「主夫になろうよ!」
著者は屠畜場で働いていた時に午後三時には帰宅できる職場環境であったために、自然と家事をするようになった。結婚した相手が小学校教諭であったので猛多忙で料理が苦手であったこともその後押しをした。
作家になってからも主夫を続けている。
自分も20代の初期に外食をしていた時期があり、ある日ふと、自分の生を他人に任せてもいいだろうか、と疑問に思い自炊を始めた。結婚してからも元々料理が好きだったこともあり、妻が料理が不得手だったので料理は自分が担当している。
著者は家事をすると世の中がわかり、その喜びは大きい、と男女関係なく家事をすることを勧めている。
この本の中に「わたしの長所」というエッセイがある。著者が大学卒業後にある企業の面接を受けた。面接官に、
「あなたの長所はどんなところだと思いますか?」
と訊かれ、頭に血がのぼり、あやうく席を立ちかけたそうだ。
作家の増田俊也が新聞社の面接で同様の質問をされ、
「自分の長所を他人に言うようになったら男はおしまいです」
と答えて面接官を唖然とさせたそうだ。
後でわかったことだが、人事で反対意見が多かったが、ある人の面白い男だという意見で採用されたらしい。
なぜ著者はあれほど反発したのか。後年萩本欽一の言葉を聞いてわかったそうだ。
あるトーク番組で司会者から誰を起用するかを決める際のポイントはなんだったんですかと尋ねられて、欽ちゃんはこう答えた。
「それはね、自分の長所に気づいてない人。これがわたしの魅力って自覚している人の仕草にはイヤミがあるでしょう」
著者も増田俊也も北海道生まれではない北大出身であり、著者は恵迪寮の自治委員長を務めていた。