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アートとデザインはぜんぜんちがう〈#哲学してみた〉

今回は、アート(芸術)とデザインの違いは何か、というテーマで哲学したいと思います。

どちらがいいか悪いか、といった話ではなく、アートとはなにか、デザインとはなにか、ということを定義づける、という試みですので、アーティストやデザイナーを批判しようという意図はありません。それを理解した方のみ、お読みくださいね。

また、私が言っていることが正解というわけではありません。ぜひみなさんも一緒に考えてみてください。

アートとデザインは似ている?

さて、アートも、デザインも、どちらも、芸術的なものをつくって、創造的で、なんかカッコいい!って感じがしませんか?

「アーティスト」は「ベストアーティスト2020」のような感じでミュージシャンと同じ意味で使われていたりします。また「デザイナー」という言葉に関しては、「ウェブデザイナー」とは言いますけど「ウェブアーティスト」はあまり聞きません。

似たような言葉でも、どう違うのでしょうか?


アート=アーティスト優位、デザイン=クライアント優位

端的に言うと、アートはアーティストありき、デザインは、デザイナーよりも前にお客さんありきということです。その点でアーティストはデザイナーより自由だと言えるかもしれませんね。

アーティスト、つまり芸術家は自分の表現したいことをそのまま表現します。絵であったり、歌、ダンス、詩などさまざまな方法を通して、とにかく外にあらわす。受取り手の要望とかは、関係ないですね。

それに対してデザイナーは、ターゲットとなるお客さんのことを考えてものを作る。ウェブもそうですね、使う人が使いやすいように、わかりやすいように、と考える。これがまず、アートとデザインの大きな違いです。

アート=芸術作品、デザイン=商品

そして次にちがうのは、つくられるもの。

アーティストが作るのは芸術作品ですが、デザイナーが作るのは商品です。

芸術作品は、受け取り手によって鑑賞されますが、デザインは消費者によって消費されます。

アートはプラトンやアリストテレスのいた紀元前2000年からありますが、デザインっていう言葉はかなり新しい概念ですね。消費という概念がでてきたことによるものかもしれません。これも大きな違いです。

生じるいくつかのギモン

ここまで定義して、いくつか疑問がでているかと思います。

「ベストアーティスト2020」などで歌っているJPOP歌手やアイドル、歌を作ってもいなければ歌詞も考えていない人たちは、本当に芸術作品を生み出すアーティストなのでしょうか?

また、最近本当に美しいゲームが多く、ゲームもアートだと考えられるようになっていますが、ゲームという商品を生み出す人は、アーティストではなくデザイナーなのでしょうか?ゲームクリエイターという言い方もされることがありますが、アーティストでもなくデザイナーでもなくクリエイターなのでしょうか?

ギモンにたいするこたえ 

一つ目のギモンへのこたえ

アートは自分が伝えたいことを具現化して表現することです。他人から言われた通りに振り付けをして歌って踊るだけではアーティストとは呼べません。アートにはなにか必ず作り手のメッセージが必要です。

二つ目のギモンへのこたえ

ゲームに関しては、ゲームは今までになかった、プレイヤー参加型のアートと言えるでしょう。これまで、絵画や音楽など、受取手は観賞する、味わう、ということをしてきましたが、ゲームは実際にその世界に入り込む、その芸術作品の一部になれる、というものではないでしょうか。

フランスでも、ゲームは「総芸術」(art total)と定義されたりしています。建築、音楽、絵画、文学、舞台芸術…といった複数の芸術分野が凝縮されているからです。さまざまな分野の専門家たちが協力してひとつのゲームを作り上げている、ということです。

そしてクリエイターというのは日本語に直すと創造する人、(生み出す、作り出す人)ということですが、基本的に人間はゼロから創造することはできないので、そもそもこの概念の存在自体を疑ってしまいます…(笑)

はい、以上ざっくりとアートとデザインの違いについて考えてみました。

みなさんの思うアートとデザインのちがいがあれば、ぜひおしえてください。

似たようなことばでも、意外と、どう違うのか説明するのって難しいですよね。

立ち止まってことばについて考える、哲学するきっかけになれば嬉しいです。

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