出産は鼻から梅干しだろ話
基本的にわたしは痛みにめっぽう弱い。頭痛、腹痛、歯痛など内側からくる痛みはすぐに弱気になるし、小さな擦り傷、切り傷、火傷の外傷もいつまでもひりひりと気になってしまう。風邪もみんなが風邪だと認識する2日前にはもう寝込む。例外は格闘技で、アドレナリンが出ているときは全く痛くない。
そんなんだから、出産はかなりびびっていた。鼻からスイカとか言うし、誰に聞いても痛いよ、と言われるし(唯一ひとりだけ近くに住むあやみさんだけは「そんなに痛くないよ!」と言っていた)痛くない産み方の本を読んでDVDを見ながら呼吸法の練習をよくしていた。夫であるももちゃんも出産の痛みでわたしが死んでしまうんじゃないかと直前までずいぶん心配していた。
蓋を開けてみたら、どうだ。これは、もしかすると格闘技中のアドレナリンに近いのかもしれないけれど、本陣痛で痛かった記憶などほとんどない。居心地の悪さとはやく出したい気持ちはあれど、痛みはほとんどなかった。なんならその前に1週間続いた前駆陣痛のほうが痛かった(重めの生理痛が眠れないまま一晩中続く感じ)。本陣痛がはじまって、しばらくいきんで、助産師さんに「あとどのくらいで産まれますか?」と聞いたら、「あと1時間くらいよ。登山は九合目からがつらいからがんばって!」と言われ「よっしゃー余裕です!」と言って半分笑われたような気がする。実際に産んでみたら、全然九合目まで行く方がつらくて、九合目からは一気にいったるぜ、という感じ。
出産は、鼻からスイカっていうより、鼻から梅干しくらいでした。ていうか、スイカなんて鼻から物理的に出ないし。でも赤ん坊は物理的に出られる構造よ、わたしたち。これから産む人、そんなこともあるから、痛くないこともあるよ、大丈夫。