委託デザイナーとチームワーク

ソフトウェア開発はチームで行うものである。これまで、グラフィックデザイナーやウェブデザイナーをひとりで行ってきたのでそのチームワークはデザイナーの外にあるものだった。エンジニアチームがチームワークで開発を進め、それを遠巻きに見ている感じだったのだ。しかしそれは誤りであることが分かった。

デザインプロセスはエンジニアにとって縁遠いものかもしれない。同時に、プログラミングの設計プロセスや技術選定もデザイナーには縁遠いものだろう。しかし、プロダクトにおける体験設計には職能による分断はない。

デザイナーとしてチームに参加し、体験をどう提供するかを一緒に考えることは十分に可能であり、多くの企業で実践されており、すでに当たり前のことなのだ。

もちろん、たった週2の稼動で完全にチームの一員という訳にはいかないが、それでも以前よりチームの状況把握がしやすくなり、現状の課題の相談をもらえるようになってきた。

現在は週2を月曜日と木曜日というような週の前後半で分けるやり方をとっている。しかしさらにスイッチングコストを減らすため今後は週前半はA社、後半はB社というように水曜日を境にしてまとめてみてもいいかもしれない。というか、何故それをしなかったんだろう自分…。

週5×1社

正直全稼動を1社に集中するのであれば、それは業務委託ではなく正社員になった方がいいだろう。

業務委託では1ヶ月後には案件0になる可能性を避けておきたい。1ヶ月以内に新しいプロジェクトに参加する事も可能であるが、できる限り自分のベクトルに合うプロダクト、メンバー、開発方法であり、かつ報酬条件などが良いものであり、さらにプロダクトの将来性に自分が貢献できるものが望ましいからだ。

案件0の次に避けたいケースは「2年後に生存するかが不明のプロダクトにキャリアを捧げる」ことである。ここら辺はフリーランスのキャリア形成の話題に入っていくので別の記事で書くとする。

ともかく「自分がプロダクトに確信を持って、成長に貢献していく」ためには多くのプロダクトを知る必要があり、1ヶ月という期間はそれを達成するのには短めなのだ。

「週5、自分のキャリアと専門性を捧げても良い」そう思えるプロダクトに出会えたなら、それはとても幸せな事なので正社員の道も模索するべきなのかもしれない。

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