パリ逍遥遊 ランスの酒屋
ランスのノートルダム大聖堂まで来たならば、ついでに近くのワインショップに立ち寄って、お土産にシャンパーニュでも買っては如何だろうか?
シャンパーニュといえば、ドンペリ、サロン、クリュッグなどの有名どころを想像するかもしれないが、流通が発達した今日においては、それらは日本でも購入できる。せっかく現地まで来たのだから、地元でしか手に入らないものを買うのが粋というものだ。といっても、難しい銘柄は良くわからないし、決め打ちでお店に行っても必ずしも売っているとは限らない。
ここでは、希少価値が高いが、簡単に買えるシャンパーニュの選び方を紹介しよう。
ランスのワインショップだが大聖堂の近くに2件ある。1件目は、ランスのノートルダム大聖堂に向かって右にCaves des Sacresがある。ここはどちらかというと観光客向けのお店で、日系の宅配業者と提携しており、日本にも空輸してくれる。もう一つは、大聖堂の真後ろにあるLe Vintageで、地元の人間はここに買いに来るそう。がっつり観光気分なら前者、地元民のように買いたいのならば後者、といったところか。
Le Vintageは、ランスでワインバー(その名もLe Wine Bar by Le Vintage)もやっているので、ランスに宿泊するのであれば、是非立ち寄ってもらいたい。大聖堂から徒歩10分程度だ。
さて、紹介したい観点とはブドウ品種である。
シャンパーニュは地域全体でブランド・品質を保護するために、製法が厳しく決められており、その製法を守らないと“シャンパーニュ”の商標は使えない。
シャンパーニュで使用できるブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3種類。各醸造元(ドメーヌ)は、その年の各品種の出来具合を考慮しながら、3種類の配合割合を毎年調整する。大手のドメーヌとなると、ブレンダーなる専門家が何人もいて、毎年変わらない味を提供したり、特に出来の良いブドウだけを使ったスペシャル・エディションを作ったりする。
シャルドネとピノ・ノワールは、それぞれ、白のシャブリと赤のブルゴーニュ(ジュブレ・シャンベルタンなど)で有名なブドウ品種だが、ピノ・ムニエはさほど聞いたことがないと思われる。ピノ・ムニエは通常は補助的に使われる品種であり、ピノ・ノワールとブレンドするとピノ・ノワール特有のエレガントさを強調でき、シャルドネとブレンドするとシャルドネ特有の酸を強調してくれるが、普段は前面に出ないのだ。
ところでこの3種、必ずしも3つ全てを使わなくても良いのである。最近は辛口嗜好が人気なのも手伝って、白ブドウのシャルドネだけで醸造したブラン・ド・ブランが有名だ。シャルドネほどではないが、ピノ・ノワールを中心としたエレガントなシャンパーニュもよく見かける。一方で、ピノ・ムニエ100%はかなり珍しい。
ちなみに、単語ブラン・ド・ブランBlanc de Blancsは、最後のsに注目して欲しい。複数形になっている最後のBlancsは原料の白ブドウを意味し、先頭の単数形Blancは製品のシャンパーニュを意味する。語尾を発音しないフランス語だと分かりにくいが、ちゃんと意味はある。ピノ・ノワールやピノ・ムニエは黒ブドウなので、それらで作った100%シャンパーニュは、Blanc de Noirsという。
前述のとおり、ピノ・ムニエは他品種の引き立て役なので前面には出ないのだが、100%ムニエで作られたシャンパーニュは、他の2品種より肉厚な果実味を特徴とする。個人的にはムニエ100%はこれでアリなシャンパーニュだと思う。
「エレガントな長女とエネルギッシュな三女の間にいる、ぱっとしない次女。でも彼女がいないと私が際立たないのよね」とピノ・ノワール姉さんの小言が聞こえてきそうだが、日本はもちろんパリでもあまり出回っていないので、お土産として購入してみては如何だろう?話のネタにはなると思う。
Caves des Sacres
7 place du Cardinal Luçon 51100 REIMS
http://www.cavedessacres.com/fr/
Le vintage
1 cours Anatole 51100 REIMS
https://ja-jp.facebook.com/LeVintageReims/
Le Wine Bar by Le Vintage
16 Place du Forum 51100 REIMS]
http://www.winebar-reims.com/