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美しきバルール12 断食と副産物

ここでは全国から集まった大人と子供が共同生活を送る。目的は社会復帰と更生。

前回までの話はこちら↓


赤の他人同士だが擬似家族のような組み合わせで共同生活を送る。メンバーは元ヤクザ〜重度の精神疾患を抱えた者、いわゆる問題児(不良から不登校まで)まで。そのバリエーションは豊富だ。

「徹底的な厳しさが心身の強さを生む」という考えのもと、起床から就寝まで時間と規律で徹底的に細かく区切られたストイックな毎日が組まれていた。未成年の就労が問題となり縮小となるまではかなりの人数が在籍した。(”戸塚ヨットスクール”をご存知だろうか?あの”山版”である)

カリキュラムの一つに「断食」がある。断食と入っても全く食べないのではない。
7日間、3食の食事のかわりに、粉ミルクに酵素や他の栄養素を溶かしたものを
どんぶり一杯飲み続けるというもの。最初の一口は甘く美味しい。甘いものに飢えた凛は大喜びで飲み干すのだが、2食目からその甘さが全く喉を通らない。

かといって残せば猛烈な空腹感に襲われる。鼻を摘んで必死に喉へ流す。 これを繰り返し7日後には贅肉も心の業(?)も宿便もとれ、食事の有り難さを実感するという仕組みだった。 たしかに7日後の食事の有り難さたるやものすごい喜びである。、、というより反動で一種の飢餓感も芽生えた。

研修ではごく狭いスペースで座禅を組み続ける。 ひたすら親や周りにしてもらったことを思い出すのだ。(こんなことでヒトは変わるものか!)と凛は馬鹿にしてたが、20人に一人くらいは憑物が落ちたように心身ともに健康になって社会復帰する。僧侶を目指しその後は牧師に。心理学を学んだと言う所長の独自のメニューは、一定の効果をあげていた。

凛の家族が月に一回面会に来る。短時間、家族と外食が許される。

メニューの選択に恐ろしい時間をかけること(量を食べたい)また、女子らしからぬスピードで食べるので(寮の食事時間は短い)凛の姉は野生化した妹をみて「一緒に外出するのは嫌」と苦笑いした。

続きの話はこちらをどうぞ↓


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