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南予の「灯し上げ」

去年父が亡くなって早や初盆。
「お焚き上げがあるからその日には帰ってきて」
母はお焚き上げと言っていたが本当は「灯し上げ(とぼしあげ)」と言うらしい。

この「灯し上げ」という不思議な行事、南予地方に残る独特の風習のようですが、お盆で帰ってきた先祖の霊を送るために全国で行われている「灯籠流し」の地域バージョンの一つであるそうです。(松野町HPより)

南予地方とは愛媛県の南部の通称で、大洲市、八幡浜市、宇和島市、西予市、内子町、伊方町、鬼北町、松野町、愛南町にて構成される。

そういえば従姉は松山の人も灯し上げと言うこの行事は知らないそうだと言ってました。

6月にお灯籠を決めて、7月中旬頃にお施餓鬼、8月お盆に棚経、30日に灯し上げ。

初盆の時だけのお灯籠。床につくくらい長くて戒名が書いてあります。お飾りがちと神楽っぽくてかっこいい!お仏壇の設えには鬼灯が付いてます。

そうです・・・本来なら30日やったのにあの台風。お坊さんもぎりぎりまで悩まれたのか1日に、と延期の連絡があったのが28日。ホテルや稽古日の変更をして無事にこの日を迎えられたのです・・・皆様ありがとうございました!

9月1日の18:00〜肱川河原で受付。
服装は準喪服といった感じ。
お灯籠を長さ約2.5mの竹にくくりつけるのですが、心配性な私たちは16:00過ぎに予行演習。無事にくくりつけてスタンバイOK、あとは着替えて出動だ。
17:30頃お灯籠を持って外に出るとすでにご近所さんが集まってくださってました。伯母や親戚も集合。

こんな感じで竹にくくりつけます。結構重い!

町内会長さん?とうちの弟が代表してご挨拶。
お礼申し上げて肱川の河原に向かいます。みなさん合掌してお見送りしてくださいました。

歩いて肱川河原へ。お灯籠は順番に持って歩きます。通りのお家の方が出てこられて合掌してお見送りしてくださいました。父のお友達の方々だろうか。

お灯籠、私も少し持ちましたが重い!
後ろから従姉の「みきちゃん力持ちやけん!」という声を聞きつつ、周りはハラハラしていたらしい笑

肱川橋から会場が見えてきました!
大洲城。天守は平成の復元だそう。お泊まりできます。鉄砲隊のお出迎え、自分だけの花火、など殿様気分が味わえて1泊100万円で泊まれます。ひゃくまんえん。


あっつい中受付を待ちます・・・

河原に降りる前に受付をすませます。
徐々に集まるお灯籠。うちは浄土宗ですが宗旨により違うのでしょうか、いろんなお灯籠がありました。なんで違うのか聞くの忘れた・・・

順番にお灯籠を火の中に入れます

読経が始まり順にお灯籠を火に入れていきます。
弟曰く「めっちゃ熱い」
それで竹あんな長いんか・・・

焼香台

お灯籠を火に入れてからお焼香をします。
少し見送ってから帰路につきました。

肱川橋より。帰り。

コロナ禍以降は今年のように
受付、読経、お灯籠を火に入れる、お焼香、と短縮バージョンになったようです。
従姉曰く、「前は受付済んで読経聴きながら火の周りをみんなで囲み、一人一人名前を読み上げ呼ばれたらお灯籠を火に入れていた。もっと厳かだった」
私も正直なんかえらいあっさりやったなあ、という感想です。
時間ももう30分遅い方が暑い中待たなくていいし、日も暮れてきて雰囲気も良いのではないかなあ・・・。
帰る道々、叔母たちと車で来ている人もいたね、人数も少なかったね、絶対にしなければならないものでもないしね、こういう行事はもうこれから無くなってしまうかもしれないね、などと話してました。

コロナ禍があり、ますます希薄になる人との繋がりの中で、失われゆく行事があるのは仕方のないこととは思う。その土地に住んでない私が何か言う権利もない。が、せめてこんなことがあったよ、こんな行事があったんだよということは残しておきたいと思うのです。

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