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叩かれたら叩き返してもいい?
例えば、きょうだい関係で。
下の子が上の子をぶって、上の子ががまんできずにやり返してしまう。
例えば、学校で。
何も悪いことをしていないのに急に意地悪なクラスメイトにたたかれて、どうすればいいか分からなかった・・・
こんなことがあったら、子どもに何と声をかけるべきなのでしょうか?
STEP 1. まずは子どもの考えを聞く
まず、子どもが精神的に落ち着いているときに
「叩かれたら叩き返してもいいと思う?」と端的に聞いてみてください。
このとき、子どもの気持ちが昂っていなくて、落ち着いた状態であれば、多くの子が「叩き返しちゃいけない」と言うと思います。
モンテッソーリ教育では、6歳から12歳の児童期では道徳心やモラルに関する感覚が育まれる時期とされています。
友達と接するなかで、何をしてはいけないのか、何をすべきなのか、ということが分かってきています。
STEP 2. 対話のすすめかた
もし「叩き返してもいい」という答えが返ってきても、決して否定しないでください。
まずは共感し、続いて、「どうしてそう思うの?」と聞いてみてください。
きっと
「やられっぱなしじゃ悔しい」とか
「やり返さなきゃ止めてくれない」
というようなことを言うと思います。
これも立派な意見です。
叩かれたら「悔しい」とか「いやな気持ちになる」
というのは実は核心をついています。
叩くというのは体を痛めつけるだけの行為にとどまりません。
叩かれた、というのは、自分が、相手にとって大切な存在でないのだと分かること。
心にも傷をつける行為です。
だからネットでの誹謗中傷も「叩く」と言うのでしょう。肉体的な行為にとどまらないんですね。
思想家の考えを引用して考えてみます。
フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの『人格と聖なるもの』には、こうあります。
''
私の手を引き止めるもの、それは彼がもし誰かに目をえぐられるなら、彼は他人から悪を被ったという意識のために、魂を引き裂かれるだろうと私が知っていることなのだ
''
叩かれることの本質は、この、自分の存在が軽んじられていることへの傷つきです。
そして、叩き返すのは、そのいやな気持ち、傷ついた心を晴らすため。
これは復讐、仕返し、敵討ち、などという言葉であらわされます。
有名なハムラビ法典では「目には目を、歯には歯を」とありますし、現在の日本では、殺人を犯した人は死刑になることがあります。
しかし、これは復讐ではなく正確には罰、刑罰です。
復讐と罰は区別せねばなりません。
罰は国や社会が法律に則って決めるもの。
復讐は個人の恨み晴らしです。
テーマにまつわる作品例
復讐劇を描いた芸術作品はたくさんありますよね。
漫画でもアニメでも。
低年齢の子どもにも理解できる作品もあります。
『鬼滅の刃』、『コード・ギアス』、『残響のテロル』などなど。
復讐劇を描く作品、だいたいは、ハッピーエンドというわけにはいかないのではないでしょうか。
結局、復讐した方も気持ちが晴れなかったり、最後に自分の方が悪者になってしまったり、自分も報いを受けてしまうなど…
STEP 3. 「叩く」を考える
では、どちらの答えが返ってきたとしても、次は「叩く」という行為を一緒に定義してみましょう。
このとき、体の痛みだけでなく心の痛みについても気づかせてあげると良いです。
先に書いたように、叩くというのは体も心も傷つける行為なんだということを子ども自身で気がつけるといいです。
STEP 4. 叩かれたらどうしたらいい?
こうして、自分で叩くことがよくないことだと納得した上で、
次は、叩かれたらどうしたらいい?という問いです。
先生や親、大人の人を呼ぶ
でもいいですし
逃げる
でもいいです。
フランスの哲学者ジャンケレヴィッチは
"暴力とは弱き力である"
と書いています。
これが理解できれば、叩いてきた子と同じ土俵に立たずに、例え叩かれても冷静にいられるのではないでしょうか?
叩かれても叩き返さなかったという報告を受けたら、たくさんほめてください。
「あなたはガンジーみたいに素晴らしい人!」と
言ってあげるのもよいかもしれません。
おすすめ絵本
「ぼくは、いつでもおこられる。家でも学校でも…。休み時間に、友だちがなかまはずれにするからなぐったら、先生にしかられた」いつも誤解されて損ばかりしている少年のおはなしです。
けんかっぽい子も、心の底ではみんな正しいことを求めてる。
そんなことに気がつける本です。
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